フィクションとは言え、刑執行停止にするために病気を捏造と言うのか、一時的に病気にしてしまう医師の凄腕に驚く。精神疾患があって刑に問われないと言うのはあるが。このドラマではほとんど聞いたことのない病気の名前が飛び交う。命がなくなる手前までいってしまうのだから恐ろしい。

 腕の良い救急の医師として働いていたナ・イジェ(ナムグン・ミン)が、ある一人の我儘な御曹司に緊急手術の場で難癖をつけられて刑務所に入れられてしまい、出所してから彼の復讐が始まるのだが、とにかく周りが悪い奴等ばかりで気が抜けない。

 ナムグン・ミンはキム課長の時の軽快さは全くなく、やはり役者と言うのは色々な役をこなさなくてはならないが、今回は血だらけのシーンもあってダークヒーロー的なイメージだ。

 ナ・イジェ(ナムグン・ミン)はテガン病院の優秀な医師だったが、テガングループの次男イ・ジェファン(パク・ウンソク)の我儘を聞かなかったばかりに刑務所に入る事になってしまった。

出所した ナ・イジェは夫の愛人殺害を企てたが失敗して服役中の元財閥夫人オ・ジョンヒ(キム・ジョンナン)を刑執行停止の為ファンコニ貧血に仕立て上げて成功する。その見返りとして自分を西ソウル刑務所の医療課長に推薦するように頼む。

 と言うのも自分を刑務所送りにしたイ・ジェファンが薬物所持と使用の罪で刑務所に入る事になったからだ。

 しかしジェファンが護送された車は事故で横転し、中から出てきたジェファンは事故現場に来たイジェにこれは刑務所に入らないように仕組まれた事故だと言う。

 だがジェファンの怪我は想像以上に重かった。そこでイジェは一緒に護送車に乗っていたヤクザのサンチュン、チュノと共にジェファンを連れ去る。ジェファンの異母兄ジェジュン(チェ・ウォニョン)と通じているソン・ミンシク(キム・ビョンチョル)医療課長は遅れて現場に到着するが、その時ジェファンがハウン病院に運ばれた事を知った。

 西ソウル刑務所では新任の医療課長の面接にナ・イジェしか来なかった事に疑念を抱いたミンシクは面接予定のドンフンがサンチュンらに拉致された事を突きとめる。

 裏切ってイジェ側についたサンチュンに怒ったミンシクは糖尿病のサンチュンにインシュリンを過剰投与して秘密を聞き出して殺そうとしたが、イジェが現れてサンチュンの命は助かった。

 イジェはサンチュンがハウン病院から盗んだ出資者名簿をネタにミンシクを脅す。

 イジェとサンチュンが面会していた証拠の映像をジェファンの妹で弁護士のジェイン(イ・ダイン)に渡していたミンシクだったが、彼女は知らないと言う。ジェインは母イラの命令でイジェの弱点を探そうとしていた。

 イジェはテガン病院の同僚だった精神科医ハン・ソグム(クォン・ナラ)に失踪した弟の行方を知りたいなら協力してくれと持ちかけるが、断られる。

 ミンシクが裏切ったサンチュンを自分の側につけた為イジェはサンチュンに襲われそうになる。しかし余命僅かな娘に会いたいサンチュンが刑務所を出ようとしている事を知ったイジェ。彼はサンチュンを刺して外部の病院に入院させ、刑の執行停止する計画を話して難を逃れた。

 そんな時、ソグムはある服役囚から自分の弟とイジェは同じ房にいた事を聞かされる。イジェが注射を打った事で病院に運ばれ、その後失踪した。

 一方JH鉄鋼会長の息子ソグを刑の執行停止にするよう頼まれたイジェはウィルソン病による双極性障害と診断を下し、執行停止を進める。

 テガン病院で診断書の内容を検証する検査が始まるが、ソグはアナフィラキーショックを起こしてしまう。だがウイルソン病との診断は認められた。しかしソグをサイコパスと診断していたソグムは疑念を抱く。

 事件を調べる地検のチョン・ウィシク刑事部長は遺伝子疾患の診断書を取ったソグとジョンヒに目をつける。

 イジェは西ソウル刑務所に入っていた時、ソグムの弟ハン・ビッ(リョウン)と出会った。イジェは医療の技術が認められ、夜間に受刑者の診療をする事に。

 実はハン・ビッはある人物に会うために刑務所に入ったとイジェに明かしたが、特別棟で薬物を投与されてしまった。

 刑務所の薬剤を転売して利益をミンシクだったが、イジェの策によって全てが暴露され監察局に連行された。転売の陰にはミンシクの妻や義兄など一族が関与していたのだ。

 そんな中、西ソウル刑務所ではイジェの医療課長の任命式が行われていた。ソグムの協力を得る事になったイジェは特別棟VIPの把握をしようとしていたが、釈放されたミンシクがイジェを妨害しようと一人のVIPに接近する。そこでイジェの刑執行停止のための秘密を知る事になった。

 ある日ソグムは弟のハン・ビッを脅かしているテガングループ本部長のイ・ジェジュンの映像を見て弟の失踪にジェジュンが関係している事を知った。が、その時いきなりジェジュンが現れる。だがイジェもその場に来た為、ジェジュンは追求せずに部屋を出た。翌日ソグムのパソコンは何者かに盗まれてしまう。

