今年最後の投稿として,
先日,12月6日の2年目の経過観察における血液検査の結果わかったリンパ球数について,
そして自己免疫力とストレスの関係について書こうと思います.
以前から何度も投稿していますが,
「がん」と闘う上で,そしてまた「がん」にならないために,
私が一番大切だと思うのは「自己免疫力」=「自己免疫システム」です.
これは,ご存じのように,体内にがん細胞の元となる遺伝子異常を有する細胞や,外部から侵入してくる異物から体を守ってくれる防衛システムです.
その役目を担っているのが白血球です.
白血球には
「リンパ球」
「顆粒球」
「マクロファージ」
などがあります.
その中でも「リンパ球」はとても重要です.
というのも,
がん細胞を攻撃してくれる兵隊さんである
- ナチュラルキラー細胞(NK細胞)
- T細胞
は病原体から体を守る生体防御の重要な細胞
で,ともに「リンパ球」に含まれているからです.
さらにいうと
NK細胞=
自然免疫(先天的に備わった免疫で異物に対して即座に反応)
T細胞=
獲得免疫(感染経験などに基づいて形成される免疫でメモリ効果によって生成される)
このためNK細胞は遺伝子変異によって体内に生じた腫瘍細胞に対しても即座に作用し,
獲得免疫のように感染経験などのメモリーを必要としません.
そしてリンパ球の10~30%を占めます.
白血球の量にもよりますが,そもそものリンパ球の数が減少してしまうとかなりヤバいですよね😣
リンパ球は,
絶対数で言うと成人だと血液1立方ミリメートル中に1500~2500個程度が基準値ですが,この基準値以下になると危険です.
肺腺がんに罹って以来,私はずっとこのリンパ球数に注目していますが,
今月の12月6日に行った2年目の経過観察の結果です.
そして今回の結果を追加したこれまでの私のリンパ球の推移です.
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20231230/18/hironaru227/d8/24/p/o1978120115383452369.png?caw=800)
嬉しいことに、
前回6月の経過観察の結果に引き続き、正常範囲の上限値付近で安定していることがわかりました.
肺がんが発覚した2021年9月の人間ドックでは,
過去最低の1419を記録しているのがわかります.
そして2018年11月の検査あたりから減少傾向にあったこともわかります.
これについても以前投稿しましたが、
ちょうどこの年の12月に民間企業との大きな共同研究契約を交わし研究が開催されたのですが,私にとってはそれまでの研究分野と少し異なる分野だったため,前もって勉強し,調べないといけないことも多く,その研究計画の立案で9月頃から寝る間もないほど多忙を極め、ストレスMAXの状態が連日続いていました。
そして,予算の振り込みが行われた2019年1月から実際に共同研究をスタートしたのですが,共同研究というのは名ばかりで,蓋を開けてみると,先方でこの開発技術のことで理解できるスタッフはゼロ!
そんな中でも,いただける研究資金も豊富で,こちらが当初計画したとおりの結果も順調に出していたので続けましたが,営利追及のこの民間企業の方は研究そのものを理解しておらず,毎月行うミーティングでは常に無理難題を言ってきます(笑)
はっきり言って共同研究の体をなしておらず,完全に受託研究で技術開発を行うのは私側.
明らかに契約内容とは異なるため,この共同研究をいっそのこと中止しようとも考えましたが,この予算で雇用している若いポスドクのことを考えたらそういう訳にもいかず,日々ストレスを抱えながらも,どうにか2021年6月のプロジェクト終了時までにはこちらが当初目的とした成果を出すことが出来ました.
そういう意味では良かったと思うのですが,
命削って,研究資金を稼いでどうすんねん!
ですよね(笑)
おそらく,この2年半(プラス3ヵ月)におよぶ長期にわたって継続するストレスのお陰でリンパ球数が減少をはじめ,2021年の9月(肺がんが発覚したとき)には見事にミニマム状態になってしまったのだと思います.
そして,私の肺腺がんの芽はこの期間どこかで発生し,成長を続けていたのだと思います.
生きていく上ではどうしても避けられないプレッシャーやストレスはありますが,肺がんになって以降は,少し仕事に対する考え方も変え、如何にそれらを自分でうまくコントロールできるようにするかを常に心掛けています.
その甲斐あってか,
最近は仕事面でもかなり充実した日々を送れており,
術後順調にリンパ球数も復活してくれました.
毎日,がん細胞を生み出す遺伝子異常を持った細胞は5000~6000個ほど発生しているそうです.
これを自己防衛システムを担う兵隊さんたちが日夜必死に死滅に追い込んでくれているわけですが,その重要な任務を担う兵隊さんたちが少なくなったとしたら、パワーバランスが壊れてあっという間にがん細胞の侵略が始まってしまいます.
医学的にも,過度の持続するストレスが自己免疫力を減少させてしまうということは証明された事実です.
また
この過度のストレスで自己免疫力が低下する原因には,自律神経の乱れが大きく関係しています.
ご存じのように自律神経には,交感神経と副交感神経とがありますが,
これらの神経は、体を異物から守るリンパ球などの免疫細胞の働きに深くかかわっています.
これらがバランスを保ってよく働くことではじめて自己免疫機能は正常に働きます.
過度に精神的なストレスが加わることで,
- 血圧や心拍数の上昇
- 身体を動かす筋肉の収縮
- 内臓筋肉の緩み
等が生じます.
このような状態は,交感神経が優位な状態で筋肉の緊張や内臓の不調がもたらされます.
一方,ストレスフリーで副交感神経が優位な状態では,
- 血圧や心拍数の低下
- 身体を動かす筋肉が緩む
- 内臓の筋肉が収縮
などが生じます.
なので,
このストレスがかかった状態とストレスから解放される状態がバランスよく保たれて自律神経のバランスも保たれますが,
ストレス状態が継続して長く続きすぎると
交感神経優位となり免疫機能の低下が齎されることになります.
人間生きて行く上で適度なストレスは必要ですが,
過度な持続するストレスは要注意です.
来る2024年もしっかりと自律神経のバランスを制御して自己免疫力維持に気をつけたいと思います。