私の母方の祖父は、赤紙が届き、ニューギニアに招集されました。

「ジャワは天国、ビルマは地獄、死んでも帰れぬニューギニア」とも言われた場所です。

「ラバウル小唄」でも有名な場所です。

ニューギニアの方々は、祖父にとても良くして下さったらしいです。

祖父は、マラリアに感染し、強制帰還となりました。その際、長靴を現地の方に贈った様です。現地の方は、とても喜ばれたみたいです。

強制帰還となったのは、僅か2名。

その後も赤紙が届きましたが、感染症の為に、兵役免除となりました。

(祖父は、自分の戦争経験を、私には話しませんでした。伝聞です。)

祖父が戦死していたのなら、母は産まれていません。母が産まれなければ、当然、私も産まれていないのです。


母の兄(私の叔父)は、学校に行けば空襲警報で防空壕へ、落ち着いてまた学校に行けば、また空襲警報…の繰り返しで、碌に勉強も出来なかったとの事でした。

母方の祖母は、女学生が、大きな藁人形を相手に竹ヤリ訓練を行っていたのを覚えていて、「相手は飛行機なのに、無駄な訓練」と言っていました。


私の父。4〜5才の頃。

上空を戦闘機が飛び、咄嗟に芋畑の畝に隠れました。そうしたら、1〜2メートル前を、機関銃の様なものが、ダダダダダダダッと打たれたそうです。

私の父がそこで命を落としていたら。

私は産まれていないのです。


私の遠縁の親戚。 

戦争で、人を殺めてしまいました。

生涯、苦しみ続けた様です。

幾度と無く、殺めてしまった時の夢を見ては、最悪な目覚め。

被害者もとても苦しみます。 

ですが、時には加害者も苦しむんだ、と気付かされました。


祖父と父の話に戻ります。

偶然に偶然を重ねて、私は産まれて来る事が出来ました。

私の様に産まれて来る事が出来た方々は、決して少なくない、と思います。


人間が産まれてこれる確率は、3億分の1とも言われています。

宝くじで数億円当たるより、ずっとずっと、低い確率なんです。


今、生きている方々。

その奇跡に感謝して、出来るだけ、素晴らしい日々を送って頂きたいです。


そして。 

イジメ、差別、偏見、誹謗中傷、人を追い込む行為は、絶対に止めて欲しい。

天文学的確率で産まれてこられた方々を、決して、

追い込まないで。