 ミンシクは受刑者の何人かを刑執行停止のための練習台にしていて、更にソグと同じ病で死んだ受刑者がいた事を地検の刑事部長チョン・ウィシクに語った。

 3年前、ジェジュンが自分の父親であるテガングループ会長を襲った現場を見てしまったハン・ビッは会長の秘書をしていた。会長に言われて株式を持って逃走した彼は姉ソグムに会いたいと連絡したが、ソグムの後を付けたジェジュンと部下はハン・ビッを見つけるとすぐに追跡を始めた。ソグムも後を追うが見失ってしまう。

 実はイジェが自分の妹の部屋にハン・ビッを連れて行き、匿った。

 ミンシクは逮捕されている間にイジェにハウン病院を騙し取られていた。イジェはジョンヒにハウン病院を買わないかと持ちかける。

 一方ジェジュンはミンシクに刑務所に収監されているチョン・ミンジェ議員を殺害しろと指示を出す。

 ミンシクは命令通りにチョン・ミンジェ議員を殺そうとするが、すでにチョン・ミンジェ議員は亡くなっていてミンシクは議員殺害の犯人として逮捕される。

 そんな時ハン・ビッを匿う妹のイヒョンから、アパートの近くに怪しい男たちが来ている事を知らされたイジェ。ソグムも慌ててアパートに向かうと、そこにいたのはジェジュンとその部下達だった。

 ソグムはジェジュンの担当医だった為、彼に話しかけた。ジェジュンはソグムに阻まれてアパートに近付けない。帰るふりをしたソグムはわざと車をぶつけ、騒ぎを起こす。そのうち会長の妻イラも娘のジェインと車で駆けつけ、結局ジェジュンはハン・ビッを探す事を諦めて帰って行った。

 イジェが懇意にしていた障害者夫婦の事故、テガンケミカル労働者遺族の事故も全てはジェジュンが黒幕だった。イジェは治験刑事部長のチョン・ウィシクにジェジュンの告発状を提出するが、人を殺す事を何とも思わないジェジュンは先回りしてウィシクに告発状を握り潰させた。

 その上ジェジュンはソグムを拉致して会長の株券を全て返却し、検察に提出した自身の不正の証拠も全て自分に渡すようイジェに要求。

 ジェジュンの全ての悪事を知ったミンシクはイジェに寝返る事を決意するが・・。

 ジェジュンは入院している実父を殺害しようと企むが、イジェに阻まれて失敗する。

 ミンシクと手を組んだイジェはミンシクをVIPセンター長にしようとするが、ジェジュンもテガン病院の医師ミンソクを推薦する。イジェはミンシクをセンター長にする為、自分の先輩医師であるミンソクがクローン病を患っている事に目をつけ、それを利用しようと目論む。だがミンシクは裏でジェジュンとも繋がっていた。

 センター長選挙当日、ミンソクはクローン病が悪化して倒れ意識を失い、ミンシクがセンター長に選ばれる。

 そんな時、コ医務官がチョン・ミンジェ議員殺害の容疑で逮捕される。

 テガングループ会長夫人イラの頼みにより、息子のジェファンを横紋筋融解症による急性腎不全で刑執行停止にするためにイジェは動き出した。

 ジェジュン側に付いたミンシクはコ医務官の代わりに自分の息がかかったドンフンを医務官として刑務所に送り込んで刑執行停止の妨害をしようとするが失敗に終わる。

 ジェファンは腎不全となるが、あまりの過酷さに意識を失ってしまう。

 そんな時ウィシクはジョンヒからジェジュンの情報を得ようとしてジョンヒの言うがままに遊園地で会うが、その様子を記者に撮られてしまう。

 実はジェジュンは父ドクソンと同じハンチントン病を患っていた。イジェはジェファンの刑執行停止にもハンチントン病を利用しようとしたが、ジェジュンは自分の病気が知られる事を恐れてジェファンを殺害しようとして自ら動いた。

 ミンシクは自分の家族にも危害を加えようとするジェジュンと戦う事を決め、今度こそ本当にイジェと手を組んだ。

 だが心底誰も信じないつジェジュンはミンシクが寝返った事も見抜いていたのだ。

 リハビリ室にいるジェファンを襲ったジェジュンは皆が見ている画面を違うものにすり替えた為、誰もがジェジュンが襲っていることに気づかないまま犯行がなされた。

 しかしそれを予測していたイジェはリハビリ室で盗聴機を仕掛けて録音したファイルを持ってジェジュンのいる本部長室へ行き、ジェジュンの首にケタミンを注射するが、ジェジュンも机の上にあったペーパーナイフでイジェの腹部を刺した。

これはイジェの計画通りで、ジェジュンは殺人未遂で逮捕された。

 ナムグン・ミンが心優しい救急専門の医師から医学の知識を最大限悪用した非情な医師へと変貌していくこのドラマ。

 フィクションだと謳われていても、もしかして似たような事がどこかの刑務所で行われていたらと想像すると本当に恐ろしくなる。そして俳優達が迫真の演技で悶え苦しむ姿も凄すぎる。

 ナムグン・ミンは思いの外、白衣が似合うと思った。こんなイケメンの先生がいそうな気がする。