東西を二分した天下分け目の大合戦から七年。実質的な天下人となりながらも、その基盤はいまだ盤石とは言い難い徳川政権。
第一の戦功をあげながら、その才ゆえに次第に家康から遠ざけられる黒田長政と、事実上の長子でありながら養子に出され実父・徳川家康より疎まれてきた結城秀康が手を組み、渾身の策で天下獲りを狙う―。
天下を治める「大義」を盾に、究極の駆け引きが始まる!!
(「BOOK」データベースより)
著者の「哄う合戦屋」シリーズが好きなので、この本も手に取ってみました。私は基本的に歴史ヲタなので、こういうあまり有名じゃない人物を主人公にした小説は好きです。
結城秀康、徳川家康の次男、長男の信康は早々に織田信長に切腹させられてしまったので、事実上長子なのですが、それにしてはあまり有名でない。自分も、人質で秀吉の養子になって、でも秀吉には結構かわいがられたこと、結城家に養子に出され、戦働きもほとんどせずに、梅毒で若死にしたことくらいしか知りませんでした。
黒田長政は、あまり有名じゃないなどと言ったら失礼ですね。関ヶ原などで戦功を上げた福岡藩52万石の藩祖ですから。でも、大河ドラマにもなった父の黒田官兵衛に比べるとやはり影が薄い。そんな脇役二人が手を組んで天下取りを目指すという小説です。
徳川・豊臣両家による二重公儀体制、そういう目で関ヶ原直後の日本を眺めたことがなかったので新鮮でした。
結城秀康が死ぬことは歴史上の事実として分かっていたので、どういう終わり方をするのかなと思っていたのですが、最期はちょっとあっけなかった。服部半蔵が放ったスリーパー、スパイ映画さながらです。
黒田家第二代にわたっての、家康と腹芸の終戦処理、歴史ヲタ受けするラストでした。
結城秀康が実は傑物だったという説、確かにあり得ますね。秀康の実母は正妻築山殿の女中なので、正妻の制裁?が怖くて会えないでいるうちに疎遠になってしまったということかな。
徳川秀忠が凡庸というのは、すっかり定説になってしまっています。関ヶ原の失態があるから、武将としての器量については仕方ないけど、家康死後の戦後体制構築、全く凡庸だったとは思えないけど。お気の毒です。
