仕事もせずに自由に暮らしていると、こう言う雑誌を端から端まで読む時間がでてくるもので、じっくり読んでいるとこの雑誌の記事が週刊誌とは違って骨のある記事が多いことに気づく。2月号に引き続き今日3月号を購入した。今月号は芥川賞「推し、燃ゆ」宇佐見りん著 が掲載されているので読んでみたので感想を記しておこう。
女子高校に通う「あかり」は学校の授業にも、家族との関係にも、そして生きることさえにも馴染めずに、俳優でありアイドルグループのひとりでもある上野真幸を唯一の生きる支えとするようになっていた。「あかり」は高校を中退し、定食屋のアルバイトもやめてますます生きる力を失ってゆく。
一方「上野」も、ふとした仕草に暗い影があるアイドルで、ファンである女性に手をあげるというスキャンダルから、やがてはグループの解散、芸能界からの引退と言う道を辿ってゆく。
「上野」を失った上に、高校生活も仕事も失い、食事も喉を通らず痩せ細ってしまった「あかり」は街をさまよう。そして最後にまた生きていこうと思う。
女子高校生の視点から見た学校や街、母、父、姉、祖母、教師、友達が独特のタッチで描かれている。それは画家が描いた絵のように暗く歪んでいるが現実味を帯びている。
