はっきり言って怖がりの人は見ない方がいい。私はこのドラマを見て毎回「怖っ!」と何回言っただろうか。

 これは強大な悪霊と化した男パク・イルトとの凄まじいまでの戦いを制した3人の男女の物語である。オカルト物と一言では片付けられない話だ。よくできていると思う。映画なら2時間弱で恐怖は終わるが、このドラマは16話だが毎回誰かが悪霊に憑かれて悲惨な死に方をするため、気持ちが休まらない。特に最後には右目を突いて亡くなるので、見ていてキツい。

 ドラマでは悪霊が人の心に巣食う怒りや不満に満ちている時に体の中に入って、殺人をさせてしまう。その時悪霊に体を乗っ取られた者は我に返って呆然とするのだ。

 客(ソン)というのは海から来た悪霊のことである。

 ある漁村で殺人事件が起こる。それはパク・イルトと呼ばれる悪霊が男に憑いて殺人を起こさせ、悪霊に取り憑かれた男は右目を刃物で刺して自ら命を絶った。パク・イルトは海からやってくると言われていた。子供だったユン・ファピョンはパク・イルトに取り憑かれたが、彼の体から離れず神父を呼んで悪魔祓いの儀式までやったが失敗し、逆に神父の一人チェ神父に乗り移ってしまった。

 子供の頃ユン・ファピョンは普通の人には見えないものが見える霊媒体質で、ある殺人事件が起こった時もその様子が見えたため外で怯えていた。その時車で通りかかった女性刑事に声をかけられた時も、近くの家で人が殺されると訴えたため女性刑事はその家を訪ねた。応対に出たチェ神父の様子に異変を感じ、中に入って見ると遺体があった。彼女は彼に襲われて亡くなってしまう。彼女の車には一人娘が乗っていた。またその家には殺人を犯したチェ神父の弟がいたが、隠れていて助かった。

 20年後、奇妙な縁の元、ユン・ファピョン(キム・ドンウク)はタクシー運転手、亡くなった女性刑事の娘カン・ギルヨン(チョン・ウンチェ)は刑事になり、隠れていて命が助かったチェ・ユン(キム・ジェウク)は悪魔祓いの儀式をする神父になっていた。

 3人は悪霊が乗り移って事件を起こしたキム・ヨンスをきっかけにパク・イルトを探

す事になった。

 これから次々と3人の前にはパク・イルトに体を乗っ取られて殺人事件を起こす者たちとの対決が始まる。

 連続殺人を犯した兄弟が女性を拉致して監禁。だが女性は隙を見て裸足のまま逃げ、気づいた兄が車で女性を追いかける。兄に悪霊が憑いていて執拗に追いかけ回すのが本当に怖かった。悪霊が憑くとブルーっぽいライトが当たり、不気味さが増して声もヴォイスチェンジャーで機械的な声に変わっているのがなお一層恐怖を感じる。

 また悪霊を追い出すためチェ・ユンが十字架を持ち、毎回祈りの言葉を唱えるのだが「父と子と精霊の名において・・・」と言う言葉がこちらに響いてくる。私はキリスト教徒ではないが聖水をまいたり、額に十字架を押し付けたり、エクソシストを思い出してしまう。チェ・ユン神父役のキム・ジェウクの神に祈りを捧げる表情や声を聞いていると静かではあるが悪霊と対峙する迫力がある。神経質そうな感じもいい。

 キム・ジェウクはやはり「コーヒープリンス1号店」でワッフル焼いてるクールなお兄さんって感じが一番と思っていたが、この神父役もすごくいい。キム・ドンウクだってチャラい役だったが今ではこういうシリアスな役もやれる。

 チョン・ウンチェは「ザ キング〜永遠の君主」で初めて見たが、ただただ綺麗な女優さんと思ったが、今回の体を張った女刑事は素晴らしい。

  チェ・ユンが尊敬するヤン神父(アン・ネサン)の体の中にパク・イルトがいると思われたが、実際はファピョンの祖父に憑いていたことがわかる。

 チェ・ユンは今回が最後の悪魔祓いと決めていたが、ファピョンはチェ・ユンがこれで命を落とすと確信していたので自分がパク・イルトを体に入れて封じ込め、死んでしまえばパク・イルトは出てこられないことをファピョンの師匠的存在の祈祷師ユン・グァンから聞いていた。更に8つの呪文があるということを聞き出したファピョン。だがその後ユン・グァンも殺されてしまう。

 ファピョンの祖父を誘拐したヤン神父は追い詰められ、病院の屋上から飛び降りて自ら命を絶ってしまった。最後のヤン神父の言葉は「やっと自由になれた」

 意識不明だったファピョンの祖父(チョン・ムソン)が意識を取り戻し自宅に戻るが、実は彼こそがパク・イルトに憑依されていたのだ。

 パク・イルトはファピョンの器が大きいから体の中に入りたかったが、なかなか入れないため、母親や祖母、父まで殺してファピョンの心のバランスを崩して入ろうとしていた。

 ファピョンはパク・イルトを自分に憑依させ封印しようとして海に入って行くが、それを止めようとするチェ・ユンとカン・ギルヨン。だがファピョンは海の中に沈んで行き、見つかることはなかった。

 その後チェ・ユンとカン・ギルヨンは漁師から話を聞いて、ある家に行くとそこにはファピョンがいた。これで本当にパク・イルトはいなくなったのか・・・。

生きていたファピョンは今までとは違っていたが、それは言わないでおく。

 そう言えば私の身内にも悪霊ではないが、20数年前に、ある何かが憑いてしまった者がいる。その時は友達から、ある人(霊能者)を紹介されお祓いして何とかなった。そういうこともあるのだ。