漱石の「明暗」を
復刻版で読了しました
「明暗」は朝日新聞の連載小説で
大正5年5月に始まりましたが
漱石は
同年11月21日に
第百八十八稿を執筆した翌日に
体調を崩し
12月9日亡くなったと
最終ページに記されています
なので
小説は途中で終わっています
内容は
結婚後間もない夫が
婚前に捨てられた女性の影響から
妻と向き合うことができないことから起こる
微妙な行き違いや妻の漠然とした不安が
事細かに描かれています
終盤にこの夫は
元恋人が療養している温泉に行き
嘗ての恋愛がどういう経緯で終わったのかを問い
自分自身に決着をつけようとするところで
終わっています
★ ★ ★
最後に読者は
観ていた映画フィルムが途中で切れてしまったような
喪失感を味わいます
物語のその先は
誰も知ることができません
漱石は
ある意味
最後まで読者をくぎ付けにして
逝ってしまいまったのです