TVアニメ「風が強く吹いている」 | 「晴走雨読」 廣丸豪の読書日記

「晴走雨読」 廣丸豪の読書日記

廣丸豪(ひろまる・ごう)と言います。日々の読書生活や、気に入った本の感想などを気ままに綴ります。

風が強く吹いている

原作は言わずと知れた三浦しをんさんの同名の小説。06年だから、もうずいぶんと前の作品になる。ちょうど自分が市民ランナーとして一番走れていた時で、あの頃はモチベーションを上げるために、マラソンや駅伝関係の小説は片っ端から読んでいた。作中の駅伝王者の六道大が02年から05年まで箱根を4連覇した駒沢大っぽい設定なので、いかにも昔の作品って感じがする。

ストーリーは、故障で燻っていた寛政大学4年のハイジが、1年生の天才ランナー・カケルと出会い、同じ寮に住む素人8人と箱根駅伝を目指すという、実際に走っている人間からしたら絶対にありえない、大学駅伝を舐めているとしか思えない、いかにも実際に走ったことのない人が頭の中だけで書いた、少年漫画のような話。でも三浦さんの筆力でそれなりに読ませる、まずまず感動的な作品に仕上がっていた。

 

漫画化、ラジオドラマ化を皮切りに、09年に舞台化、実写映画化された。映画は、カケル役の林遣人さんのランニングフォームが本物の選手と見まごうほどに綺麗で、俳優ってすごいなーと思ったのと、ケニア留学生のムサ役がソフトバンクCMのお兄さんで笑ってしまったのと、ハイジ役の小出恵介の駅伝ゴールのシーンの倒れ方がいかにも演出って感じだったのと。。。

 

あれから10年、最初は「今更アニメ化ですか」と思った。制作は「攻殻機動隊」「進撃の巨人」のProduction I.G.。初回放送を見た第一印象は「ちょっと手抜きじゃないの、I.G.さん?」程度の出来栄えだった。

でも、たっぷり2クール、26話かけた作品は、むしろ本番のレースに至るまでの過程が原作より確りと作りこまれていて、元々漫画っぽいストーリーなので、TVの深夜アニメくらいがちょうどよいのかも。文句を垂れながらも結局最終回まで欠かすことなく見てしまった。

 

原作小説、実写映画、そしてTVアニメ。色々と突っ込みを入れているものの、実は、自分、この作品を大好きなのかもしれない。