代表質問 防災施策について | 新宿区議 鈴木ひろみオフィシャルブログ Powered by Ameba

代表質問 防災施策について

平成28年  6月 定例会(第2回)-0610

代表質問「防災施策について」

◎質問の背景

1.本庁舎や防災センターの安全性について

 4月14日に熊本県熊本地方を震央とするマグニチュード6.5の地震が発生し、熊本県益城町では震度7を観測。その後4月16日にも、熊本県熊本地方を震央とするマグニチュード7.3の地震が発生、西原村と益城町で震度7を観測した。今回の熊本地震は、震度7や6強の地震が複数回発生しているという特徴があり、耐震化基準を満たした建造物も複数回の揺れにより、倒壊や使用不能な状況となったことで被害が拡大した。被災された方は、また大きな揺れが来るかもしれないというストレスを抱えながら今も生活を続けている。

 熊本地震を経験し、区民の多くもまた「いつか来る首都直下地震も1回の本震だけなのか」「新宿区内の建物、特に避難所は大丈夫なのか」と不安を持ったことと思う。

 震災時、その後の対応の中核となるのは、災害対策本部が置かれる本庁舎である。新宿区では、万が一本庁舎が使用不能になった場合、その役割を防災センターに移し、対応をするよう定めています。しかし、熊本地震で1981年に定められた震度6強から震度7の地震でも、倒壊しない新耐震基準をクリアしていた市役所や病院が使用不能となった事実を考えると、施設の強度に対する考え方についての見直しの必要も感じる。現状、新耐震性基準を満たしている避難所についても同様の指摘がなされる。

 区内には50カ所の避難所があり、現在、地域防災計画の中では避難所への避難者数を4万9,923人と想定されている。しかし、その見込みを上回る「想定外」を想定し、準備をすることが重要である。

 

◎質問要旨

ひろみ:➀熊本地震を受けて、本庁舎や防災センターの安全性について、現在どのように認識しているのかお聞かせください。

②災害拠点となる施設について、新宿区としてより厳しい基準を設けて、再度点検、整備を行う必要があると思いますが、いかがでしょうか。

③区内の避難所の受け入れ体制と避難者が定員を超過した場合の対策をとるべきと考えますが、いかがでしょうか。

④多発する地震に対して、「また地震が来るかもしれない」と精神的な不安を和らげるために、友好都市や災害時協定を結んでいる地方への一時避難なども検討すべきだと思いますが、いかがでしょうか。

 

区長:➀本庁舎は昨年1120日に免震改修工事が完了し、地震に強い建物になっています。本庁舎で採用している免震構造は、地震による地盤の激しい揺れを免震部材により建物に伝わりにくくすることで、建物はゆっくり揺れるようになります。このため、繰り返し地震が起きた際にも構造体に損傷を受ける可能性が極めて低い建物となっています。

 防災センターは「新耐震基準」で設計され、さらに地震に対する構造耐力の50%の割り増しを行って、平成7年に建築されています。このため、人命の安全確保に加えて、十分な機能の確保が図られている建物となっています。

 このことから、本庁舎と防災センターは、大地震に遭遇した後も構造体に大きな補修を施すことなく、災害対策本部として継続して使用可能な耐震性能が確保されている安全な建物であると認識しています。なお、大規模な地震が発生した際には、本庁舎や防災センターを含め、区有施設の被害状況を早急に確認することとしています。

②耐震基準は、大きな地震が起きるたびに改正等が行われてきています。これまで区では、これらの法改正等を受け、学校を初めとする区有施設の耐震化を図ってきました。今回の熊本地震を受け、今後、国等により災害対策本部を設置する施設や避難所等の災害拠点となる施設の耐震基準等について検討が進められていくものと想定されることから、こうした国等の動向を注視し、区有施設の耐震性向上に向け、的確な対応を図ってまいります。

