代表質問 子どもの健やかな育ちについて | 新宿区議 鈴木ひろみオフィシャルブログ Powered by Ameba

代表質問 子どもの健やかな育ちについて

平成29年  9月 定例会(第3回)-0921

代表質問「子どもの健やかな育ちについて」

◎質問の背景

 児童憲章には「すべての児童は、虐待・酷使・放任その他不当な取扱からまもられる。あやまちをおかした児童は、適切に保護指導される」と明記されている。しかし、虐待で死亡する子どものニュースは後を絶たない。暴力の世代間連鎖という言葉がある。一見すると別々の問題と捉えられるDVと児童虐待だが、一体のものとして包括的に捉えられる必要がある。児童虐待防止法では、子どもの前でDVがなされれば、それは児童虐待であると明記されており、法的にもDV・児童虐待は、多くの場合一体と考えて対応していくべき課題である。家族の形のあり方やライフスタイルの多様化により、各家庭の抱える課題も複雑化、多様化しており、DVと児童虐待以外にもダブルケア、子どもや家庭の貧困など、横断的な問題に対応する必要がある。

 児童相談所及び市区町村における虐待対応件数は、統計をとり始めて以来、毎年増加の一途にあり、平成28年度中に全国210カ所の児童相談所が児童虐待相談として対応した件数は122,578件で、過去最多となっている。本年8月、厚生労働省が公表した「子ども虐待による死亡事例等の検証結果等について(第13次報告)」によると、「心中以外の死亡事例が発生した地域における児童相談所の当該事例担当職員の平成27年度の1年間の受け持ち事例数は、1人当たり平均174.2件であり、そのうち虐待事例として担当している事例数は平均87.4件で、前回よりも増加していた。この結果、負担が増加していることが予想される。」といった趣旨の記載があった。課題に対する提案として、積極的な専門職の採用、人事ローテーションの工夫などが挙げられ、虐待相談に対応できる人材育成を意識した中・長期的な取り組みを行う必要性、児童相談業務量に見合った職員配置数の確保など、職員体制の充実強化が挙げられていた。

 平成33年4月以降には、新宿区の子どもは、東京都ではなく新宿区が設置をする児童相談所を利用することとなり、基礎自治体としてのきめ細やかな対応が期待されている。

今後の相談業務の増加も予想され、24時間体制の確立や措置権などの行使など、ほかの職場よりも一層重い仕事が待ち受けている中、職員が働きやすい環境整備は重要と考える。

 

 

◎質問要旨

ひろみ:今まで子ども総合センターや子ども家庭支援センターで行われた相談業務の現状、相談件数、その増減、傾向などの課題について御教示ください。

②男女共同参画課、高齢者支援課、生活支援担当課など、各部署が今まで以上に横断的な連携を図り、きめ細やかな支援につなげることが求められることと思います。区長の所見を伺います。

③平成33年4月の児童相談所開設に向け、今後、区が設置する児童相談所の運営体制について、第一次実行計画(素案)では「児童相談業務における専門性を高めるための人材確保と育成を進める」とありますが、今の段階で具体的に計画していることがあれば御教示ください。

④保育園や幼稚園、小学校などにおいて、早期発見につながるような体制づくりはどのように行われていますか。公立学校の教職員には、虐待の確証がなくても、疑いがあれば関係機関に通告するように求められた通告義務がありますが、実際に保育現場や学校現場からの通報で支援につながるケースがどの程度あるのか、御教示ください。

 

区長:➀子ども総合センターや子ども家庭支援センターの「子どもと家庭の総合相談」の平成28年度における新規相談受理件数は約2,500件と、ここ数年増加傾向にあり、多くの子どもが養育環境において複雑な課題を持っています。そのため、一つの機関で対応することは難しく、民生・児童委員や病院、公的機関等で構成する子ども家庭・若者サポートネットワークの連携を軸に問題解決に取り組んでいます。

②御指摘のように、DVや児童虐待のほかにもダブルケアや家庭の貧困など、複雑で深刻な悩みを抱える方は少なくありません。そのため、相談をお受けした窓口で家庭の状況や悩みを丁寧に聞き取り、適切な支援サービスを御紹介します。その上で確実に支援サービスを御利用いただけるよう、状況に応じて職員が担当窓口まで同行するなど、相談者に寄り添って対応しています。

③複雑かつ困難なケースも増加する中、児童相談所においてきめ細かな対応を続けていくためには、しっかりとした運営体制が必要と認識しています。現在、子ども総合センターや子ども家庭支援センターでは、児童相談所への派遣研修経験者を中心に児童相談業務に従事する職員を育成しています。また、弁護士や医師等による研修で専門知識を学んだり、担当ケースの情報共有を毎日行って、互いに助け合いながら取り組むことで、チームとして対応する重要性等を身につけています。児童相談所開設に向けて都への派遣研修職員を増員するとともに、職員の能力や適性を見きわめながら、児童相談所の業務量に見合った適切な人員配置を行っていきます。

④児童虐待の未然防止には、地域や関係機関との連携による早期発見・早期対応が不可欠であることから、子ども総合センターや子ども家庭支援センターでは、学校訪問などにより課題のある児童の情報共有に努めています。また、虐待の早期発見・気づきのためのチェックリスト等を掲載した「子ども虐待防止ネットワークマニュアル」の活用について、校長会や園長会、民生・児童委員協議会などで説明し、虐待等の早期発見を呼びかけています。こうした取り組みにより、平成28年度は、虐待通告368件のうち、学校現場からは35件、保育現場からは13件の通告があり、ほぼ全てのケースが子ども総合センターや子ども家庭支援センターと連携した支援につながっています。

 

教育長:④幼稚園や小学校における虐待の早期発見につながる体制づくりとして、各学校・園では、登校・登園時や教室での出席確認の際など、子ども一人ひとりの表情や健康観察を徹底するとともに、気づいた変化などに関する情報を教員の間で共有するなど組織的な体制づくりに努めています。また、教育委員会では、生活指導主任会や幼稚園主任教諭研修会で研修を行うとともに、各学校に東京都教育委員会作成の「児童虐待防止研修セット」を配布し、教職員の理解を深めています。さらに、個別のケースについては、サポートチーム会議を開催し、地域や関係機関との連携を図っています。今後も児童虐待の早期発見につながる体制づくりに取り組んでまいります。