ーシステムはご自身で希望されてスタートされたんですか?情報システム部門に入りたいと。元々経済を勉強されていらっしゃいますよね。

 

そうですね。だから、人生の転機っていうのはどう言うときに起きるか分からないですね。商学部を卒業して、2年間大学院に行って経済学を研究して、就職はあまりしたくなかったけれども、しょうがないので就職して、配属された先が今でいう情報システム部門、当時は計算室って言っていました。その計算室に配属されて初めてプログラムとは何か、それは何のために使うのかと、情報システムと言う事について勉強させられたと言う事です。

そのことが、結局はITの専門家になると言う道を準備するベースキャンプになったんですね。どんなきっかけで人生変わるかわからない。

 

 

最初は経理とか、あるいは経営企画みたいな事がやれたらいいなと思っていたんです。それが全く畑違いのITに配属されて、最初は戸惑ったけれどもやってるとものすごく面白くなって、プログラミング、コーディングというのが気に入ってですね、それを集中してやりました。のめり込んで。

 

 

のめり込むのは理由があって、プログラムを作るとそこで作った世界は自分が全てについて、隅から隅まで分かっている訳じゃないですか。ここを押すと、こう動く、こう波及して行く、そう言うロジックの働きが解る。世界が整然と構築されてしかもその全体が見えるって事についてものすごく興奮した、面白く感じたと言う事ですよね。それで、のめり込んだ。

 

 

そして、プログラムだけでなくて、そう言う世界をロジカルに作る、再構成すると言う事の延長上で情報システム分析という仕事に移る。今度は、会社の業務の仕組みをロジカルに再構築して、それをプログラムに移していくと。会社の業務の仕組みの構造を効果的、或いは効率的に作り変えていくと言う仕事ですね。そこにまたのめり込んで、ITの世界にどっぷり入って3年くらい集中的にやった事で、まぁひとつ腕にスキルが身につきました。それが武器になって、転職が可能になると言う事で、当時は宇部にいたんですが東京に戻ってきました。東京に出るために会社を変えたんですね。

 

 

2番目の会社でもやはりITの仕事に携わる部門に所属して、そこで7年くらい勤務しました。最初の会社での3年間は原価計算のシステム化に取り組んだんですね。石油化学製品の製造原価の把握が命題だったんですけれども、それを実現するためにアメリカで当時最先端のマトリックス会計みたいなものを前提として原価計算を自分で構築すると言う仕事をやって、それが見事に実現して、それを一つのある意味で卒業成果物みたいにして、次の会社に移ったと。

 

 

次の会社では、物流ロジスティクスのところの受発注管理ですね。それから納品、在庫管理、今でいうSCMを担当して、そこで従来のやり方を再構築して一気通貫でプロセス全体を把握できると言う仕組みを作ると言う仕事に取り組んだ。

 

 

そこで成果を得て次の段階では、今度は会計システム、SAPでいえばFIの世界ですね、あれをシステム化したんです。会計システムの標準化をして、どの会社でも使えるような標準的な仕組みを作ったらどうかと言う事が目的の一つでした。子会社にも別々の仕組みを入れるんじゃなくて、それをそのまま使ってもらうと言う考え方ですよね。それからもう一つは、入力作業をなくすと。会計といえば会計伝票を経理の人が起票して、それから、キーパンクチャーに渡して入力する、という事が当時は普通の話だったけれども、それをやめて基本的にOCR、人が書いた文字を読み取る機械を導入して、それを使って会計データを自動的に入力するという事にしました。

 

 

ー画期的ですね。新しい事に挑戦する事が好きなんですか?

 

そう、大好きですね。

 

 

ー転職するたびに新しい挑戦ですね。

 

みんなやってない事。そんな事できるはずがないってことをやると。

そんな天邪鬼なところがあると思いますね。

 

 

ーその後でSAPとの出会いが。

 

そう、それはもうちょっと先の話ですよね。

それ(会計システム)を作り上げて、その会社は化学繊維の会社だったんですけど、区切りがつくと同時に合成繊維の大不況が起こって。繊維不況ですね。で、構造不況業種というのを経産省が指定してリストラをやらなきゃ会社が生き延びないという事で、希望退職を募ったりして人員削減をしたんですね。それに対して多分補助金みたいなのが出たんじゃないかと思うけど、その希望退職に手をあげれば大体1年くらい食べていけるお金がもらえると。特別加算金って言うんだけど。それで、手をあげました。1年遊ぼうと思って辞めたんですよね。そしたらカルビーから声がかかりました。声がかかった理由はカルビー社の創業者の三男と大学時代友人関係でしたので。当時カルビーはポテトチップスに参入して、急速な成長を始めたばかりで人手が足りないという事で、猫の手も借りたいくらいの状況でしたので、猫の手になりましょうと言って転職したんです。

 

 

そこで最初はITをやっていたんですが、その傍、工場の生産管理、品質管理というところや人事管理、そういう仕事も来るようになって、そっちの方も面白いと言う事でのめり込んで行った。インプットアウトプットのプロセス。そのプロセスを効率化する、合理化する、効果的にアウトプットを生み出す仕組みを作る、それを解析し改善し続けるなど、そういう視点で仕事に深く関わっていくと、だいたいどんな問題でも解決できるという方程式みたいなものが分かって、何でも来いという状況になるんです。

 

 

(”③SAPとの出会いとターニングポイント”に続く)