セローはオンロードバイクに比べタイヤの露出面積が多い。なのでタイヤが汚れていると洗車してもなかなか思ったように輝かない。そもそも綺麗に乗るバイクではないのだけれどタイヤの泥を落としたついでに近場を散歩してみた。
天気は曇りだけれど気温が高いので、バイクジャケットではなく普段着、ディパックを背負ってで街を走る。近所を気軽に散歩する気になるのもこのバイクの良いところ。ローで軽く制限速度まで回ってしまう大きなバイクでは、街中を散歩する気にはならないもの。そんなことを思いながら、軽快に走り近くの河原まで来た。
公園は、今にも雨が降りそうなためか人が少ない。そしてバイクの後ろの植え込みの中からか猫の鳴き声が。どこから鳴いているのか覗き込んで、声をかけるとのらねこが出てきた。
あまりきれいな色ではないが、そんなことは気にしない。君を「のらみ」と名付けよう。人になれているようでしゃがんでいる足にすり寄ってきて鳴く。
きっと「のらみ」は公園に捨てられてしまった猫なのだろう。でも痩せてはいないので、野良猫ながらもなんとか雨風をしのいで生きているようだ。なにを思って近づいてきたのかわからないが、「のらみ」なりの生きていく本能がそうさせているのだろう。
定年退職後にペットを飼ってこころの友とする人が多いと聞くが、そんな気持ちにさせる「のらみ」だった。


