今日は朝から少し余計なことを言ってしまったので(笑),
物体の色について少々.
新入した1年生を対象とした6月の特別講義の資料の一部を使って説明させていただきます.
いつもとトピックが完全に異なるので
興味なければ完全にスルーお願いします.
もし科学に興味があれば是非!
電磁波について
先ずその前に説明しないといけないのが
電磁波についてですが,
電磁波というと,
世間一般の人はスマホの電波とか
電子レンジ?
などと想像するのではないでしょうか?
世間で一般に言う「光」も電磁波の一種です.
さらに厳密に言えば一般的に言われている「光」とは「可視光」というものです.
何となく聞いたことがある単語だと思いますが
波長で言えば,400nm~800nm*の光です.
*1nm(1ナノメートル)=1mの10の9乗分の1の長さ.
原子の大きさの2~3倍程度です.
この電磁波には波長の長さによっていろいろな応用範囲があります.
ちなみに,今回の特別講義では,
医学部の受講生さんが多かったので医療機器寄りで資料を作っています(笑)
物体の色とは?
前置きはこのくらいにしておいて,
タイトルにある物体の色について
物体の色は,物体から反射してきた光がどのような色をしているかということです.
物体に白色光(一般に言う可視光で青,緑,赤の光の3原色を含んだ透明の光)を照射するとある特定の波長の光だけを吸収したり,透過させます.この吸収されたり透過せずに反射してきた光の波長に相当する色で物体の色が決まってしまいます.
例えば,一般に黒いものは光を吸収すると知られていますが,これは黒いと思われる物体が可視光のあらゆる波長の光を吸収するため反射してくる光がほとんどないということです.
逆に,白いものは光を反射すると言われていますが,黒色と逆でほとんどすべての波長の光が反射されてくるためです.
さらに言うなら,
植物の葉っぱが緑色に見えるのは,葉っぱの中に含まれる葉緑素が緑色以外の光を吸収して光合成を行うためで,これに必要ない緑色の波長の光が反射されてくるためです*.
*なんか幻滅させる様なことを書いてすみません😅.
でも,花色や葉色にしても我々が感じる色は,植物が我々人間を喜ばせてくれるために,わざとその色の波長の光を使わずに我々のために残してくれるのだと,私は思っています😉
またさらに言うならば,
ナトリウムランプというものがありますが,
波長で言うと589nm程度の黄色い光のみを放射するランプです.
これは実験室などの室内灯としてもよく使いますが,この光を使って皆さんが赤色と思っているリンゴを見てみると黄色いリンゴになります.
つまり,照射する光の中にもともと赤色の光の成分がなければ赤には絶対に見えないということです.
幸い,太陽光には紫外線から可視光,さらには遠赤外領域の波長の光(というよりも電磁波)が含まれており,このうち可視光(RGB3原色に対応する波長を含んだ光)があるために,我々は世界をバラ色にも感じ,暗黒色を感じることができます.
この色というのはあくまでも物体側からいうなら必要ない(吸収しない)光の波長に対応する色ということです.
一方,
人間が見ている物体の色は、物体から反射してきた光を眼の奥の網膜で受光し,この受光した信号を視細胞で検知して視神経へと伝達し,赤、緑、青(RGB)それぞれに反応する細胞から脳へ色情報を送っています.
このそれぞれの色に対する感度は,人間の目の場合,緑が一番強く,青や赤に対する感度はそれに比べてかなり落ちます.
また,その感度は人によって違いますし,年を取ることによってもかなり変わってきます.
なので,新緑の葉の性質は未来永劫変わらないとしても,
人間にとって,若い頃には鮮やかな新緑に見えた若葉が,ひょっとしたら年を取っていくとともにくすんで見える様になるかもしれませんね😅
これに対し,CCDなどの受光素子が感じる感度は作成段階である程度自由に調整することが可能であり,一般に青や赤に対しては人間の目の感度よりも高くなっています.
そのため可視光がある物体から反射されて,
赤がその他の色の光に比べて比較的強く反射されてくるとした場合,
その他の色に対して赤の強度は人間の目ではそれほど強くなくても,
CCDなどで受光するとその(人間が感じる感度に対しての)相対値は他に対してかなり強くなる可能性があります.
なので,自然光で見た赤い花の色が,
CCDを介して撮った写真で見ると発色具合がどうも異なるということは大いにあり得ますね.
さらに言ってもよいですか?
いつも思っていることですが,
最終的に人間が感じる色というのは
個々の脳が判断して決めることで,
人間には個体差がかなりあり
遺伝子情報も異なることから,
(各々の遺伝子が100%同じなら問題ありませんが)
ひょっとして私の赤色は,あなたにとっての青色なのかも知れません.
これについては個々の感性の違いなので確かめようがないですね.