Fさんとは。

私の職場の、先輩の方です。

デスクは、私の左隣でした。


Fさんは、滑るギャクが大好き。

いつも、私に突っ込まれていました。

ですが、Fさんが上着の下に隠していたパンを私に下さった時。

すぐに、豊臣秀吉だ!と分かり、二人で大笑いしました。


Fさんは、愛妻家でイクメンで、更にイケメンで、テキパキと仕事をこなすタイプでした。そんなFさんは、男女問わず、職場中の人気者でした。


Fさんは、ライトスモーカーでした。

喫煙後に、ブラックコーヒーを飲むのが楽しみとの事。午前と午後に、一回ずつブレイクタイムを楽しんでいました。その際、必ず私に【トロさん、ちょっと行ってくるね!】と仰っていました。私にそう言わないと、ブレイクタイムが楽しめないとの事。

そんなお茶目な一面もあった、Fさん。


Fさんは、ワンコを飼ってらっしゃいました。

当時は我が家で、大の水嫌いの雑種犬、ミッキーを飼っていました。「ミッキーは水が大嫌いなので、生まれてこの方、シャワーした事が無いんです。」とお話したら、「うっそー!」と、ドン引きしておられました。


また、私が何をしでかしたのかは分かりませんが、運転中に警察官に止められました。結局、私は何もしていなくて、無罪放免でした。私はその際、警察官の方に、『免許出せ!』と言い放ちました。

その話がFさんのツボにはまった様で、Fさんは大爆笑されていました。


そんなFさんに、悲劇が襲いかかりました。

Fさんの体調がみるみると悪くなり、肩でゼェゼェと息をする様になりました。周りのみんながとても心配して、早く病院に行く方が良いよ、と言っていたのですが。Fさんは、「大丈夫大丈夫!」と、笑顔でした。

結局、Fさんは、病院へ行きました。

理由は、笑うと脇腹が強く痛む様になったからとの事。

結果。Fさんは、肺がんでした。

しかも。はい細胞癌でした。


Fさんは、身体に合う抗がん剤を探す為に、隣県の大きな病院に入院してしまいました。

数名で、お見舞いに行きました。

私も同行したかったのですが、パニック発作が出る恐れがある為、行けませんでした。

代わりに、お見舞い金を託しました。

不謹慎かなあ…と思いつつ、《免許出せ!元気だせ!》と添え書きしたら。Fさんは、大笑いして下さったそうです。


残念ながら。

Fさんの癌細胞は、全身に散らばってしまいました。想像を絶する苦しみだった事でしょう…。


そして。届いてしまった、とても悲しい連絡網。Fさんが旅立たれたとの事。闘病期間は、5ヶ月。

私は知らせを聞いた時は、頭が真っ白。それから、ワンワン泣きました。


お通夜に参列させて頂きました。

「F家」の文字を見るだけで、辛かったです。

ご遺影を拝見させて頂きました。

Fさんの闘病が始まり、もしもに備えてご長男が撮られたとの事。とても闘病中とは思えない、素晴らしい笑顔でした。

私は、身内の遺体しか、見ません。

理由は、旅だれた方の、元気な時の姿を目に焼き付けたいからです。結局、ご遺影を拝見しただけで、泣き崩れてしまいましたが…。


Fさんは、地元の草野球チームの監督をされていたようです。草野球チームのみんなが、来ていました。みんなが肩を組んで、ワーワーと、泣いていました。


私は、辛すぎますので、葬儀には参列しませんでした。(お悔やみは、誰かに預けました。)

ご次男は、スライドショーの際に、人目もはばからず号泣されたようです。 


https://ameblo.jp/hirokuniponpon-2020/entry-12856290730.html

このブログに登場するK君。彼も、お父様を若くして亡くしています。葬儀中。ずっと号泣していた様です。自分と、Fさんの御子息を被らせてしまったのでしょう。


Fさん。享年46歳。

あまりにも早すぎる、別れでした。


Fさんの地元では。

今でもFさんの名前を取り、〚F山杯〛との草野球のトーナメント戦が、続いているのです。