脚本は上原正三、監督は奥中惇夫。今日から毎週ファミリー劇場で「がんばれ!! ロボコン」を放送開始です。いやあ、懐かしかったです。とはいっても私は第二期の途中から本放送を見て再放送も関東地方では1回しか行なわれなかったので第1話は初視聴です。



さてロボコンはお手伝いロボットとして誕生しましたが、働かせてくれと頼んでも999軒のお宅に断られてしまいました。何しろ、あるお宅ではドアを壊すわ、門を壊すわしているのですから、採用されるわけではありません。ガンツ先生もロボコンが優秀ではないことをわかってはいるのですが、ロボガリもロボトンも頑張っているのでお前も頑張れと励まします。そんなこんなでロボコンはガソリンスタンドでガソリンを勝手に入れてしまい、そこで大山家の人達と出会います。子供達(はじめ、みどり、まこと)はロボコンを一目見て気に入りますが、パパの新太郎(大野しげひさ)は渋い顔。そりゃそうでしょう。この時ロボコンは10リットルもガソリンを入れてしまうのです。パパはさっさと車を発進させて、ロボコンを置いていきます。ところでガソリンスタンドの店員さんは奥中監督のような気がするのですが、どうなんでしょうか?



ところが、パパの車は坂道でエンコ。みんなで車を押す羽目に陥ります。そこへロボコン登場。100馬力の力で家まで押してやります。ここでママの初江(加藤みどり)が登場です。この功績により、ちゃんと働けるかどうかテストすることになりました。ところがロボコンの行動は頓珍漢です。なにしろ、障子にはたきをかけて破き、埃のたまった天井裏にもはたきをかけます。食器洗いはまともにできた…と思ったら、天敵ゴキブリ登場。これに動転したロボコンは大暴れ(笑)。食器や家具を破壊してしまいます。この定番ギャグはいつも笑いましたよ。まことはロボコンが発電もできるとアピールしますが、発電もなんだかんだでうまく行かず、「出ていけ!」となってしまいました。ここまでのテンポが実によい。余計なシーンをクドクドと入れまくる新作ヤッターマンとは大違いです。あの無駄なシーン挿入を似非ファンは「丁寧に描いた」と思っているのですから、おバカです。ロボコンや富野演出の話のようなキビキビした演出を見せてあげたいものです。あと、ガス欠になりかけたロボコンに「ガソリンならパパの車に入っているよ。」とまことが言い、結果、パパの車のガソリンタンクが空になりパパが困る、という流れも理にかなっていて面白かったです。如何にも子供が言いそうなことですからねえ。パパが困るところまでは頭が回らないんですよね。



まことは病気で倒れてしまいますが、ロボコンを捜しに家を出てしまいます。まことを診察するお医者さんは殺陣師の三島一夫さんのような気がしたのですが、どうでしょうか? それをガンツ先生から教えられたロボコンはまことを探します。そして多摩川の反対側の岸にまことがいるのを発見。まこともロボコンに気がつき、こっちへ来てくれ、と言いますが、ロボコンは泳げません。まことは貸しボート屋を見つけ、ボートで漕ぎだします。看板に稲田堤と書かれていましたので、このシーンに映っている鉄橋は京王相模原線のものです。が、まことはうまくボートを漕げずに漂流してしまいます。それを見たロボコンはまことを助けようと川に飛び込みます。ところがうまく泳げず、川底に沈みそうになってしまいます。それを見たまことは「ボートにつかまれ」と呼びかけます。いったい、どっちを助けようというのでしょうか(笑)。なんとかロボコンはボートにつかまり、なんとか川岸に到着。そこへ大山家の人達と近所の交番に勤務する町田巡査(由利徹)が駆け付け、無事に二人は救出。ロボコンも大山家に住み込むことを許されました。



さて採点です。ロボコン達がガンツ先生に渡すパンチカードには一週間の行動がすべて記録されています。ガンツ先生はパンチカードを口の中に入れ、カシャカシャカシャと計算して採点し、お腹から採点結果の点数が記されたカードが出てきます。この部分は今の視点で見ると古臭く感じられるかもしれませんが、当時のコンピュータはああいう感じだったんですよ。だからこれでも当時の一般人の目から見ると最先端の技術なのです。それにこの描写は味があっていいです。後に作られた「燃えろロボコン」では電極をつないでデータを読み込み、スロットマシンのような感じでディスプレイ部分に出力されるようになっていましたが、私は旧作ほどのわくわく感を感じることはできませんでした。技術の進歩も一長一短がありますね。閑話休題。まずロボガリが100点をだし、ロボペケは5点。ロボペケは「ショックのパー」と言ってバラバラになってしまいました。ロボコンはロボペケを冷笑しますが、自身の点数は「ローボコーン、0点」ロボコンは外で「ガンツの馬鹿野郎!」という暴言を吐きますが、しっかりガンツ先生に聞かれてしまいました。ガンツ先生はきちんとそのわけを説明します。「まことを助けた」のは立派だったが、その前に数々のお宅で物を壊している。だからプラスマイナス0だ。これには平山亨プロデューサーのメッセージが込められています。採点と言うのは理不尽なものが多いのだから、気に病む必要はない。視聴者から、ロボコンに100点をとらせて下さい、という手紙が殺到しても、脚本家が「そろそろいいでしょう」と言っても平山さんは首をなかなか縦に振らず、100点をとることは滅多にありませんでした。平山さんは自分がダメ人間だったから、子供達にそういう思いを伝えたかったのです。でも平山さんって東大を出ているんですけどね。謙虚な方なんですね。最近続々登場しているタカビーな高学歴タレントに、この謙虚さを見習ってほしいものです。特に国語や社会で間違えると「これは理系の分野じゃないから」と言い訳する八田亜矢子などにね。ちなみに我が家では高田万由子さんの評判はいいですよ。あの方は東大卒を鼻にかけることのないお嬢様ですからね。



それにしても、昔の子供番組は面白かったです。子供を馬鹿にした作りはしていませんでした。あの新作ヤッターマンに欠けていたのはこういう姿勢なのだと思います。新作ヤッターマンは子供をなめたやっつけ仕事ばかりでした。こんなものを「丁寧な作りだった」という似非ファンは新作ヤッターマンだけではなく、他のアニメや特撮やドラマを見ておくべきでしょう。悪いものばかり見ていると、良いものを見抜く目が衰えてしまいますよ。