早朝5時、グーグルマップで休暇村裏磐梯キャンプ場を検索し走り出した。最短コースは国道4号線を北上するコースだが、景色を楽しむべくもない道なので日光を最初の目的地として景色優先のコースを設定した。

 

スマホと繋いだインカムが言うとおりに走ったので埼玉、群馬、栃木県あたりは、どの道を走ったのか今でもわからない。16号で川越から254号に入った後は細い道に入り込み、見知らぬ田舎道を走り続けた。

 

麦の穂が黄金色に輝く畑の農道を走り、どこまでも続く田植えの終わった田園風景の道を久しく走った。時折小雨がぱらつくが気になるほどではない。見知らぬ道をスマホナビに導かれて走るのもそんなに悪くはない。

 

それにしても早朝5時に出発するなんて久しぶり。セローの荷台はキャンプ道具満載だし。これだけ積んで走れるのもこのバイクの長所だろう。

どこかの道の駅でトイレ休憩し、どこかのセブンでコーヒーとパンを食べた。やがて杉並木街道に入ったので日光が近い。そこで再びスマホナビの目的地に裏磐梯キャンプ場を設定し走り出す。

 

日光からは、すっかり鄙びてしまった鬼怒川温泉街を過ぎ、川治温泉、会津西街道を北上。この道は東北へ向かう時に何度も走った道。道の駅会津たじまで休憩する。このあたりまで来ると旅心が刺激される。大内宿や、塔のへつりなど観光名所も多く、街道沿いの家々も会津ならではのたたずまいを感じる。天気も晴れてきて、ようやく暖かくなってきた。大型バイク3台が手を上げてセローを追い抜いてゆく。重低音の良い音してやがる。

みちの駅磐梯に着いたのが13時頃。ここからキャンプ場は目と鼻の先。磐梯山も見えてきた。なにか食べるか迷うが、キャンプ場に着いて遅い昼食を作ろうと思う。

キャンプ場へ向かう途中の磐梯山が美しかったので路肩にセローを止めて眺める。一般道を走るには、このバイクの気軽さが強みとなる。自転車感覚の軽さがある。

スーパーで食材を買うので、ヨークマートへ行く。以前もここで食材を買ったことがある。ビールはキャンプ場の近くはのコンビニで冷えたのを買うつもり。スマホで簡単アヒージョのレシピを検索し、今晩はジャガイモとベーコンのアヒージョとつまみにピーマンの塩昆布和えに決定。レシピではアスパラを入れるのだが、ちょっと高い上に本数が多いので、ハーフのブロッコリーが100円だったのでそちらに変更。

 

キャンプ場に着き、受付を済ませてサイトに向かう。このキャンプ場はAサイトからEサイトまであり広さは相当なんだけれど、このご時世、テントは一つしか張られていない。嘗ての賑やかさは全くない。このままの状態が続けばキャンプ場も長くは続かないのではないだろうか。

Bサイトをキャンプ地としてテントとタープを設営始めたのが、思ったより遅く15時少し前。この時間なら昼食も夕食も一緒にまとめよう。テントタープを20分ほどで設営し、コンビニにビールを調達しに走ってサイトに帰る。

薪も買ったが、たき火台が無く、小さなバーベキューコンロ一つなので、薪を三分の一に鋸で切ったり、ジャガイモやブロッコリーを茹でたりしているうちにもう17時を回ってしまった。日はまだ高いがビールを飲もう。500mlの一番搾りはコンビニロックアイスで冷やしているので十分に冷えていた。茹でたジャガイモとブロッコリーをニンニクとベーコンをオリーブオイルで炒めたスキレットに入れる。

 

途中で、Aサイトにテントを張っていたVストーム乗りの人が声をかけてきた。沖縄在住のその人は定年を期にバイクで列島縦断の旅をしているという。しばし話をして、紅茶をいただいたので、あとで缶酎ハイを持って行こうと思ったが、その夜も翌朝もテントに人影はなく、どこかで宿泊したようだった。

ピーマンと塩昆布のごま油で和えをつまみとする。あまったミニトマトはそのまま食べる。

ジジイの夕飯には、これだけあれば十分。じゃがりこもつまみながら日が沈むのを待ち、たき火を楽しむ。飲み始めると時間がたつのが早い。夕暮れが迫り、アヒージョ用に買った白ワインの250mlボトルの残りも飲んで酔いが回ってきた。前回の南伊豆キャンプの時飲まなかったジンビームの小瓶もロックアイスで水割り。

それにしても、この広いサイトに人影はない。酔いがほろほろ回ってきたところで、テントの中に入り眠りについた。たぶん21時くらいだったと思う。深夜に夜空を見上げると星がじわりと滲んで輝いていた。

 

翌朝はカラスの鳴き声で目が覚めた。時計をみると5時。また下道で帰ることを思うゆっくりともしていられない。今日の天気は晴れて暑くなると言う。ラジオは夕方は北関東でにわか雨や雷雨が降ると言っている。

朝食は昨日の残り物のベーコンと卵とパンを焼いてかじる。いつもはこんなに食べないのだが、食材を残すのも気が引けるので全部焼いて食べた。

夜露で濡れたテント、タープを撤収し終わったのが8時くらい。ここからは昨日と同じ道、日光経由で帰ろう。スマホナビで導かれるままに走ったら、猪苗代湖から思いもよらぬ峠道に入った。会津若松へのショートカットなんだろうがタイトなコーナーが続く。前を行く地元の軽自動車が早く、みるみる見えなくなってゆく。今地図をみると石ヶ森山を通るショートカットだとわかる。

 

峠を越えるとそこは会津若松の市街で、飯盛山の前に出た。家へのお土産を何か買おうと思っていたので駐輪場にサクッと入る。飯盛山手前のお土産物屋さんの赤べこという看板が目についたのだ。

お土産物屋の店主さんと幕末の会津藩の無念な結末についてしばし話し、あかべこを買った。あかべこの体の斑点は当時流行した水疱瘡を家族の身代わりになってふせいでくれるという言い伝えがある。店主さんはサービスで七転び八起き子法師をおまけでくださったのが嬉しかった。

会津西街道を南下途中の道の駅たじまに立ち寄る。ここでもお土産に、妻が好きな福島名物いか人参を買う。喫煙所でタバコを吸っていた人とバイクはいいねぇって声をかけられる。

日光までの121号は車の流れが早い。普通に走っていると高速道路なみの車が追い越してゆく。日光から自宅をスマホナビにセットするとナビは国道4号線を選んだ。帰り道は景色よりも時間を優先しようと4号線で帰ることにする。

 

国道4号線の北関東は流れが早い。高速道路並みのスピードで走る車も多い片側3車線道路だが景色は防音壁にかこまれていて望むべくもなく退屈な国道。その上埼玉に近づくにつれて渋滞となり、白岡、大宮バイパス、川越市街は猛暑とにわか雨のなかを走ることになる。

 

目もくらむような暑さと戦いながら渋滞の16号を耐え、自宅についたのが16時ごろ。どんなツーリングでも無事に家に着くとほっとするのは変わらない。

 

このツーリングのセローの燃費はリッター45キロ。スーパーカブとまではいかないけれど、今まで乗ったバイクの中では信じられないような燃費だ。派手さはないが、この燃費もセローの長所なんだろうなと思う。ちなみに、ほぼ一日使用したグーグルマップは0.1ギガバイトの使用で2日で0.2ギガバイト。以外と少ない。

 

                                                6月7日(月) 8日(火)