11月8日に全日本プロレスで旗揚げから97年3月まで

レフェリーとして活躍、2000年NOAH旗揚げからは、

NOAHの至宝、GHCタイトルの管理委員長をされていた

ジョー樋口さんが、肺腺ガンのため亡くなられた。


 新聞などでは、「失神レフェリー」などと書かれていたが、

僕にとってジョーさんはただただ凄い人だった。


 ザ・シークやアブドーラ・ザ・ブッチャー、タイガー・ジェット・

シン、ブルーザー・ブロディ、スタン・ハンセンらを面と向かって

注意出来る人などそうそういない。


 相手のレスラーでも怯んでしまいそうなレスラーに対しても、

まっすぐに叱り飛ばす毅然としたジョーさんの姿勢は、今でも

やっぱりすごいと思う。


 来る12/5(日)に日本武道館で開催されるNOAHの大会が、

ジョーさんの追悼興行になることが決まった。


 僕はこの大会を観戦する。


 どんどんとプロレス界から『宝』が消えていくのは辛いが、

ジョーさんに関しては、高齢化した現在では長生きとは云わ

ないのかもしれないけれど、81歳・・・亡くなる最近までプロレス

に関われたことはジョーさんにとって大きな喜びではなかった

かと思う。


 もちろん僕はジョーさん本人ではないから分からないけれど、

NOAH旗揚げ時に三沢さんからNOAH旗揚げに協力してくれ

ないかと言われて、素直に嬉しかったといったジョーさんの

気持ちは偽らざる心からのものだったのだろう。


 今回はここで、ジョーさんが裁いた試合で僕が気に入って

いる試合をベスト3として挙げたいと思う。

(四天王プロレス全盛の時なのでどうしてもこんな選択になる)


☆1992年8月22日 日本武道館

 三冠ヘビー級選手権試合

<王者>スタン・ハンセンVS<挑戦者>三沢光晴


 三沢さんがハンセンとの3回目の三冠選手権で、最後ハンセン

の頬を右肘で貫き、失神させた試合。

 最後の説得力あるジョーさんのカウントコールで、静まり返って

いた武道館が湧きあがった瞬間。

 あれはジョーさん以外のレフェリーでは醸し出せない空気だった

と僕は思っている。


☆1993年2月28日 日本武道館

 特別試合 川田利明VSスタン・ハンセン


 ハンセンの代名詞ウエスタンラリアットではなく、最後右延髄

ラリアットを打ちおろし決着がついた、ちょっと物哀しくなるような

試合だったと記憶している。


 ジョーさんのカウントが「あぁ・・・決まってしまった」という観客

の溜息とともに進んでいったような感覚。



☆1993年8月31日 愛知・豊橋市総合体育館

 三冠ヘビー級王座挑戦者決定戦

 小橋健太(現:建太)VSスティーブ・ウイリアムス


 当初、三冠王者三沢光晴にテリー・ゴーディが挑戦する試合が

武道館大会で予定されていたが、ゴーディの急病のため、小橋と

ウイリアムスが挑戦者決定戦として行なった試合。


 デンジャラスバックドロップを解禁したばかりのウイリアムス

のバックドロップを3連発で小橋を完全に沈めた試合。


 ジョーさんが試合の終わった二人にさりげなく抱擁を促した

と僕は記憶している。


「試合が終わればノーサイド」


 僕は、小橋VSウイリアムスの中でこの試合のインパクトが

一番強い。


 ちなみにこの試合を実況していた、中京テレビの佐藤啓

(はじめ)アナウンサーは、ウイリアムスのバックドロップを

称して、「バックドロップドライバー!」と言っていたのが印象

深い。


 他にも挙げたい試合はあるが、あえてベスト3を出すなら、

この3試合になると思う。


 ジョーさん、素敵な試合の数々の演出。

 あなたでなければ、きっと出来ない試合コントロール。


「レフェリーは選手より目立ってはいけない。ただ、選手に

好き勝手させて良いというものではない。」


 ってジョーさんの声が聞こえてくる。


 それをまさに体現したジョー樋口さん。


 あなたのプロレス人生に、おめでとうございます。


 そして、ありがとうございます。


 ジョーさんがレフェリーだったから・・・


 「あの選手に勝ったのは実力なんだ」と勝った選手、観て

いるファンに思わせてくれる雰囲気は、決して他のレフェリー

では出来ませんでした。


 選手だけでは、ゴングは鳴らない。


 「Fight!」


 のゴングを鳴らすのは、リングアナウンサーだけど、

ゴングを要請できるのはレフェリーしかいない。


 好きなレフェリーは誰かと問われれば、僕は間違いなく

「ジョー樋口」と答えます。


 それはきっと、これからも変わりません。


 ジョーさん、お疲れ様でした。


 どうぞ安らかにお休みください。


 この気持ちを届けに武道館に行きます。



 博薫堂