ジュノの除隊後の復帰作だが、最初にオファーを受けたのは別の俳優だったが、断った為ジュノにオファーが来た。やっぱり彼は持っている。いつも感心するのは作品選びが上手だと言うこと。ほとんどハズレの映画やドラマがないからだ。

 しかも今回の相手役がイ・セヨンだったと言うことも良かった。相性が抜群にいいのはメイキングを見たらよくわかる。そして驚いたのはイ・サンの祖父、英祖(ヨンジョ)を演じているイ・ドクファ、特に認知症の症状が現れてからの演技が素晴らしかった。確か百想芸術大賞ドラマ部門助演賞にもノミネートされていたはず。

 そして衣装やセットも華やかで豪華な感じがこのドラマに賭けるMBCの本気度を表していたように思う。特に最初の方で英祖の許しを得ぬまま虎退治を強行したイ・サンが龍の絵が描かれた衝立に囲まれていたシーンがあったのだが、龍の絵が素晴らしかった。

 幼いドクイムは利発で仲間に本を読んで聞かせていたが、それを提調尚宮(パク・ジヨン)に見つかり罰として王である英祖の亡くなった妻暎嬪の弔問に行かされるが、道に迷ってしまう。そこへ亡くなった祖母に会いたくてこっそり宮殿を抜け出して来た同じ年頃のサンと出会い、二人は一緒に暎嬪の弔問に行ったが、ドクイムはその男の子が王の孫のサンだとは知らなかった。

 月日は流れ、成人したサン (ジュノ)は人々を襲う虎を退治すべく奔走していたが、祖父の英祖(イ・ドクファ)は退治しようとしない。

 ある日サンのいる場所に滑り落ちて来たドクイムの勢いで川に一緒に入ってしまったサンはドクイムに反省文を書かせるが、ドクイムが何度書いて来てもサンの許しを得ることはできず書き直しを命じられる。

 ドクイムは書庫の係を命じられていたが、ドクイムの勘違いからサンは兼司書だと思われていた。

 宮女たちの祭りの日に虎が現れ、宮女たちをその場から逃がすようドクイムに頼むサン。そしてサンは虎を退治をしたが、宮殿の翊衛司を動かした事で王の臣下たちから非難の声が上がり、何日も土下座してやっと祖父の英祖から許しをもらったサン。

 そんな時兄のサンを見つけて妹のチョンヨン公主が声をかけて来たが、その後ろにドクイムがいる事に気付き顔を見られないように扇子で顔を隠したサンだが、池の水面に顔が写ってしまい、世孫であることがわかってしまった。

 書庫を訪れたサンはドクイムに騙した理由を言うが、ドクイムは言い訳ばかりで謝らないサンに腹が立つ。そしてサンのいる東宮での仕事を外して欲しいとソ尚宮(チャン・へジン)に頼むが聞き入れてもらえない。

 サンの母親惠嬪(カン・マルダム)からサンの様子を報告して欲しいと言われたドクイムはしばしば妓房に出入りしているサンの後をつけるが、サンの幼馴染であるホン・ドンロ(カン・フン)に見つかり、殺されそうになったドクイム。しかしサンがドクイムを見つけて助ける。妓房に出入りしていたのはサンの命を狙う者が多い為、味方する者たちと密かに話合う同徳会を開いていたからだ。

 サンは母親惠嬪がドクイムを使って自分の行動を探らせている事に失望し、ドクイムの主人は自分だと彼女に言い聞かせた。

 英祖に謹慎を命じられたサンは書物も取り上げられ、部屋の前にいるドクイムに書物を読んでもらう。また妓房での集まりにもサンの使いとしてて参加するドクイム。

 王妃(チャン・ヒジン)はドクイムの賢さを気に入り、サンの叔母であるファワン翁主(ソ・ヒョリム)の弱みを探るようドクイムに言った。ドクイムはファワン翁主が清の絹を買い占めたと言う情報を王妃に告げる。王妃はファワン翁主を叱りつけ、その話を聞いた英祖はサンを許して欲しいと言う王妃の願いを聞き入れた。

 機嫌が悪いサンの入浴に宮女たちはビクビクしていた。そこでドクイムが入浴の世話を任されてしまう。勝手がわからずバランスを崩して湯船に落ちてしまったドクイムは慌てて陰で着替えた。

 サンは翌日ずっとドクイムの事を考えていたが、ふと宮女たちの話し声が庭から聞こえて来た。その中にはドクイムもいた。サンのことが好きだと言ったドクイムに思わず微笑むサンだったが、その話の後「だって宮女はみんな王の女だから」と言う声が聞こえ、宮女達の笑い声が。それを聞いてムッとするサン。

