「筋トレは必ず人生を成功に導く」(Testosterone) 体育会脳に熱く語りかける筋肉哲学 | 「晴走雨読」 廣丸豪の読書日記

「晴走雨読」 廣丸豪の読書日記

廣丸豪(ひろまる・ごう)と言います。日々の読書生活や、気に入った本の感想などを気ままに綴ります。

筋トレ

 

出世したい、モテたい、自信をつけたい、クヨクヨ悩んでいる、やりたいことが見つからない……あなたが人生で直面するあらゆる問題を、“筋トレ"は解決してくれるとする、たかがスポーツを人生哲学にまで昇華させてしまった本なのですが、残念ながら自分はそういう考え方を是としてしまうところがあります。

 

第1章では、筋トレがいかに日々のビジネスや人間関係、メンタル面など、実生活に好影響を及ぼし、人生を最高に楽しいものにしてくれるかを滔々と述べ、第2章では精神論、「限界を超えた圧倒的な成長はもうダメ…からの一歩から」「努力さえすれば過去の自分は確実に超えられる」「一流は習慣によってのみ作られる」が熱く語られる。

 

昔マラソンにはまっていた時によく言われていたことが二つ、一つは「走った距離は裏切らない」、仕事や恋愛は努力が報われない時もあるけど、自分の身体は絶対そんなことはない、もちろん個人差はありますが、必ず努力は結果となって返ってくる。それが、この本は「筋肉は裏切らない」にすり替わっただけなので、すっと心に入ってくる。

そしてもう一つは「ライバルは昨日までの自分」、マラソンで言えば自己ベストの更新というのが具体的目標になるわけですが、要は努力によって成長する、目標を設定してそれを達成する成功体験を積みあげられる、それが何とも心地よいわけで、一般的に言われている健康のためとか、ダイエットとか、そんなことはどうでもよくなってくる。ベンチプレスで、それまで上がらなかった重さが挙げられた時の快感、容易に想像できます。

 

中身はスカスカ、1時間もあれば読めますが、これが体育会脳に響く。そうなると行動せずにはいられないのが自分みたいな人種の特徴で、早速ジムのトレーナーにパーソナルレッスンを申し込みました。

「目指せ、いい体をしたジジイ」、政府から頂ける10万円は、まず自分の筋肉にぶっこむことにしました。