代表質問 保育所の充実に向けた施策について | 新宿区議 鈴木ひろみオフィシャルブログ Powered by Ameba

代表質問 保育所の充実に向けた施策について

平成28年  6月 定例会(第2回)-0610

代表質問「保育所の充実に向けた施策について」

◎質問の背景

 4月28日に発表された新宿区の「平成28年度保育園・子ども園入園児童調べ」によれば、ことしの区内保育所の4月1日時点での待機児童数は、ゼロ歳児が32人、1歳児が26人、合計58人でした。これは、前年の168人と比較すれば大幅な減少であり、新宿区の待機児童解消のための施策が一定の効果を生じつつあるとの見方も可能であるように思われる。しかし、随分前から待機児童の解消が課題となってきたにもかかわらず、ことしも年度初めに58人の待機児童が発生してしまった。さらに、5月10日現在の「保育園・子ども園の申し込み状況一覧表」によれば、区内保育所のことし6月入所の募集見込み数がゼロ歳クラスで21人、1歳クラスで29人であるのに対し、申込者数がそれぞれ192人、180人もあることに照らせば、保育所の充実はいまだ喫緊の課題であると言わざるを得ない。

 今年度は保育園の新設や定員拡大、認証保育所の認可化により、ことし4月の待機児童数が前年と比較し、大幅に減少したものと評価できる。来年度も賃貸物件を活用した私立保育所4所の開設、中央図書館跡地を活用した私立保育所開設などが予定されており、区内保育園・子ども園の取り扱い人員は、少なくとも400人程度は増加する見通しである。

他方、年度が始まった直後である6月入所の申込者数が募集見込み数を大幅に上回る現状を見る限り、保育所に対する需要は十分に解消されているとは言いがたい。さらに、新宿区全体で乳幼児人口が増加傾向にあることを考慮すると、来年度の保育所ニーズは今年度より高まることも予想される。

待機児童解消のためには保育士の確保が必要不可欠。特に待機児童が生じているゼロ歳児及び1歳児クラスでは、それぞれおおむね子ども3人につき1人、6人につき1人の保育士を必要とする。他方、保育士は賃金の低さゆえの人手不足が深刻である。厚生労働省の「平成27年賃金構造基本統計調査」によれば、保育士の平均月収は219,000円であり、全産業平均の333,000円と比較して10万円低い水準。また、厚生労働省の「職業安定業務統計」によれば、保育士の有効求人倍率は2.44と全職業での1.23と比較して高い水準にある。区独自に保育士の処遇改善策、潜在保育士に対する支援策等を講じ、保育士の確保に向けて取り組む必要があると考える。

 

 

◎質問要旨

ひろみ:➀保育所の需給状況についての区長の御所見を伺います。

②第三次実行計画での目標である「平成29年度末の保育所待機児童数ゼロ」を達成できるのか、見通しをお聞かせください。

③潜在待機児童の問題を解消するところまで踏み込む施策を講ずるつもりがあるのか否かも伺います。

④保育士の確保について、他の自治体に先んじて保育士の確保を行う必要があります。区としてどのような方策で確保するのか、具体的にお教えください。

⑤新宿区独自の処遇の改善を講じる必要があるかと思われますが、区長の御見解をお示しください。また、潜在保育士など、保育士の皆さんの働きやすい環境整備が必要と思われます。この点について、区長の御所見を伺います。

 

区長:➀区は、昨年4月に待機児童数が168名となったことを受け、賃貸物件を活用した認可保育所の整備を初め、さまざまな手法を用いて719名の定員を確保、本年4月の待機児童数が58名と大幅に減少しました。しかし、待機児童数がゼロになっていない以上、需要に対して供給が十分であるとは言えないと認識しています。

②最近の就学前人口の増加とともに、保育所等の申込者数も増加している状況や世帯向けマンションの竣工による人口流入も鑑みると、今後もさらなる対策が必要です。賃貸物件を活用した認可保育所整備とともに、世帯向け100戸以上の住宅を含むマンションが建設される際に保育所の設置を要請するなどの取り組みを進めてまいります。

③潜在待機者対策として、育児休業中や求職活動を休止している方等の保育ニーズも的確に把握して対応することも重要と考え、保育の必要な方が安心して認可保育所を利用できる環境整備に取り組む必要があると認識しております。

④東京都保育士実態調査で、退職を考えている保育士がその理由として、「給料が安い」ことのほかに、「仕事量が多い」「職業適性に対する不安」等を挙げており、採用と離職防止の両面から取り組むことが必要と考えています。昨年度から東京都やハローワーク新宿と連携し、就職相談・面接会を実施し、採用面での支援を行っているほか、保育士等キャリアアップ補助事業により賃金面での処遇改善を図っています。

今年度からは、各施設の人材育成ニーズにきめ細やかに対応した研修や臨床心理士がメンタルケア等を行う相談も始めました。さらに、就労支援部門のコンサルタントの助言を受けながら、人事・労務の課題解決を行うことにより離職防止を図る、東京都「働きたい職場づくり応援事業」の利用勧奨を行い環境整備の支援も行っています。

⑤賃金については、継続的に改善されることが必要であり、国が対策を講じることが適切です。したがって、区独自の待遇改善策を講じることは考えておりません。待機児童問題が深刻な都市部においては、保育施設がふえることに伴う保育士不足が大きな課題と認識しております。保育士の確保は、質の高い保育の提供の根幹をなすものであることからも、潜在保育士の活用のための環境整備をさらに進めてまいります。