私も大阪地検を担当したことがあるが、通常、逮捕された容疑者を直接取材できない中、日々情報を得るのに必死で、特捜部の捜査をチェックするどころではなかった。検察が望まない記事を書くと、庁舎への「出入り禁止」を言い渡され、逮捕や起訴の際の会見にも出席できなかった。不正が看過され、被害者が泣き寝入りを強いられる可能性も高まりそうです。「おれたちは『怖い顔』をしていることが大事なんじゃないのか」。昨年春の裁判員制度の導入を控え、検察の準備状況を取材していた時、大阪地検幹部 はこう話した。検察にも「分かりやすさ」や「親近感」が求められる時代になろうとしていたが、それに抵抗感があるようだった。「検察は怖い。うそをついて もすぐばれる。そう思うから容疑者は取り調べで本当のことを話す気になるんだ」
確かに、権力犯罪を暴く「怖さ」の象徴が特捜だった。しかし、証拠品改ざん事件でメッキははげ落ちた。郵便不正事件で裁判所からも批判された「検事の描いたストーリーを押し付ける」手法は、もう通用しないだろう。
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