携帯で子どもは守れるのか? | 女子リベ  安原宏美--編集者のブログ

携帯で子どもは守れるのか?

私の好きな雑誌『暮しの手帖』がリニューアルされました。

広告を入れない方針をとる『暮しの手帖』のウリのひとつは歯に衣着せぬ「商品テスト」。そのリニューアル号の商品テストが「GPS機能(位置情報)のついた子ども用携帯をテストする」です。

 これねー私知りたかったんですよー。ほら、あの原爆が近くで爆発してもぴんぴんしてるジャックバウワーががんばるドラマ『24』見ても、GPSってすごい精度じゃないですか…(メディア悪影響論 笑)。ほんとにわかるのかなーって思って、友達に一度やらせてって頼んでみたんですが、嫌がられてたので諦めてたんです。ほんとはこういうのこそジャーナリズムがやって欲しいんですけどね。人文系でも「セキュリティ技術が発展してオーウェルみたいな世界がーorz」って、勝手に敵を作って大きくして悦に入る左翼的言説もいやんなっちゃうわんって思うんですよ。

 『暮しの手帖』の、問いは「近年、子どもを狙った犯罪が多発していますが、ほんとに携帯で子どもが守れるのか」です。「子どもを狙った犯罪が多発」という前提のところには突っ込んでませんが、私が「子どもを狙った犯罪が多発していると信じている母」だとすると興味がある話です。なんかお金もかかりそうだしね?持たせようかどうしようかと・・。

 最終的には、記事を読んでて、そういう親でも「まだ持たなくていいのかな」って思うかなと思いました。非常にわかりやすい記事です。要約しつつ抜粋しますね。興味ある方はぜひぜひ本誌をご覧ください。


 今、売られている子ども向けの携帯電話は、3つのサービス会社ですが(NTTドコモ、au、ウィルコム)、以下4つの機能を満たしているのはNTTドコモのキッズケータイとauのジュニアケータイ。

 1 特定の相手にしか電話・メールをできなくする機能

 2 ウェブサイトの閲覧を制限する機能

 3 携帯電話のある位置がわかる機能(位置情報サービス)

 4 防犯ブザー

 このうち、子どもの安全や防犯に関わるのは3と4です。商品テストは3の「子どもの位置情報」がどれくらい正確にわかるのか、という視点で行いました。ウィルコムのパピポは「東京都新宿区西新宿付近」というおおまかな住所しか出てこないので(煩雑な手続きをすれば見えるが)テストから省く。

 というわけでウィルコムは『暮しの手帖』判断で不合格。テストから脱落。厳しいですね『暮しの手帖』。ドコモのキッズケータイとauのジュニアケータイの勝負になりました。テスト方法、テスト場所、テスト結果の地図(実際いた場所と携帯情報が示した場所を記載)を掲載があって・・・。

 結果は・・。

 ◎ ドコモとauの差 半径50メートルの範囲内を示した回数

 キッズケータイ 100回中62回 ジュニアケータイ 100回中56回

 だいたい6割当たって、4割外れるようです

 ◎ 地下や屋内での検索で半径50メートルの範囲内を示した回数   

 キッズケータイ 45回中 16回   ジュニアケータイ 45回中 7回   

 屋内や地下にいると精度がさらに落ちます。


  『暮しの手帖』の評価は端的にいうと「位置情報の精度には不満。だいたい子どもの居場所を捜すには50メートルの範囲内でも難しいことがある。」でした。

 さらに『暮しの手帖』はおもしろい指摘をしています。

 「横浜の通学路にある川沿いの道でのテストであったように、たとえ範囲内で検索できていても、川の中にポイントが示されたりすると、親としては気が気でなりません。ぎょっとするではないか。川でなくても、幹線道路の路上であるとか、工場の中であるとか、ただ近くを歩いているだけで、子どもが危険にさらされるような場所を示してしまう可能性は避けられません。対策は難しいのですが、せめて説明書にはある範囲内を示すものだということをもっと大きく書くべきでしょう。」 

 確かにぎょっとしますね(笑) なんか検索すると余計不安になりそうなんだなー、と。

 最終的には「暮らしの手帖」は以下の提言をしています(が、安心機能は私はいらないなーと思った次第です)。

 ・ 位置情報の検索精度をもっと上げること

 ・ 防犯ブザーと位置情報を連絡の連動

 ・ 子どもの手のサイズにあった大きさ

 ・ 必要な相手にだけ、電話とメールができること

 ・ ウェブサイトの閲覧やゲームができないこと(電池がもったいないって話と犯罪に巻き込まれる可能性があるからっていう理由)

 ・ バッテリーの保ち時間を長くすること


 こんなことも書いてました。

 「携帯電話のサービス会社には子どものうちから携帯電話に慣れ親しんでもらって、中学、高校になったら大人用の携帯電話を買ってどんどん使ってもらおうという狙いがあるのではないでしょうか。大人に携帯電話がすっかり普及した現在では、子ども市場はこれから売り込みができる市場だからです。」

 

 一応料金の情報も。

 月額に基本料金(ドコモ 210円 au315円)に加えて、1回検索ごとに料金がかかります(一検索 ドコモ 5.25円、au6.3円)。