作用と主観の関係を現象学的に解釈する際には、ほとんど根絶しがたい「二つの根本的誤謬」を警戒しなければならない。すなわち、まず【1】事物それ自身は外にあり、意識の内にはその代理者として「写像」(心像)があると考えるとすれば、これによって表象作用の事実を十分に解明したと思い込む「写像説」に対する警戒である。この説に対しては、この解釈がもっとも重要な点を我々は現出する「写像客観」に基づいて模写された客観を思念するのであるという点を「まったく見落としている」ことを批判されねばならない。ところが写像の機能を果たす「客観の写像性」は明らかに内的性格とは言えない。すなわち客観は、必ずしも「写像的である」とは言えないのである。(フッサール)「写像説への批判と警戒」