ブラウン神父、亜愛一郎に続く、“とぼけた切れ者”名探偵である、昆虫好きの青年・魞沢泉(えりさわ・せん)。彼が解く事件の真相は、いつだって人間の悲しみや愛おしさを秘めていた―。
十六年前、災害ボランティアの青年が目撃したのは、行方不明の少女の幽霊だったのか?魞沢が意外な真相を語る「蝉かえる」、交差点での交通事故と団地で起きた負傷事件のつながりを解き明かす、第七十三回日本推理作家協会賞候補作「コマチグモ」など五編を収録。
注目の若手実力派・ミステリーズ!新人賞作家が贈る、絶賛を浴びた「サーチライトと誘蛾灯」に続く連作集第二弾。(「BOOK」データベースより)
年末恒例のミステリーランキングで、「本格ミステリ」2位、「ミステリが読みたい!」9位、「このミス」も11位ということで手に取ってみた、初読みの作家さん。
面白かった。昆虫好きで人見知り、当然友達は少なめ。すべてを見透かす推理とお人よしの性格のギャップ、とにかく魞沢泉という変な名前のホームズ役のキャラが良い。
短編5編に、それぞれ蝉、コマチグモ、フンコロガシ、蛍、ツェツェバエ、昆虫が話に大きくかかわっていたり、謎解きのカギになったり、ミステリー以前に短編小説としても、軽い感じで楽しめる。
決して本格って感じではないので、本格ミステリで2位というのは、ちょっと意外だけど、本格がやや苦手な私としてはこの方が良い。
順序が逆になったが、「サーチライトと誘蛾灯」も読まないと。また、著者と出版社には、ぜひシリーズ化をお願いしたい。