脚本は田口成光。監督は東条昭平。


ゲンの親友で宇宙ステーションに勤めている白土隊員(松坂雅治)は会議に出席するために久しぶりに地球に降りていました。そして恋人のようこ(早川絵美)と甘い時を過ごしていました。会議に出席する白土はゲンとようこと別れ、ゲンはようこを車で送ることにしました。この時、事件が起きました。ゲンは怪しい物の姿をバックミラーでみかけて車を止め、外へ出て捜索しました。しかし、その隙を突かれてようこは星人に襲われてしまいました。ようこの叫び声を聞いて駆け付けたゲンが星人を見て一言。「カーリー星人。」ゲンはカーリー星人のことを以前から知っていたようです。ゲンはカーリー星人と闘いました。劣勢のカーリー星人は巨大化。ようこはカーリー星人に踏みつぶされてしまいました。ゲンはレオに変身して闘いますが、肩の角を使ったカーリー星人の突進攻撃に苦戦。しょっぱなから劣勢でいいところなく敗れてしまいました。


当然のことながら白土はゲンを非難しました。白土はゲンを非難した後、こういいました。「(ゲンに)お前の顔なんて見たくない。それにあいつだ。ウルトラマンレオもだ。」なんとゲンはゲンとしてではなくウルトラマンレオとしても非難されるのです。白土と入れ替わりにダンが現れました。ダンは多摩川の河原でゲンを叱咤。悲しむのは白土の方ではないか。同じ宇宙人としてもレオを責めたい。レオに変身したばかりか星人を倒すことさえできなかった。さらに反論しようとしたゲンをダンは「白土隊員の悲しみを知れ。」と一喝しました。


白土は志願してMAC本部に移ってきました。狂ったように射撃訓練に精を出す白土を見てゲンの表情は重くなります。そこへ白川純子隊員が現れ、こう言いました。「すごい人がパトロール隊に来ましたね」驚くゲンに白川隊員はさらにこう言いました。「あら、知らなかったんですか。白土隊員は志願して今日からパトロール隊に入隊したんですよ。どうしても自分の手で星人を倒すんだって、はりきってました。


ゲンはカーリー星人を倒すために特訓を開始しました。丸太を二本吊るし、突進してくる丸太に対抗することにしました。


その頃、白土はカーリー星人を倒すためにパトロールを買って出ました。そして星人と遭遇しました。カーリー星人は車にぶつかっても平気でした。白土は星人をにマックガンを撃ち込み、あることに気がつきました。カーリー星人の急所は眉間だったのです。直後の作戦会議で白土はこのことを指摘し、「我々でも倒すことのできる相手です。」と言いました。この時、ゲンの表情が曇りましたが、それをダンは見逃しませんでした。ウルトラマンレオにも負けた相手だという青島にダンは、白土が星人を倒しかけたこととさらに女性を救出できたことを根拠に反論。ダンはパトロールの分担を決め、星人を狙撃する役目を白土に命じました。出動する隊員達。ゲンはダンに、危険だからやめさせるように、と進言するとダンはこう言い放ちました。「思いあがるのもいい加減にしろ。みんな、星人を倒すために一生懸命なんだ。それがMACの隊員の使命なんだ。」なおも食い下がるゲンにダンはこう言いました。「地球人が地球を守るために命をはっているんだ。宇宙人のお前が何を言うんだ。いったい、お前が星人を倒すためにどんな努力をしたと言うんだ。ウルトラマンレオは何をしたんだと言うんだ。」ゲンは、僕だって地球を愛している、と言いましたが、ダンは「それならウルトラマンレオのあのざまは何だ。」と言い放って去ってしまいました。


コマーシャルが明けてゲンが特訓に明け暮れていました。先ほどの丸太の先を尖らせて特訓する様子を見かねて、大村、百子、そして猛がゲンを止めました。しかし、ゲンは、自分は正気だ、自分は技を覚えなければならないから続けさせてくれ、と言いました。それを聞いた大村はこう言いました。「こんなことまでしなくてはいけないのか、MACの隊員は。」結局、大村達はゲンを見守ることしかできなかったのでした。


