「食育」も「キレる子ども」から | 女子リベ  安原宏美--編集者のブログ

「食育」も「キレる子ども」から

 2007年9月19日の読売新聞によると、「道徳教育」の教科化は見送られました。

 その理由はこうでした。

 http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/news/20070919ur02.htm

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「道徳」は現在、正式な教科ではないため、政府の教育再生会議が今年6月の第2次報告で教科への格上げを提言していたが、中教審は「道徳は子供の心にかかわるもので、教科書を使って教え込むものではない」と判断した。

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 「道徳」とか「9条」とか「愛国心」のワーディングの話だと、「なんかやばそう・・・」という気がする人は多いと思う。けれども、「バランスのとれた食事を!」とか「子どもを犯罪から守ろう!」とか「環境をきれいにしよう!」 というのは大筋多くの人が同意できるので、私が権力者なら、こっちで粛々と物事を進めます。「そんな、目くじらたてること?」といわれそうな話で。

 2005年7月に食育基本法が施行されました。いまや日本全国の学校等で、食育が行なわれているようです。でも中にはコンビニ弁当や添加物を「毒物」扱いしたりする行き過ぎた授業もあるようです。


 かのTOSSの「食育」授業にはこのようなラインナップもあるようです。「自然塩」と「食塩」であさりの「砂出し」の実験があって、「自然塩は3分で殻が開いて、食塩なら5分。よって自然塩のほうが身体にいい」とか書いてある・・・。ええええーーーー!!まず、5分でも開かないと思うけどー(昔撮影でやったことがあります)早く開いたからって体にいいとか悪いとかでもないと思うが。

http://www.dokidoki.ne.jp/home2/toykazu/

 

 ほかの授業の子どもの感想なども載っていたがひとこと「怖い」っていう感想が・・・余程怖い・・・。そんなめちゃくちゃな話で「恐怖」を植えつけてどうするの?


 そしてTOSSと食育推進者の服部先生である。

http://syokuiku.yomiuri.co.jp/semi_repo_01.htm


 服部先生の本から抜粋します。ちなみに服部先生に限らず、食育推進者の本には、すぐ「キレる子ども」の話が出てきます。

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 箸の使い方や偏食などを正す指導や注意をされないままで済まされ、それに慣れてしまうと、ほかのことで親から注意や意見をされたときに、ムカついてキレる原因につながってしまいます。

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 (清涼飲料水を飲むと低血糖になって)、アドレナリンというホルモンが出ます。これは一種の闘争ホルモンでこれが出てくることで興奮状態になり暴力的な精神状態になってきます。低血糖の状態を補うためにアドレナリンが一気に出てきて興奮状態になるので、いきなりキレてしまい、しかも脳が活動していないために、自分でもわけがわからないうちに、人に暴力をふるったりしてしまうことが起こるといわれてます。

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 これが「砂糖でキレる」話で、ちなみに飲まなくなっても「パブロフの犬」状態になってボトル見ただけでも「キレる」・・。

 まずこの話は科学的には否定されていますし、砂糖や清涼飲料水があまり手に入らなかった昔のほうが「暴力犯罪」は圧倒的に多いですよ。

 で、「砂糖がキレる」という発信モトはどこなんじゃい?って思ったら・・・、ここでも黒磯か・・・。そしてまた朝日でございましたorz もうほんとに頼むよ~。

http://sugar.lin.go.jp/japan/view/jv_0008a.htm

http://www.health-station.com/topic-54.html

 「1998年1月28日栃木県黒磯市で、中学校の女性教諭が男子生徒にナイフで刺殺された事件がありました。

 事件の解説記事の見出しは、「キレる、いじめ-食生活に原因」、「食に関する教育の周知徹底を」、「砂糖の摂りすぎが心を不安定に」となっており、本文中に、某教授のコメントがあって「『栃木県の女性教師刺殺事件が起こった時、生徒がキレた状況は砂糖を大量に摂ったときの症状と似ているなと思った』砂糖を大量に摂ると、体内でインシュリンが大量に分泌され、血糖値が下がりすぎ、いらいらしたり暴力行為を起こしたりする。子供たちの心が不安定な原因の1つは砂糖の摂りすぎにあると某教授は考えている。」と書かれていました。」


 服部先生はこのようなことも書かれています。

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 アメリカで規範意識の回復に寄与したのが、子どもに対する躾です。アメリカでは子どもが悪いことをしたら、3歳~8歳までの間は手やお尻をパシッと叩きます。略)また誉めるときも叱るときも、子どもと同じ目線でとか、いいことをしたらハグして言葉とかけてあげる等等、躾のノウハウが確立されています。略)一方、いまの日本では家庭の躾が崩壊しています。

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 「アメリカのようにデブになるな」といったり、「アメリカのようにハグしろ」といったり・・・。教育再生会議で失笑をかっていた「抱きしめればいい」はこのへんがモトネタなのかなあ・・・。


 「食育」に関して、自給率の部分では確かにうなづけるものもあり、すべて否定するわけじゃないけれども、自給率だって、完全に戦後「農政」の経緯があって、こうなってしまってるわけで、そこを教えないといけないんじゃないの? それを「生活の規範が崩れた」とか「食が欧米化して好きなだけ食ってる食生活がいかん」とか「砂糖で子どもがキレる」とかを切り口にして、こっちのせいにするのは違うんじゃない?