この映画はユアインが出ているので観たのだが、ハッキリ言って面白い。大企業の室長役ユアインがクスリをやっていると言う設定が今思えばリアル過ぎるかもしれない。しかし流石ユアイン、狂気の演技に惹きつけられる。たまたまyoutubeでこの映画の舞台挨拶を見たら、刑事役のファン・ジョンミンが、あまりにもヘラヘラ笑っているユ・アインを冗談で(クスリを)やってるんじゃないか的な発言をしていて、今観るとこれは笑えない。

 ファンジョンミンの力の抜けたキャラ設定もいい感じだ。私はスーツを着てメガネをかけたエリートっぽいユ・へジンは見慣れなくてちょっと違和感があったが。

 そしてユ・アインがラスト近くに車で逃走するシーンがあるのだが、これがとにかく凄いの一言。運転は別人がやっているにしてもクレイジーな運転技術である。そしてカメオ出演しているのがアッと驚く強面のあの方。さりげない登場に驚いた。

 刑事ソ・ドチョル(ファン・ジョンミン)と同僚の女性刑事ミス・ボン(チャン・ユンジュ)が夫婦を装って、ある中古車販売店に行き、ベンツの試乗をする。この店はロシアへ車を密輸していると言う噂だ。だが駐車場でベンツが盗まれ、広域捜査隊のオチーム長らが行方を追う。

 翌日ドチョルはトラックに乗せてもらい、密輸一味を捕らえるため港に行く。運転手のぺ(チョン・ウンイン)は子連れで、ドチョルは子供に小遣いを渡し、運転手には賃金の不払いがあったら連絡してくれと自分の名刺を渡す。

 後日ドチョルは映画の打ち上げの席に呼ばれるが、そこで葉巻を咥えた若い男に会う。ユン社長がドチョルを客に紹介した。このパーティの主役はシンジン物産の副社長に昇進予定のチョ・テオ企画室長(ユ・アイン)。

 ニヤリと笑ったテオはいきなり両隣にいた女性にセクハラまがいの行為をした。ドチョルは呆れて彼の顔を見ると、テオはテーブルの上にあったグラスや食べ物を下に投げ捨てて、テーブルの上に乗って頭をつけて謝るのだった。

 ドチョルを見て「全然ビビらないな。さすがベテランだ、カッコイイ」と言ってドチョルに笑顔を向ける。警察署に戻ったドチョルはチーム長にチョ・テオは犯罪位のn臭いがプンプンすると言った。

 テオは会社の前で賃金不払に抗議するペ運転手の姿を見て、彼を自分の部屋へ呼ぶ。ペ運転手は子供と一緒だった。そこへ昨日ぺ運転手が賃金不払いを訴えた所長が来る。するとテオは室内に飾ってあったおもちゃを子供にやり、引き出しからボクシングのグローブを二組取り出す。そしてグローブを所長とぺ運転手に渡して「殴れ」と言い、室内の」監視カメラを止める。

 ぺ運転手がひるんだ隙に所長が何発も殴り、子供はそれを見て泣いてしまう。出血しながらもテオから投げつけられた金を拾い部屋を出て悔しさのあまりトイレで泣く運転手。怒りが収まらないぺ運転手は子供をタクシーに乗せて、自分はもう1度テオの部屋へ行く。

 ドチョルは連絡を受け病院へ駆けつけると、ぺ運転手の子供が泣きじゃくっていた。子供がやっと話したところによると父親は階段から落ちたと言うが、子供はその現場は見ていない。

 ドチョルが現場へ行くと広域捜査隊はは管轄じゃないと言うチェ常務 (ユ・へジン)。そしてぺ運転手の件はもう処理したと言う。テオはエレベーターで降りて来るが、ドチョルには構わず格闘技のリングでボディガードを相手に戦い、卑怯な手で優勢になるとボディガードの足を折ってしまう。

 病院でぺ運転手の妻に見舞金を渡すチェ常務に食ってかかるドチョル。しかし警察内部でテオと繋がって便宜を図る刑事がいる為ドチョルは広域捜査隊の部長に呼ばれて説教され「シンジン物産の件には一切関わるな」と言われてしまった。

 その頃チェ常務はドチョルの妻ジュヨン(チン・ギョン)に会ってブランドのバッグに入れた金を渡そうとしていた。しかしジュヨンは金を受け取らず、その足で警察署に行ってドチョルに不満をぶつけた為、怒ったドチョルは接待をしているテオの元へ怒鳴り込む。