その頃、黒田がカーリー星人に遭遇しましたが、やられてしまいました。かけつけた青島もやられてしまいました。それをダンから聞いた白土は悔しがりました。ゲンは狂ったように特訓を続けました。白土も射撃訓練を続けます。何の意味があるのか、白土は宙返りしながら射撃をしています。


ダンのところへ桃井隊員がカーリー星人に襲われたという連絡が入りました。ダンは何事か決意し、ゲンのところへ向かいました。ダンは丸太を吊るしていた縄を切った後、ゲンを松葉づえで何度も何度も打ち据えました。そしてこう言い放ちました。「お前はカーリー星人を倒すと言ったなあ…その腕ではまだ無理だ。白土隊員の射撃の腕の方が上だ。」「そんな」というゲンにダンはこう言いました。「しかし、白土隊員の腕だけでも星人を倒すことはできん。お前はいったい何をしていたんだ!」ダンはゲンをビンタ。「お前のやっていたことは訓練なんかじゃない。この丸太棒にお前を憎しみ突き刺す心があるか。」


なんとダンはゲンをジープで追いまわしました。当然のことながらゲンは逃げ回りましたが、「ゲン、逃げるんじゃない。」とダンは言い放ち、執拗にゲンを追いかけまわしました。ダンは心の中で呟きます。「ゲン、逃げるな。逃げるんじゃない。車に向かってくるんだ。カーリー星人に勝つためにはこの方法しかないんだ。飛べ。飛ぶんだ。」ついにゲンはジャンプして車を避けることに成功しました。そこへ星人来襲の報せが入りました。


白土は巨大化したカーリー星人に銃を向けましたが、ピンチに陥ってしまいました。それを見たゲンはウルトラマンレオに変身。白土はつぶやきました。「ウルトラマンレオ。」特訓したレオはカーリー星人の敵ではありませんでした。レオは星人の両肩の角を切断。眉間に突き刺して倒すのでした。


白土は宇宙ステーションに戻ることになりました。白土もダンもゲンをねぎらいました。そしてゲンはスポーツセンターで子供達を指導するのでした。


正直言って私はこの話が好きではありません。それは登場人物への愛情がまったく感じられないからです。ゲンは星人に敗北するだけではなく、精神的にもいろいろな事柄で追い詰められます。親友にはゲンとしてもレオとしても責められ、ダンにも責められ、同僚の白川にもデリカシーがないとしか思えない発言で痛めつけられます。ゲンが白土の恋人を死なせてしまった経緯を白川が知っているかどうかは明確に描かれていませんが、初見の際は、白川は知っているはずなのにと思ったものです。さらにゲンが痛めつけられるのはこれだけではありません。ゲンが行なった特訓も、ダンに否定されてしまうのです。挙句の果てに行われた特訓も、常軌を逸したものとしか言いようのないものでした。私は、主人公をただただ追い詰めるだけのこの作劇が好きではありません。唯一の救いはスポーツセンターの人達がゲンを暖かく接していることですが、しかし上述したとおり、ゲンの苦境を救ったり、ゲンに助言を与えたりすることはできておらず、何の役にも立っていませんでした。「こんなことまでしなくてはいけないのか、MACの隊員は。」というのは大村のセリフですが、くしくも当時の視聴者が思っていたことを代弁してしまっているようです。この視聴者との乖離に気付かずに話を作っていった結果、「ウルトラマンレオ」は肝心の子供達に見放されて視聴率は低迷。なんと一桁を記録した話もありました。その結果、ウルトラシリーズは「ウルトラマンレオ」でいったん幕を下ろすことになってしまったのでした。


なお、白土の恋人ようこを演じたのは早川絵美さんで、当時は本名で活動していました。早川さんはブラックテリナの登場する回にも出演しています。夫の誠直也さんと知り合うのはまだまだ先の話です。