(最終巻の内容)
工兵、次郎丸、梅林VS立華、藤崎の対決となった総合商社二社のインフラ統合案件は、暗躍するスピリッティア、貝塚の介入もあり、業界全体を巻き込む事態に。国内の主要なIT企業を押えられ、案件を進める術を失った工兵が目を向けたのは…まさかのあの人物!?
一方、工兵の総務部への異動話も待ったなしの状況に。スルガシステムの未来と、立華のいるSE部を守ること、そして自身のエンジニアとしてのキャリアに悩む工兵の選ぶ道とは―。
萌えるSE残酷物語、感動のシリーズ本編完結編!
うっ、まさかのシリーズ完結。大好きだっただけに終わってしまうのは寂しい限りです。アニメ化されるんじゃないかと期待していたのだけど、無理かな。残念。
サブタイは「萌えるSE(System Engineer)残酷物語」、平凡な大学生だった桜坂工兵くんが、いきなり中小IT会社のブラックな環境に放り込まれ、鬼軍曹・室見立華らの理不尽なOJT(On the Job Traning)で鍛え上げられ、意外にも新人離れしたハイスペックな活躍を見せるこのシリーズ。
IT業界の不条理を浮き彫りにし、SE志望の学生を激減させたと言われるこのシリーズですが、至る所にシステムに係わる正論、名言がありました。
この業界、会社の力関係、常態と化した複雑な下請け構造、いろいろあるわけですが、システムの本質は世の中を便利にする道具であり、それが今日進月歩で進化している。政治ではない、技術者としての矜持を感じることができる良作です。
ヘッドハンティングを受けるか、社内異動か、二つに一つという局面に追い込まれた工兵くんが最後に選択した意外な道。損得でいったらありえない。
著者の夏海公司さん、SE辞めてラノベ作家になったくせに、SEという職業を愛しているんですね。