 ドチョルは知り合いの記者にテオに関する情報を回してくれと頼み、ぺ運転手の事件を記事にしろとと言った。単なる転落死ではなく暴行があったと。

 入院している会長の元へ見舞いに行ったテオとチェ常務だが、ぺ運転手の事件を記事にされて会長は怒り心頭していた。会長はテオの代わりにチェ常務の尻を鞭打ち、「今度問題を起こしたら遺産はやらないからな」と言い渡されたテオはショックで車の中でクスリを使ってしまう。

 一方ドチョルに記者からシンジンの圧力を受けて、これ以上記事は書けないとメールが来た。シンジンの所長の居場所を突き止めたドチョルは「管轄外の事件だからやめとけ」とチーム長に言われたが、無視した。

 所長の隠れ家にユン刑事(キム・シフ)と共に行ったドチョルは所長を捕まえたが、ユン刑事が刺されてしまう。それを聞いた広域捜査隊の部長は怒り、黒幕を連れて来いと言いった為この事件を捜査することになったドチョルたち。

 その頃ドチョルはぺ運転手の妻に会っていた。彼女は夫が自殺前に打ったと言うメールが不自然だと言う。そこでドチョルはメールが送られた時間と救急車が呼ばれた時間が不自然なことに気がついた。

 一方会長に呼ばれたテオとチェ常務。そこで会長はチェ常務にぺ運転手の件と刑事の刺殺の件の罪を被ってくれと頼む。執行猶予でカタがつくからと言う。

 チェ常務は警察に自首するが、ドチョルの怒りが爆発する。身代わりになれば人生は安泰なのか?

 刑務所にチェ常務を訪ねるドチョル。「ぺさんが子供をタクシーで帰してテオの部屋に戻った時、テオが直接手を下したんだろ?お前たちが自殺に仕立てたんだ」と言うドチョルに「証拠は」あるのか?」と余裕のチェ常務だったが、ドチョルが連れてきたボディガードを見て焦る。

 ボディガードはテオに骨折させられてクビになったのだ。彼は事件の時部屋にいて一部始終を見ていた。

 チェ常務は言う。「室長は明日シンガポールだ、逮捕する自信はあるのか?」テオは今夜パーテイを開き、明朝出発だ。シンガポールに行ってしまえば、薬物使用の証拠が消える。

 チーム長は広域捜査隊の部長にどれだけ尽くしてきたかを言い、その為負傷した腹部を見せる。負けじとドチョルも怪我した太腿を見せ、部長も東部の怪我を見せると言う怪我自慢になってしまったが、部長の同意を得てチームはテオのパーティ会場の前で張り込んだ。

 そこへテオの彼女ダヘが乗り込んだが、慌てたテオはダヘにクスリを打とうとする。それを見つけたチームのミス・ボンがすかさずテオが女性をレイプしていると通報。

 それをきっかけにビル内に突入した刑事達は麻薬パーティに参加した客達を次々と検挙する。その間にテオは車で逃げ出すとドチョルは警察のオートバイに乗ってテオを追いかけた。

 通りを猛スピードで駆け抜けるテオは何台ものパトカーにぶつかるが、それでも逃げて行く。挙句の果てにはドチョルのオートバイも潰してしまった。

 車から降りてきたテオはドチョルと激しく殴り合う。だが監視カメラに気づいたドチョルは殴られっ放しになるが、そこへガタイのいい男が止めに入る。

 出血したドチョルは「これは正当防衛だ」と呟きテオに向かっていくが、そこへパトカーが現れる。手錠をかけるドチョルだが、テオが立ち上がった瞬間ミス・ボンの見事な足蹴りがテオの体にキマった。

 この映画は観客動員1,300万人を突破したらしい。韓国映画では上位に位置するそうだ。しかも2018年中国でリメイクされたとか。

悪い奴には容赦ない刑事役のファン・ジョンミンの痛快さがたまらない。しかもユアイン演じる御曹司チョ・テオの一見物腰の柔らかそうな雰囲気と裏の顔が極悪でメリハリが凄い。特に前半で見せた、女性の顔にこれでもかと食べ物を押し付けるハイテンションな演技はちょっと疑ってしまうぐらい迫力があった。しかも女性の一人はパク・ソダムだった。

 そしてガタイのいい男はマ・ドンソク!