依頼人のもっとも大切なものを報酬に、大金をもたらす株取引の天才「黒女神」。助手を務めるのはメガバンクに失望した元銀行員。やがて二人は壮絶な経済バトルに巻き込まれていく。
株取引の天才が人の心理を読み解く、新たな経済サスペンス。
(「BOOK」データベースより)
16年第14回「このミステリーがすごい!大賞」受賞作。新進気鋭・将来有望なミステリー作家さん発掘のため、「このミス大賞」はなるべく読むようにしています。
でも、『株取引の天才が人の心理を読み解く、新たな経済サスペンス』ではないです。とにかくヒロインの「黒女神」こと二礼茜の能力がありえないレベルですご過ぎてまるで少年ジャンプの漫画のよう、リアリティは皆無です。
最初は、「なんでこれが大賞?」と思いながら読んでいたのですが、第三章から話が一転、ずるっと引き込まれ、あとは一気読みでした。
米国にあるトレーダーの虎の穴、大臣肝いりの財務省内の秘密組織、奇想天外な設定に、経済ミステリーではなく、粗削りながらエンタメ要素満載の、あえて言えば神永学さん風の漫画チックサスペンスに仕上がっています。
これはこれでいいのではないでしょうか。細かいことに突っ込まなければ、娯楽作品として十分に面白いです。
