代表質問 子どもの貧困について | 新宿区議 鈴木ひろみオフィシャルブログ Powered by Ameba

代表質問 子どもの貧困について

平成28年  6月 定例会(第2回)-0610

代表質問「子どもの貧困について」

◎質問の背景

1.子どもの貧困によって生じる健康格差について

 本区では、子どもが健康保険証を使って医療機関で診療を受けた場合、15歳に達する日以後最初の3月31日まで窓口で支払う医療費の自己負担分及び入院時の食事療養費を助成する子ども医療費助成制度を採用しています。しかし、生活保護にならず、子の保護者が健康保険に加入していないなどの理由から健康保険証を持てない場合は、子ども医療費助成の対象から外れてしまう。

 2013年度の『東京都の学校保健統計書』によると、23区中、虫歯の子どもの多い区、少ない区にばらつきがあることが示されている。各地域の住民の富裕度をはかる指標として、『東京都税務統計年報』の1人当たり住民税課税額と各区の子どもの虫歯率の比較をすると、住民税課税額が少ない区ほど子どもの虫歯が多い傾向が観察された。生活のため、朝も夜もなく忙しく働かねばならないなどの理由から、保護者が子どもの健康に対する配慮に欠く状態に陥っている事情も想起される。また、虐待、ネグレクト傾向のある家庭にも虫歯が多いという指摘をされている歯科医師もいる。歯科指導を行うことによって、要支援を家庭の早期発見および、早い段階での支援につなげる可能性がある。

 

◎質問要旨

ひろみ:➀現実問題として、子ども医療費助成の申請の際に、健康保険に未加入の世帯に対してどのような対応をされているのか伺います。

②本区では、生後の1歳児、3歳児などの健診を初め、保育園、幼稚園、小学校において歯科健診が行われているが、子ども家庭支援センターなどにおける「子どもの居場所づくり」と同時並行で歯科医師と連携し、支援へとつなげていただきたいと考えます。区長の見解を伺います。

③現在小学校で行っている歯科健診をもう一段階拡充し、給食時の食育と同時並行で、区内の小学校でも全校で歯の磨き方や歯の健康について学ぶ機会や、給食後や昼休みの時間を利用し、歯磨き習慣が身につくような機会を設けていただきたいと思います。教育委員会の御所見を伺います。

 

区長:

健康保険に未加入の世帯が子ども医療費助成の申請にお見えになった場合は、国民健康保険への御加入を御案内しています。加入に当たっては、保険料の金額、納付方法、減免制度等について丁寧に御説明し、手続を行っています。

②歯科健診を初め、健康状態を把握し、ネグレクトが疑われる子どもの早期発見に努め、支援につなげることは重要です。そのため、医師会や歯科医師会、区内の小児科がある総合病院などには、新宿区子ども家庭・若者サポートネットワークに加入していただき、情報共有の強化を図っているところです。また、子ども総合センターや児童館等で乳幼児親子の仲間づくりを目的とした居場所づくりを行っている中で、歯科衛生士による健康教育講座なども開催しています。その際、口腔が不衛生なまま放置されているような子どもに気づいた場合は、子ども総合センター等のワーカーや保健師などにつなげ、その家庭に対するその後の支援も行っています。

 

教育長:

小学校における歯の健康に関する取り組みについてのお尋ねです。

 小学校では、3年生の保健の学習「病気の予防」において、食後の歯磨きなどの生活習慣を整える大切さを学びます。6年生では、歯周病の健康への影響や歯磨きやうがいの大切さ、口腔の衛生を保つことにより望ましい生活習慣を身につけることを学んでいます。

 子どもたちに対する指導としては、養護教諭や歯科衛生士が正しい歯磨き方法や歯の健康についての講習を定期的に実施しています。

 また、子どもたちに歯磨きカードを配布し、家庭での歯磨きの実施状況を記入させています。この結果については、養護教諭がコメントを保護者に伝え、問題があれば改善を促しています。

 次に、給食後や昼休みの時間を利用し、歯磨き習慣が身につくような機会を設けることについてのお尋ねです。

 給食後の磨きについては、1週間程度の歯磨きに取り組む期間を年間行事予定の中に3回程度設定し、給食後の歯磨きを実施して、正しい磨き方や歯磨き習慣を身につける取り組みを工夫している学校があります。

 しかしながら、学校によっては給食後に清掃活動などが入るため、年間を通して時間を確保することは難しいという現状もあります。

 このようなことから、各校の実情に応じ、給食後の歯磨きを実施したり、校医の指導や保健学習を通して歯磨きの大切さを学ばせたりしています。また、「保健だより」などにより、家庭での歯磨きの習慣を身につけさせる取り組みの必要性について、さらなる周知を図ってまいります。

 

 

◎質問の背景

2.小学児童を持つ貧困世帯の経済負担軽減について

平成26年8月29日閣議決定された「子供の貧困対策に関する大綱」では、「国として就学援助の実施状況等を定期的に調査し、公表するとともに、『就学援助ポータルサイト』を整備するなど就学援助の適切な運用、きめ細かな広報等の取り組みを促し、各市区町村における就学援助の活用・充実を図る」と明記されている。大綱の策定以前からも就学援助策として、世帯年収にかかわらず小学児童を持つ全ての世帯に対し、小学校入学時にランドセルの現物給付をする日立市、通学かばんにランリックを指定する京都市等、入学支度品に対するバウチャー支援については多数の自治体でさまざまな先行的取り組みがなされており、本区も参考にすべきである。江東区では、通学カバンとしてのランドセルの使用の義務について「教育委員会からの義務づけの事実はない。各小学校で行われる入学説明会等でも「ランドセルを使うように」という指示はしていない」との公式回答を示している。小学児童を持つ貧困世帯に対する経済負担軽減を鑑みれば、本区においても当然通学かばんは保護者の自由選択、もしくは実態としてのランドセルへの誘導を排し、複数推奨の中からの選択肢の提示があるべき姿と考える。

 

 

◎質問要旨

ひろみ:就学援助策の起案に際し、その前提となる区の基本的な認識を確認いたします。

➀学校の入学説明会等において通学カバンについてどのような説明がなされているのか。②ランドセル義務づけに対する本区の認識がどうか、教育委員会の御所見を伺います。

 

教育長:➀教育委員会から各学校に対して通学用かばんとしてランドセルの義務づけは行っておりません。各小学校で行われる入学説明会などでも、「通学用かばんとして、ランドセルを推奨するように」という指示はしておりません。

②教育委員会といたしましては、通学用かばんはランドセルに限定するものではありませんが、何冊もの教科書やノート、筆記具が入れられることや、背負うことにより両手が自由に扱えるようなものが望ましいと考えています。今後も教育委員会として、小学校における通学用かばんの指示については、予定をしておりません。