シンドラーに救われた少年  レオン・レイソン著 古草秀子訳  河出書房新社 | 空のぶろぐ

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シンドラーに救われた少年/河出書房新社

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8/14(金曜)に読了しました。

シンドラーに救われた少年?って事はシンドラーのリストに載ってる人ってことだよねと、新刊書コーナーでこの本と目が合った時に、先ずタイトルに目がいき、手に取りました。

本をパラッとめくってみると地図と結構な枚数の写真が掲載されていました。そうだ、この本はあのホロコーストを生き抜いた一人の当時少年だった人が書かれた本当の話しなんだ、と購入。

購入後、しばらく積読になってはいたけれど、お盆休みだしある時間を有効に使う為、読書開始したのが今日の午後。一気に読み上げてしまいました。いえ、先が気になって途中でなんて止める事が出来なかった。

ユダヤ人である著者は、ポーランドのナレフカに生まれ少年時代を過ごしている。あの当時、人は産まれた村を出る事無く、その村で一生を過ごし、穏やかな人生を過ごしその土地に眠るものだった。著者の家族も先祖代々そうやってナレフカで200年以上生きて来たとか。

農村生活よりもっと豊かな生活を求めた著者の父親は単身クラクフに出て働き、1938年の春、家族を呼び寄せる準備が出来た時に家族をクラクフに呼び寄せた。当時著者は8歳、好奇心旺盛な、でも純朴な田舎っ子だった様だ。移り住んだ頃はまだ、学校に通い、友達とその年頃の少年が楽しいと思える遊びを一緒に楽しむことが当たり前に出来る平和な時代だった。

ドイツのポーランド侵攻が始まるとあれよあれよと言う間にユダヤ人迫害は進んで行った。自由に乗ることが出来ていた電車の後部がユダヤ人、それ以外、と分けられたかと思いきや戦局の悪化と共にユダヤ人は電車に乗れないどころか、公園にも入れなくなるし、子どもが学校に行く権利すら剥奪され、世の中が普通でなくなっていった。

ユダヤ人に何が起こったかは諸々の映像やテレビ番組等で見聞きしてはいるものの、やはり現場を体験した人の文章というのは差し迫るものがある。あぁ、これが現実なのか、なんて酷いことを、、、憤りを感じることが本の中には沢山書かれていた。知りたく無い事実ではなく、知っておくべき事実が。

実体験をした人達は、時にあまりにも惨いことだっただけに、どう言ったらいいのか、言っても伝わるのか、理解してもらえるのか、等々の想いから言葉を噤んでしまう人が多いと聞く。

でも、映像や写真だけで伝わるものじゃない。本当に体験した人だからこそ語れる真実がある。身を以て体験した本当の話しだからこそ、書かれた内容に静かな迫力を、真に迫る怖さを読み取ることが出来るのだ。

私たち戦争を知らない世代はもっと自ら知ろうとしないとならないことだと思う。戦争が一度起これば反対したくとも、人の本当の想いとは別のものに突き動かされてしまうことが起こらないとは限らない。だから戦争が起こる前に、戦争を起こさぬ様、一人一人が戦争とはなんぞや、と言うことをしっかり考えておくべしだと思う。

ホロコーストを生き残った著者は、大変だったとは思うものの、とてもラッキーな方だとも思う。家族6名中、4名がシンドラーに助けて貰え生き抜いている。もちろんとてもきわどいところをくぐり抜けてはいるけれど、、、それすらままならず沢山の人が亡くなったことを思えば家族4名で生き残れたことはすごいと思う。むろん、2人のお兄さん達の事は気の毒に思うし、その他大勢のナレフカの親族や知人達の事も残念だとは思う。

人間ってどこまで恐ろしい事が出来る様になるのだろう。戦争って、本当に嫌だ。けど、その中にはシンドラーの様な人も稀ではあるのだろうけどいるんだなぁ。

シンドラーのリスト、映画でしか私は話を知らないけど、著者は本物のシンドラーと言葉を交わしている。彼はナチスに協力しながらもユダヤ人を彼が出来る範囲で助けていた。それは、あの当時とても危険な綱渡りだった事だろう。それでも、彼は助け続けた。

それをどうのこうの言う人がいて、可否が分かれるらしいけど、ナチに協力したと言えど、それでも私はシンドラーは凄いと思うし、良い人だったのだろうと思う。必死で可能な限りユダヤ人を助けようとした人だと。私は評価する。