推理作家として難事件を解決してきた香月史郎は、心に傷を負った女性、城塚翡翠と出逢う。彼女は霊媒であり、死者の言葉を伝えることができる。しかし、そこに証拠能力はなく、香月は霊視と論理の力を組み合わせながら、事件に立ち向かわなくてはならない。
一方、巷では姿なき連続殺人鬼が人々を脅かしていた。一切の証拠を残さない殺人鬼を追い詰めることができるとすれば、それは翡翠の力のみ。だが、殺人鬼の魔手は密かに彼女へと迫っていた―。(「BOOK」データベースより)
と、「BOOK」のデータベースは言っているわけだが、読み終わってみれば全然違う驚愕の結末、正にどんでん返し、驚愕の結末。
最初は素直に推理作家の香月がホームズ役で霊媒の城塚がワトソン役、でも、彼女は霊媒で最初っから犯人が分かっちゃうので、新手の倒叙ミステリーか、と思ったら、、、霊媒師と思っていた城塚翡翠がヒロインにしてスーパーな探偵役だったわけで、まあ、それが本のタイトルどおりなのですが、それにしても可憐な翡翠ちゃんの豹変ぶりがすごい。
必然的に二重構造になった謎解きも、思わず「うーむ」とうなってしまう、かなりの本格派。
今年も残すところあと2か月、そろそろ「このミステリーがすごい」「本格ミステリ」など、年末恒例ののミステリーランキングが気になる季節になってきました。
本格ミステリーにして小説としての面白さもあるこの作品は、「このミス」「本ミス」両方でランクインしそうです。順位も上位にいきそうです。いや、大賞候補になるかも。