大学院を卒業後してから5年半にわたり世界を旅することで、フリーライターとして身を立てようとした著者が旅の様々な体験や、生きることの意味を綴る。その語り口は淡々としていながら、ストレートに心に響く。それはある意味不器用なくらい生真面目な著者の気質から発せられているからだと思われる。また吃音に悩まされた著者の生い立ちが著者の生き方に大きな影響を与えている。どこかで聞いたことのある言葉も、体験に基づき発せられると、言葉以上の説得力を持つものだ。

 

「自分の選択が正しかったか間違っていたかなど、判断することは決してできない。正しかったか間違っていたかを問うことにも意味はない。だからこそ、いま自分が進んでいる道をただ全力で生きていけばいいんだ。」

 

「ライターを志したころ想像したようには進んでいません。やはり、人生は思い描いたようにはいきません。でも、想像するようにいかないからこそ面白く、日々を懸命に生きる意味がるのだと思います。ただとにかく、自分の人生に向き合おう。」        (「」内本書より引用 )

 

ノンフィクションライターとして自殺について取材し考察することもある中で、著者が生きることの意味を迷いながらも丁寧に語る。生きづらいこの世界で、躓きそうな人に読んでいただきたい一冊。