昨日、旧作ヤッターマンの第39話を見たのですが、テンポが良くて面白かったです。それもそのはず。脚本山本優さんだし、演出は富野喜幸こと富野由悠季さんと長谷川康雄さんの連名、作画監督芦田豊雄さんでした。山本さんと芦田さんは何本も演出されているので別に驚きませんでしたが、富野さんが手掛けていたとは知りませんでした。考えてみれば富野さんは「新造人間キャシャーン」でタツノコプロのアニメの演出をしているのを見たことがありますし、「いなかっぺ大将」も手掛けていますから、タツノコプロとの縁は強いのかもしれませんが、今までまったく気がつきませんでした。あとで簡単に感想を書く予定ですが、新作とは違ってテンポよく進み、面白かったです。


さて新作の方です。今回の布陣は、脚本は武上純希、演出は堀内直樹、作画監督は川口弘明でした。川口は三度目の登板で堀内は初登板。まあそれを差し引いたとしても、出来の方は武上脚本の酷さに引っ張られていまいちでした。「3悪ドットコム 」は旧作に登場したスカンタコが再度登場したのでよかったとか、「最近ゼンダマン的内容が多かった反動からか、旧ヤッターマンを全面的に意識した内容」とか、旧作でドロンボーが宇宙へ行った時に使ったメカはスカンタコではなかったとかいう、マニアックなところばかりを強調していましたが、はたして、今回の話で旧作を引用したこと以外の売りは何だったのでしょうか? 何もなかったと思います。話の方は相変わらずメインのゲストキャラクターがたったの一人(旧作でヤッターよこづなを担当したベテランの緒方賢一さんだったが自称マニアック(?)な「3悪ドットコム」での言及はなし)だけというトホホな状態で、話自体も旧ソ連崩壊に伴って宇宙ステーションミールの飛行士が取り残されそうになった話を今頃になって中途半端に取り入れた物でした。挿入されるギャグは寒くて笑えませんでした。また、例によってドクボンとネエトンはほとんど本筋には絡まず、いったい何のためにこの二人(?)を新たに投入させたのか、本当に意図不明です。登場さえしなかったドクロリングハンターはいったいいつ登場するのでしょうか。「3悪ドットコム」は彼らが一回こっきりのゲストだと断言していましたが、第38話の内容を見る限りではとてもそうだとは思えません。おそらく準レギュラーにするつもりなのでしょう。しかし、今のスタッフの実力だと、彼らを登場させると別のレギュラーがまた割を食って出番が減り、またつまらなくなるのは目に見えています。こんな作品をヤッターマンという名で作るのはやめていただきたいものです。


結局のところ、安直に旧作のキャラクターを引用してもお話自体がいまいちでは本当に話になりません。笹川ひろしさんは「ガッチャマンII」で旧作フィルムを流用すると言う手を使いましたが、結果、新作の作画などの酷さが際立ってしまい、失敗に終わりました。その教訓を活かせず、同じ失敗を繰り返してしまいました。


本当に旧作のスタッフは多士済々でした。脚本を書いた人だけでも上に挙げた人達だけでなく、鳥海尽三さん、酒井あきよしさん、鈴木良武さん、陶山智さん、筒井ともみさんなど有能な人が参加していました。やっぱり、製作吉田竜夫の名は伊達ではないです。笹川ひろしさんは地下の吉田さんにこの惨状をなんと言ってお詫びするのでしょうか。本当に一度会って聞いてみたいと思っています。