「決戦は日曜日」 二世候補と秘書との熱い選挙戦!政界にはびこる古い慣習に一矢を放つ社会派コメディ | 『Pickup Cinema』

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Ⓒ2021「決戦は日曜日」製作委員会

2022年製作/105分/G/日本 脚本・監督:坂下雄一郎 出演:窪田正孝 宮沢りえ、赤楚衛二、内田慈、小市慢太郎、音尾琢真ほか 配給:クロックワークス 2022年01月07日公開

窪田正孝と宮沢りえの初共演。二人は私設秘書と二世議員候補のお嬢様という関係だ。

これまでに私たちは、政治家のリアルな記者会見で「私は何も知りません。全ては秘書がやったことなので…」と繰り返し聞かされてきた。この映画の中では、そのカラクリが見事に暴かれる。代議士と秘書、そして後援会、地方議員との深い関係がコメディタッチで描かれているのだが、笑いながらもこれが現実なら許せない、と思ってしまう。

舞台は、とある地方都市。谷村勉(窪田正孝)は、当選を続ける衆議院議員・川島昌平の私設秘書。仕事に対して特に熱い思いはないが、秘書として経験も積み、家族3人暮らしていくには不自由はなかった。

しかしある日、川島が講演会中に倒れてしまう。そんな折に衆議院が解散。後継候補として白羽の矢が立ったのは、川島の娘・有美(宮沢りえ)だった。

谷村は有美の補佐役となったが、自由気ままに育った有美の言動に振り回され、火消しに追われる。

世間知らずで政治についても無知な有美。失敗ばかりの毎日だが、熱意だけは人一倍だった。

公示日を迎え、父の地盤は盤石で当選は確実、と言われていた有美だったが、ある日、地元政界にはびこる古くからの慣習を知ることになり「出馬をとりやめたい」と言い出す。谷村が説得をし当選できるよう導くのだが、投票日の夜、有美にはもう一つの闘いが待っていた。

果たして選挙戦の行方は…。

お嬢様役の宮沢りえが着るコンサバティブなビタミンカラーのファッションが可愛い。

最初は「各々」を「カクカク」と読んでしまうようなダメっぷりだったのが、恥や苦労を乗り越え成長し、正義感に燃える候補者へと育っていく姿は見もの。そして結局、谷村は誰の味方なのか?政治家を動かしているのは秘書なのか?笑いながら、ふと深く考えさせられるシニカル・コメディ。