 サンは御医から英祖が認知症にかかっていると聞かされ驚く。一方ドクイムは提調尚宮に呼び出され、宮廷にいる700人余りの宮女達の為に世孫の後宮(側室)になって欲しいと言われるが、その気がないドクイムは世孫を信じればいいのでは?と言って去った。しかし提調尚宮の部下に部屋の中にある持ち物をを探されたドクイムは「女範」と言う英祖の妻が書いた書物を持っていると言うことで連れて行かれた。

 サンと一緒に庭にいたドクイムはたくさん置いてある凧に興味を示すと、サンが戦で使われる合図凧だと教えられた。するとドクイムは有事の際には世孫を守ると言った。

 サンは子供の頃一緒祖母の弔問に行った事を話し、一緒に行ったドクイムの事が気になっていたと言うが、その事には何の意味もありませんと突き放すドクイムの言葉に傷つくサン。

 一方王妃とサンは英祖の認知症が進んでいる事に危機感を抱くが、英祖は陵幸に行くサンの為に兵を動員できる札を渡した。

 謀反を企てた提調尚宮だったが、合図凧をあげて地方に出かけていたサンに謀反を知らせたドクイムはサンの身を案じて走った。サンを見つけると安心したように彼の胸に倒れ込んだ。

 提調尚宮は謀反の失敗で失脚した元左議政に助けを求め、元左議政は世孫が兵を連れて京都に向かっていると謀反だとでっち上げて英祖を不安に陥れた。一方サンの母は謀反を疑われているサンを助けたいと王妃に相談する。

 宮殿ではそれぞれ持ち寄った料理を並べて宴会が始まったが、その料理の中に英祖は自分が最も嫌う柿とケジャンを目にして怒りが爆発する。王妃、娘のファワン翁主に「お前か?」と聞くが二人とも首を振る。そして英祖は惠嬪の前に立ち「お前か?」と言って焼けた火箸を投げつけようとするが、隣にいたサンが素手で火箸を掴んだ。

 サンは母惠嬪に暫くは私邸で過ごすように言い、王妃に母親の事を頼んだ。

英祖はサンが開いている同徳会の存在を知って謀反を企てていると思い込みサンを呼びつけた。だが認知症が進んだ英祖の口から出たのはサンではなくサンの父思棹世子(サドセジャ)の名前だった。英祖の病が進行している事に不安が募る家臣達。

 そんな中、思棹世子が命と引き換えにサンを王にするように英祖に書かせた〝金縢之詞(クムドゥンジサ)〟の存在を知ったドクイムは王妃と共に大殿に向かう。英祖は金縢之詞〟の隠し場所を思い出そうとする。そしてついにサンはそれを手に入れた。

 英祖が亡くなり、悲しむ暇もなくサンは王位に就いた。英祖の喪が明けるとサンはドクイムに後宮になって欲しいと言うが、返事はもらえなかった。そしてサンの暗殺を企んだ者達が次々と粛清される様子を見たドクイムはサンを恐れた。

 元気のないドクイムの様子を見たサンは賭けをして勝った方が相手の願いを叶えると言って石投げの競争をして負けたサンはドクイムの願いを聞いて友人のボギョン(イ・ミンジ) を宮女として再び迎え入れた。ドクイムはボギョンやギョンヒ、ヨンヒと共に喜び、笑顔が戻った。

 サンが王として国政に励む中、友のホン・ドンロは権力を利用して自分の地位を高めていく。

だが買収された観象監の役人が罷免されたと言う話を聞いたサンの護衛カン・テホ(オ・デファン)はホン・ドンロに忠告するが彼は聞く耳を持たない。

 英祖が亡くなり妻の王妃は大妃と呼ばれるようになった。大妃はサンに後宮を迎え入れるように強く言うが、ドクイムを後宮にしたいサンは同意しない。

 そんな時母の惠嬪はドクイムを後宮にしようとするが、ドクイムは断る。サンは母からドクイムが後宮になる事を断ったと聞き、何故母からそれを聞かなければならないのか納得がいかなかった。

 ドクイムと直接話したサン。サンを他の女性と共有したくないと話すドクイムは自分自身の為に後宮になる事を断り、宮女としてサンを支えると決意を話すが、サンはその言葉に何も言えなかった。一方、都承旨と言う最高の役職にまで上り詰めたホン・ドンロの妹である元嬪を後宮として迎え入れたサン。

 ドクイムはサンが元嬪が住む淑昌宮に行ってる間に寝ずの番をするが、思わずうたた寝をしてしまい、気がつくとサンの肩にもたれかかっていた。これは夢?と独り言を言うドクイムの頰を抓るサン。いつまでも自分に心を開かないドクイムに不満を言うサン。

