「小さいおうち」 ミステリアスで切ない昭和の秘めた恋 | 『Pickup Cinema』

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(C)2014「小さいおうち」製作委員会

2014年製作/136分/G/日本 監督:山田洋次 出演:松たか子、黒木華、倍賞千恵子、片岡孝太郎、吉岡秀隆、妻夫木聡ほか 配給:松竹 劇場公開日 2014年1月25日

 

昭和11年、山形から出てきた純真な娘・タキ(黒木華)は、東京郊外に建つ「赤い三角屋根の小さなおうち」で女中として働き始める。

タキは、玩具会社に勤める主人・平井雅樹(片岡孝太郎)と美しい妻・時子(松たか子)、5歳になる二人の息子ともに穏やで幸せな日々を送っていた。

ある日、雅樹の部下・板倉正治(吉岡秀隆)という青年が平井家を訪れる。時子の心は揺れ、板倉への想いを募らせていく。

時子と板倉との秘めた恋を知ったタキは動揺する。

やがて平和な日々は一変し、日本は戦争へと突入していく。板倉へも召集令状が届き、取り乱した時子は慌てて会いに行こうとするのだが、彼女を押しとどめたのはタキだった。タキはある「秘密」を封印することにする。

60年の歳月が流れ、年老いたタキ(倍賞千恵子)の親戚の青年(妻夫木聡)によって、「秘密」が紐解かれることになる。そのカギとなったのは、タキの自叙伝と未開封の手紙だった。

50年以上にわたり「家族の絆」を描いてきた名匠:山田洋二監督が、初めて「家族の秘密」に迫った意欲作。

ラストの衝撃が、切なさと静かな余韻を残す。

小さいおうちで繰り広げられる人間模様。松たか子と黒木華の対照的な二人の女性の言動やしぐさが面白い。また、インテリアやファッション、料理など昭和のライフスタイルも見どころ。

原作は第143回直木賞を受賞した中島京子の同名小説。

タキ役の黒木華は、第64回ベルリン国際映画祭で銀熊賞(女優賞)を獲得。日本アカデミー賞最優秀助演女優賞に輝いた。