24年7月に読んだ本 | 「晴走雨読」 廣丸豪の読書日記

「晴走雨読」 廣丸豪の読書日記

廣丸豪(ひろまる・ごう)と言います。日々の読書生活や、気に入った本の感想などを気ままに綴ります。

遅ればせながら7月に読んだ本、わずかに8冊.


◆黄色い家 (川上未映子)
個人的にちょっととっつきにくさを感じる川上作品もある中、これは読みやすかった。桃子に関してはただ甘えているとしか思えないけど、花と蘭は、育った環境ですよね。

愚かしい人たちのどうしようもなく暗いお話、感情移入してイラつきながら読みました。
 

◆地雷グリコ(青崎 有吾)
面白かったー。さすが青崎有吾さん、グリコ、坊主めくり・神経衰弱、じゃんけん、だるまさんがころんだ、ポーカー、子供の頃にみんな遊んだあのゲームにちょっと新ルールを加えるだけで、驚きの頭脳戦に。

予想外の一ひねり、二ひねり、本格ミステリらしい外連味たっぷりの真剣勝負。真兎さんのキャラも漫画っぽくてよい。直木賞の発表、今週ですよね。もう、これが直木賞でいいんじゃない?と思ったのですが、残念。

夏の文庫本フェア対象本を6冊。

◆悪寒 (伊岡瞬:集英社文庫)
まさにサスペンス、妻、母、娘、義妹、真犯人は誰なんだよってお話。最初は家族愛のかばい合いかと思ったけど、、、伊岡さんらしい作品で、最後は一気読みでした。


◆アナログ (ビートたけし:集英社文庫)
ビートたけしさんの恋愛小説。週に一度、行きつけの喫茶店で会うだけの、メアドも電話番号も知らない二人。彼女にプロポーズしようと決めた日から、彼女は店に来なくなる。月並みな感じがしないでもないが、心を動かされる愛の物語。

◆ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー 2(ブレイディ みかこ:新潮文庫)
「ぼくイエ」続編。息子くん、前作よりずいぶん大人になった気がする。英国って、日本と比べて、はるかに階級社会で複雑な多人種国家。でもその分、多様性を迷いながらも受け入れられる変化が現在進行形で進んでいることが、息子さんの言葉の端々から感じられる。私の出身小学校(歴史のある区立の小学校でした)の生徒の1/3が中国人の子弟になったという話を聴きました。大人の口からは「困ったこと」一辺倒の意見しか聞こえてこないけど、実際に通っている子供たちはどう思っているのか、聞いてみたいと思ってます。

◆よくわかる一神教 ユダヤ教、キリスト教、イスラム教から世界史をみる (佐藤賢一:集英社文庫)
なんとなく「分かっている」と思ったことが、実はよくわかっていなかったりして、この本はホントにわかりやすく、詳しく書かれていて、今度こそよくわかりました。イスラム教の最高指導者、中国共産党のありようとよく似ています。それにしても一神教って、専制と隷従、戦争と殺戮を否応なしに伴うものだなと、日本みたいに温暖な単一民族国家のDNAを持つ国民には肌感で理解できないものがあるなあと改めて思ってしまいました。

◆猫目荘のまかないごはん (伽古屋 圭市:角川文庫)
降矢伊緒、女、30歳、会社を辞め、神戸の実家を出て東京で一人暮らしをするフリーターが、ひょんなことで賄いつきの古い下宿に住むことに。下宿の管理人や住人とのふれあいで自身を変えていく伊緒さん、こういう「めぞん一刻」っぽい下宿とかシェアハウスの話、好きです。

◆猫だけがその恋を知っている(かもしれない) (櫻 いいよ:集英社文庫)
いいよさんの作品は「私は告白ができない」に続いて2冊目。山も海もある、地域猫がたくさんいる地方都市を舞台にした、この街で起きた死亡交通事故をめぐる短編連作が5編、ホモカップルの話以外は、軽く、楽しく読めました。おばさんがアイドルにはまる話、「推し、燃ゆ」っぽくて好き。