突然なのですが。

書きたくなりました。


私が、特別支援学校に勤務していた時の事です。

特別支援学校には、介助職員さん(会計年度任用職員さん)がいらっしゃいます。介助職員さんは、フルタイム勤務では無く、児童生徒の下校時刻と同時に勤務が終了になります。


ある日。

介助のNさんが、帰宅したと思ったら、すぐ戻って来ました。

高等部3年生のT君が、学校から300メートル程離れた道端の縁石に座り込んで、泣いています!との事でした。


すぐに、教務主任の先生と、T君の担任の先生が向かわれました。


T君が泣いていた理由。

それを知り、とても驚きましたし、とても悲しくなりましたし、怒りが沸き起こりました。


特別支援学校から500メートル程離れた場所に、小規模な小学校があります。

その小学校の児童が、T君に向かって、「バカが来た!バカが来た!」と言ったり、「このキ◯◯イ!」と言ったり、石を投げつけていたらしいのです。それも、一度や二度では無かったとの事なのです。


T君は、とても軽度な知的障害を持っていました。自分が何を言われているか、自分が何をされているか、分かるのです。


その、小規模な小学校と、私が勤務していた特別支援学校は、姉妹校みたいな関係性でした。

小学校ですから、正確には、私が勤務していた特別支援学校の小学部と、その小学校の小学生が深く交流していたのです。

T君が何度も辛い目に遭わされながら、学校に言わなかったのは、その事をT君は知っていたからなのです。


小学生全員が特別支援学校に来て、体育館で一緒にレジャーをしたり、何かを作ったり、手紙を書きあったりしていました。

特別支援学校からも、通常クラスの児童は、小学校に行って交流を深めていました。


ですが。

そんな出来事が起きたのです。


生徒指導主事は、女性のS先生でした。

S先生は、電話で凄まじい抗議をしました。

「あの交流に、何の意味が有るのですか!あの交流から、何も学んでいないでは無いですか!!」

「交流では、みんな良い子にしていますよね。仮面を被っているだけに過ぎない!!」

「人間として、間違っています!どういう教育をしているのですか!!」

それから電話を叩き切り、すぐ小学校に向かわれました。恐らく、猛抗議に行かれたのだと思います。  


翌日。

小学校の管理職全員が、特別支援学校に来ました。

校長室で、長く話し合いの時間が持たれていた様でした。そして、その後も、交流は続きました。


T君は、某有名大企業の障害者雇用枠に入社しました。はにかんだ笑顔が魅力的で、とても心優しい生徒でした。


今、T君は、あのはにかんだ笑顔で幸せでいると、私は信じています。

ですが、T君に深く残されてしまった心の傷は、きっと消えない事でしょう。