流産手術を終えて

麻酔から覚めた私は

空っぽでした。


もうお腹に赤ちゃんはいないんだ。

とてつもない

悲しみ、無力感

何もしたくなかったです。

涙を流しても流しても

また出てきます。


仕事はすぐに復帰しましたが

心は空っぽになったまま

過ごしていました。


赤ちゃんを忘れたくない。

お腹の中にいた感覚を

覚えていたい。

夜になると泣く日々は

ずっと続きました。

体が落ち着いたら

次の治療を再開しよう。

と言われていましたが

とてもそんな気になれませんでした。


流産後に

しばらく誰にも会ってなかった私は

誘われて迷いましたが

友人に会いました。

何故迷ったかというと

友人には6ヶ月の男の子がいて

その子に会う自信がなかったからです。

私の身体を気遣ってくれて

話をしている中で


子供って本当に

かわいくていいものだよ。

だから私も授かって

一緒に子育てしようね。


今なら励ましてくれて

素直に思った事を言っただけだと

理解出来ますが

その当時の私には

そんな事言われなくても分かってる。

流産した私にそんな事を言うの⁇


と思って

その言葉を忘れる事が出来ませんでした。

赤ちゃんはかわいいけど

やっぱり会うのは辛かったです。


なかなか心は戻ってきませんでしたが

泣きつくして

体はいつもの状態に戻り

日常が流れていき

しばらく経つと


こんなに悲しんでたら

天国に行った赤ちゃんは

悲しいんじゃないか。

もっと寂しいんじゃないか。


私が心から笑って楽しんで

自分の人生をちゃんと歩くことが

私の使命だと。

治療もここで諦めちゃいけない

そう思った私は

手術から3ヶ月後

人工授精を再開しました。



例え確率が少なくても

必ず大丈夫。

そんな気持ちで自分が決めた期限まで

(40歳までと最初に決めていました)

自分が出来る限りを尽くすんだ。

強い気持ちが湧いてきました。


天国の赤ちゃんに

恥ずかしい自分を見せたく

ありませんでした。


そして迎えた3回目の周期。

排卵誘発剤を飲んで

卵胞の大きさをチェックしても

なかなか大きくもならないし

排卵が来そうにないのです。

ようやく大きくなりましたが

いつもの排卵日までにかかる

日数は16日から18日。

今回は23日。

大きく超えていました。


先生からは

排卵まであまりに長い時間がかかると

一般的には卵の質は良くない

      ↓

妊娠する確率は非常に少ない


今回は見送って

次からは予定通り体外受精

切り替えようか。と言われました。

でも、もともとダメで当たり前。

だったら最後の人工授精

チャレンジしたい。と先生に告げて

する事にしました。


何だかしなきゃいけない

そんな気がしたのです。

予感みたいなものが

ありました。


結果は

妊娠でした。

もちろん嬉しい気持ちはあります。

でも前回と違って不思議な感覚でした。

天国の赤ちゃんが

連れてきてくれた。

と思いました。


流産から半年が経っていました。

私は天国の赤ちゃんに約束しました。


私は無事にこの赤ちゃんを

産んで、育てて

自分の人生を一生懸命に生きて

全うしたら

必ずあなたの元にいくからね。

待っててね。


あなたを絶対に忘れない。