ついに連続テレビ小説「瞳」が終わりました。平均視聴率はビデオリサーチ調べで関東地区が15.2%、関西地区は14.8%という結果になりました。いずれも史上最低の視聴率。特に関西地区では「ちりとてちん」が17.0%を記録したというのに一気に下がりましたから、より深刻です。もしかしたら、ブルーシューズ初登場時の印象のひどさが影響したのではないかと個人的には思っています。
はっきりいって、こうなることは番組中盤から予想できていました。ドラマとしての作りがひどすぎたというのは今まで指摘してきた通り。ダンスビートの予選に敗退してからは唖然とする展開ばかりで開いた口がふさがりませんでした。
さてこれを受けて日刊ゲンダイ2008年10月2日号に、「朝ドラ史上ワーストで後が続かない榮倉奈々~ステップアップのつもりが」という題の記事が載っていました。すべてを載せるわけにはいきませんので、重要な個所だけ引用します。
先月27日に終了した榮倉奈々(20)主演のNHK朝の連続テレビ小説「瞳」が、平均視聴率15.2%(ビデオリサーチ調べ・関東地区)に終わり、朝ドラ史上最低の数字を記録した。
(中略)
これまで、2番手以下でのドラマ出演が多かった榮倉も、朝ドラをきっかけにブレークを狙っていたはずだが…。
「朝ドラのヒロインは、まだ開花していなくても、どこかキラリと光る“華”がないといけない。今回の榮倉にはそうした輝きが感じられず、“今風のよくいる女の子”にしか見えませんでした。」(放送評論家の松尾洋一氏)
榮倉は06年の初主演ドラマ「ダンドリ。」(フジ)も平均視聴率8.9%とボロボロだった。まだ、単独で数字をとれる女優ではないということだろう。
「今後の仕事は来年5月公開の映画『余命1ヶ月の花嫁』しか決まっていない。このままでは、6社と契約中のCMも減ってしまう可能性がありますよ」(マスコミ関係者)
朝ドラの“必勝パターン”もこれまでか。
後半の「マスコミ関係者」のコメントは眉唾物の気がしますが、前半部分の松尾洋一氏のコメントは「瞳」で榮倉が演じた役の特徴をよくつかんでいると思います。西田敏行は等身大の役を演じることが一番難しいんだと言って榮倉の演技をかばっていましたし、一部では不評の朝日新聞でのインタビュー(2008年5月11日発行の別冊 Be に掲載)でのコメントはスタッフの等身大の女の子を演じてほしいという指示を何も考えずに述べただけだったのでしょう。ちなみにコメントの内容は次の通りです。
台本だけでなく、演じる人まで事前に作られてしまったら、見る人も話に入って行けないと思う。本番での瞬発力を大事にしたい。および
瞳ちゃんも、初めは里親のことをよく知らなかった。視聴者の方と同じ目線でいいのかな、と思って演技している
しかし、この発言は好意的に受け取られませんでした。榮倉が西田敏行のアドリブ多用のやり方を安易に模倣し、榮倉が役作りを放棄しているとしか思えない演技を多用したからだと思います。実際、9月に入ってからの榮倉の演技はひどいを通り越して真面目に仕事をしていないのではないかと思う物さえあったくらいのレベルでした。それは以前 書いた通りです。
榮倉よりもひどい演技の人は何人かいました。「どんど晴れ」の主役の比嘉愛未もそれほど演技がうまい方ではなかったと思います。でも榮倉との違いは役に対して真摯な態度で接して演技をしていたことです。アドリブが許されるのは演じる人物がどういうことを突き詰めてきた結果、役者が「この人なら台本とは違ってこのように行動するはずだ。」と考えて行なうこと。その場の乗りで好き勝手に演じることではなく、登場人物になって事前に考えてきた結果が反映されているのです。今までの榮倉の発言を見る限りでは、残念ながら西田のやり方を表面的にしか受けとらなかったのだと感じられました。「その場しのぎ」で演じるという悪癖が榮倉には身についてしまったのです。「瞬発力」という言葉に、その姿勢がよく表れていると思います。
「瞳」の収録終了後に出た「スタジオパークからこんにちは」では「収録が始まる前に3ヶ月間役作りについて特訓した」と発言しておきながら、武内陶子アナの「瞳の初恋はいつ、どんなものですか?」という質問には「設定にないので…」と言いながらシドロモドロになってしまいました。おそらく、台本に載っている内容だけを覚えることしかしておらず、登場人物の内面までは考えてこなかったのでしょう。そんな人がアドリブを多用したら、惨憺たる結果になることは目に見えています。
私は大河ドラマの「篤姫」も見ています。正直言って宮崎あおいも堀北真希も演技がうまいとは思いません。しかし、「篤姫」を見ている人からはあまりそういう批判が出てきません。それは二人とも一生懸命役作りして演じているからだと思います。実際、私は「土曜スタジオパーク」で堀北真希が和宮を演じることについて述べているところ見ましたが、彼女は和宮についての資料をたくさん読んだが資料には和宮の内面までは書かれていないので苦労している、ということを話していました。堀北は榮倉とはそれほど年齢は変わりません。同じ世代の堀北にできることが榮倉にできないとは思いません。そういう一生懸命取り組んでいるという姿勢が榮倉奈々にもほしかったです。
日刊ゲンダイの記事でもとりあげられていましたが、榮倉は映画『余命1ヶ月の花嫁』で末期ガンにかかった女性を演じます。この映画はTBSで評判になったドキュメンタリーを映画化したものです。このドキュメンタリーは大きな反響を呼びました。末期ガンの患者の苦しみを演じるのですから、榮倉にはかなりの演技力が要求されます。「瞳」の収録終了後に榮倉は、朝ドラの現場は思ったよりも大変ではなかった、と発言したと聞きましたが、少し思慮が足りなさすぎるのではないでしょうか。もう少し頭を使って仕事に取り組んでほしいものです。でないと榮倉本人のためにもならないと思います。