「恐竜超世界」(NHKスペシャル)抱卵、胎生、爬虫類の常識を覆す恐竜の世界 | 「晴走雨読」 廣丸豪の読書日記

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廣丸豪(ひろまる・ごう)と言います。日々の読書生活や、気に入った本の感想などを気ままに綴ります。

恐竜超世界

 

2019年7月放送のに2回に渡って放映されたNHKスペシャル「恐竜超世界」、最新の研究で明らかになった恐竜たちのすごい生態を精細なCGでみせる、恐竜ファンにはたまらない番組。うっかり1回目の陸編を見逃してしまったのだが、書籍化されたということで、早速読んでみた。

 

新潮文庫の「鳥類学者、無謀にも恐竜を語る」を読んだのだが、恐竜は完全に絶滅したのではなく、一部(竜盤類獣脚類という、ティラノサウルスとかの二足歩行系の恐竜)は鳥に進化したというのが最近の定説。

従い、獣脚類の恐竜は、爬虫類というよりもかなり鳥っぽかったのではないかということになる。鳥類と爬虫類の違いって、空を飛ぶことを除けば、羽毛があって温血であること、巣をつくり、卵を温めて、子育てをするということ。自分の子供の頃とは全く違う恐竜の姿がそこにあった。

デイノケイルス

 

飛行能力を持ったプテラノドン等翼竜の仲間、海生のプレシオサウルス等の首長竜の仲間や、モササウルスら魚竜も、恐竜とは呼ばないらしい。現生の爬虫類の中で比較的恐竜に近いのはカメ、ワニで、トカゲやヘビは別系統、そのトカゲが進化したのが、白亜紀後期に海を支配したモササウルスの仲間である。

モササウルスというと、全長が最大で13m、肉食・獰猛。映画「ジュラシックパーク 炎の王国」でも、海面から飛び上がってヘリからぶら下がった人を襲う、恐ろしい姿に描かれていた。白亜紀後期のわずかの間に小型のトカゲから進化し、海の食物連鎖の頂点に立ったモササウルス、それを可能にしたのが胎生。子宮を持ち、クジラやイルカ同様に大きな子供を産んでいたというのだから驚きである。

モササウルス

 

恐竜がいた中生代は、約2億5千万年前から6600万年前まで、実に2億年近い。一口に恐竜といっても、種が姿を変えずに生存した期間はかなり限定され、数百万年からせいぜい数千万年程度のようだ。約2億年の間にたくさんの種の恐竜が生まれ、進化し、滅びていったということ。

 

環境に適応した種は、繁栄し、大型化する。しかし環境が急激に変化すると、それに対応できずに滅亡し、省エネ型の小型生物が生き残る。そしてそれが進化し、また大型化する。生命の進化とは、そんなことを繰り返しているようだ。人類が地球上に現れて400万年、現生人類はまだわずかに10万年。地球の悠久の歴史を感じずにはいられない。