 しかしホン・ドンロの期待を他所に妹の元嬪は体調を崩し、帰らぬ人となった。

 その頃中宮殿から宮女達が姿を消すと言う事件が発生し、ドクイムは友のキョンヒもいなくなった事を知る。その事をサンに伝えて涙を見せたドクイムの為にホン・ドンロに調査せよと命令を下すが、実はホン・ドンロが宮女達を監禁していたとわかり激怒するサン。しかしドクイムは友を心配するあまり自ら助けに行き、ホン・ドンロに捕まってしまった。

 ホン・ドンロを処刑しようとするが、護衛のカン・テホに止められたサンは都承旨の役職を解き、宮殿を去るようにホン・ドンロに言う。

 サンは勝手に動いたドクイムに対して怒る。「家族になって欲しいと言ったのは初めてだ本気で好きになったのもお前が初めて」と言うサンにドクイムはサンを男性として意識したこともなく恋心もないとはっきり告げたドクイム。だがサンはそんなドクイムを抱き締めて口づけをする。

 しかし大妃に手紙を書き、独断で友を助けに行ったドクイムはサンにより宮殿から追い出されてしまう。

一年後狩に出たサンは大雨に会い、妹チョンヨン公主の家で休む事にしたが、そこでドクイムと再会。大妃がドクイムを後宮の和嬪の内人として宮殿に呼び戻した事を知り、抗議をする。

 しかし和嬪はサンがドクイムを好きな事を知っていてドクイムに辛く当たる。その度にサンがドクイムを庇う為、さらに虐めに拍車がかかる。サンはドクイムを守る決心をし、ドクイムを後宮に迎え入れる。後宮となったドクイムは宜嬪(ウィビン)と呼ばれた。

 しかし、それはドクイムにとって自由がなくなると言う事だった。


 サンと宜嬪の長男文孝世子が生まれるが、麻疹にかかって短い命を終えた。麻疹にかかっていない宜嬪は文孝世子に最後まで会う事が出来ずショックのあまり寝込んでしまう。しかし宜嬪は妊娠していた。日々身体が衰弱していく宜嬪だが、サンは生まれて来る子供のためにも強くならなければいけないと諭す。

 一度は体調が戻った宜嬪だが、友のヨンヒが宮中の武官と恋に落ち、情を通じた事で処刑された。例え後宮の友であっても法は曲げられないと言うサンの厳しさに何も言えない宜嬪だった。

 高熱を発して寝込んで目を覚ました宜嬪はソ尚宮に友人達を呼んで欲しいと頼むが、ソ尚宮はサンを呼んだ。しかしサンを見た宜嬪は落胆した。「親友達を呼んで欲しかったのに・・」とつぶやいた宜嬪にサンは落ち込んだ。

「もしも来世で私を見かけても知らないふりをして通り過ぎて欲しい。来世では自分の思う通りに生きてみたいのです」

そんな宜嬪に「私の事を少しも愛していなかったのか?」と聞くサン。「嫌いなら側にはおりません。そばにいたのは私の選択です」

 だが宜嬪は息を引き取るまでサンに「愛しています」と言わなかった。それは最後まで貫き通した宜嬪の意地なのか・・。

 

 数十年後、サンの心の中から消えたと思っていたドクイムが蘇った。ある日ドクイムの友だったキョンヒが今は尚宮となってサンの目の前に現れたのだ。ずっと探していたドクイムの遺品が見つかったと言う。箱を開けてみると宮女の時に着ていた袖先が赤い衣装、本が数冊、そして若かりし頃ドクイムに書かせた何十枚もの反省文。こんなに小さかったのかと衣装を抱き締めて泣き崩れるサン。そして一瞬にして蘇ったあの懐かしくも輝いていた日々。

 病に倒れたサンがふと目を閉じた時、目の前にドクイムと過ごした思い出の庭が見えた。それは夢の中なのか。

木々に赤い花が咲き、その木の下にドクイムがいた。若い二人は口づけを交わす。

サンは言う。「だから・・お願いだ、私を愛しなさい」

そしてこの瞬間は、永遠になった。

 私はサンとドクイムが結ばれるまでが結構長いと感じた。もう少し早く結ばれるのかなと思っていたので観ていて正直イラっとした。

しかも何故17話と言う中途半端な話数なのか。だが私個人の感想としては17話がなかったら、はっきり言って泣けなかった。それまでイマイチ泣けないと思ったのだが、この17話で過呼吸になるほど泣き、切な過ぎて胸が締め付けられた。

ドクイムが後宮となったが、煌びやかな衣装に身を包んでいても鳥籠から出られない鳥は可哀想すぎる。宮女の時はあんなに生き生きとと飛び回っていたのに。どんなに愛する人がそばに居ても、どこにも行けない寂しさ。そして愛する人を自分だけの存在に出来ないジレンマ。やっぱりドクイムにとっては辛過ぎた。