慰安婦・徴用工・竹島…韓国を愛する研究者らが実証的に検証。日韓関係を危機に陥らせた数々の「嘘」を指摘した憂国の書。韓国を震撼させたベストセラーの日本語版。(「BOOK」データベースより)
前政権との合意事項を次々と反故にする文政権と、それに反発する安倍政権のはざまで、日韓関係は最悪の状況となってしまった。そんな環境下、我々日本人にとっては留飲の下がるような内容の本だが、といって著者は決して親日家というわけではない。
「歴史に嘘をつくことはできない」、帯にある通り、歴史学者が矜持をもって、歴史の真実をニュートラルに見つめなおした本と読んだ。
大東亜戦争の敗戦により、日本の領土は日清戦争前にまで戻され、はからずも韓国は独立国となることになった。徐々に日本化が進展していた韓国は、一転、敗戦国・日本と同一視されぬよう反日を推し進め、民族としてのアイデンティティを確立する必要があった。
敗戦で日本の教育が一変したように、韓国においても「反日」を約軸に教育は一変したが、それが戦後30年の年月によって国民全体に浸透してしまった。日本はようやく催眠が解けてきたように感じるが、韓国においては、これが韓国特有の嘘を恥と思わぬ文化と相まって、反日種族主義になってしまったというのが著者の考えである。
この本で、1/3ほどのページ数が割かれている従軍慰安婦問題であるが、1902年生まれの私の祖父から聞いた日中戦争の慰安所(祖父はピー屋と言っていた)の話も概ねこの本の通りだった。しかし、この問題に火をつけたのはほかならぬ日本人である。
日本人の中にも嘘を恥とも思わない「反日種族主義」の人がいる。一方で、日本では、アンチ「反日種族主義」というか、極端に右寄りな、我田引水の理論をまき散らす輩の声も高まってきている。
韓国内からこのような声が上がり始めたのは良い傾向、広く読まれてほしい一冊であるとともに、我々日本人も、ニュートラルに、冷静な史学者の眼を以て歴史を見つめなおさなければならない。