四萬部寺からの真福寺の道は道路工事で通行できなかった。また納経所が真福寺にはなく、手前の光明寺にあることから、まずは光明寺を尋ねて御朱印をいただくことにした。日差しは昼近くなるにつれてますます強くなり、僕はセブンイレブンの駐車場でヘルメットを脱ぐと手拭いで汗を拭いた。暑さのせいかあまり空腹は覚えなかった。納経所は12時から休憩に入ると聞いていたので、アイスクリームを食べて時間を調整することにした。次々とお客が入っては出発していく車を見て、生きていくということは、こういうことなのだろうと思う。

 

光明寺に着いたのがちょうど12時半。砂利敷の駐車場の照り返しが眩しく暑い。光明寺は比較的新しく大きなお寺だった。ちょうど納経が開始された時間だったようで、一組の夫婦が御朱印をもらっていた。休日にはきっと納経待ちの列ができるのだろう。

 

光明寺を参拝し真福寺へセローで向かう。出発するとすぐに針葉樹が日差しを遮る林道に入った。小川が横を流れ涼しい。落ち葉が路面に残っているし、勾配がきついほぼ180度のコーナーではセローでも慎重になる。そんな葛折りの道を登ると真福寺はあった。まずは小高い山の駐車場にセロー と停める。

ここからさらに歩いて石段を登って行くのだが、石段の脇には御地蔵さんが。石像さえも丸くなるほどの時間が流れている。

急な石段を登ると真福寺はあった。建物は木立の中にひっそりと佇んでいる。

大棚山 真福寺。寺の由来について読むと老婆の霊を供養するためとある。

御詠歌

めぐり来て ねがいをかけし大棚の 誓いもふかき 谷川の水

 

人々は観音堂の前で手を合わせ何を祈るのだろう。自分は何を祈るのか。欲を捨てなければ心穏やかにはならないのだがそんな境地にほど遠い。