新宿区地域防災計画では、想定を超える避難者が発生し避難所が不足する場合には、一時的に野外受入施設を開設することとしています。また、民間賃貸住宅、旅館・ホテル等を避難所として借り上げる等、多様な避難所の確保に努めることとなっています。

 現在、野外受入施設等の開設や運営体制については明確にされていないことから、今後帰宅困難者一時滞在施設の活用も含め、避難者の受け入れ体制等を検討してまいります。

④区では、伊那市、北杜市及び沼田市と協定を締結し、災害時の相互援助として協力要請に基づく被災者の一時受け入れを行うこととしています。首都直下地震などの災害により多数の避難者が発生した場合には、必要に応じ、被災状況及び被災者の要望等を考慮して被災者の受け入れを要請してまいります。

 

◎質問の背景

2.BCPと震災関連死について

 5月18日の読売新聞によると、自治体の本庁舎が全半壊した場合でも、り災証明などの発行や復旧業務が行えるよう策定するBCP、業務継続計画が全国の自治体の6割が未策定であるとのこと。新宿区においては平成22年7月に策定し、今年度に改定予定となっている。

 熊本県は、今後も現在入院・避難生活中の方の震災関連死の増加を危惧している。震災関連死には、震災時にけがを負い、後に亡くなった方だけでなく、避難生活が長引く中、身体的・精神的な疲労により亡くなられた方も含まれる。復興庁が行った東日本大震災の関連死に関する調査では、震災発生後、1カ月以内が1,201人、1カ月以上1年以内が1,565人、1年以上でも641人と6カ月を過ぎても関連死と認められるケースは少なくないとしている。

 

◎質問要旨

ひろみ:➀新宿区では、地震発生後、すぐに職員を熊本市に派遣し、復興の支援を行っておりますが、今回の熊本地震への職員派遣の経験も踏まえ、どのようにBCPを改定していくのか、また職員の経験をどのように区政の中で活かしていかれるのか、具体的にお答えください。

②避難生活が長期化した場合、避難所や避難者の衛生管理や精神的ケアは重要です。区ではどのように取り組まれていくのか、お答えください。

③長期化した場合の医療体制の確保について、あわせてお聞かせください。

 

 

区長:➀区では、熊本地震の発生後すぐに、熊本市への支援物資の搬送にあわせて区職員を派遣したほか、都及び特別区の相互連携のもと応急危険度判定やり災証明発行支援等の業務従事のための区職員を派遣しました。また、東日本大震災の際の中長期派遣では、災害援護資金の貸付や各種助成金申請の受付など、被災住民を対象とした生活再建支援業務のほか、災害公営住宅の造成や上下水道の復旧などの復興業務にも携わっています。今回の改訂は、組織改正や熊本地震を踏まえたBCPの実施体制などの見直しを行うものであり、被災地における職員の経験を反映させ、「首都直下地震」などの大規模災害への備えにつなげていく考えです。

②避難所や被災した家屋での長期間にわたる不自由な生活や被災のショック等は心身の健康にさまざまな影響を及ぼすため、暑さ、寒さへの対策や衛生管理等に適切に対応する必要があります。衛生管理については、各避難所に食品衛生監視員、環境衛生監視員などによる巡回チームを派遣し、食品や飲料水の安全管理に取り組み、必要に応じて避難所の消毒を行います。心身の健康への対応については、保健師、歯科衛生士、栄養士から成る巡回チームを避難所等へ派遣し、健康相談を行います。また、心のケアとして避難所での専門相談を実施し、医療的ケアが必要な場合には、医療機関等に適切につなげていきます。

③災害時には、区が医療救護所を開設し、傷病者の応急救護に当たります。急性期以降は平常時の医療体制に徐々に回復すると想定されるため、区は医師会等と連携・連絡を密にし、地域医療の回復状況を把握するとともに、東京都や他自治体等からの協力も得て巡回診療を行うなど、必要な医療の確保に努めてまいります。