『Pickup Cinema』

『Pickup Cinema』

新作も思い出の作品も おすすめ映画を紹介!

(C)「パリに咲くエトワール」製作委員会

2026年製作/119分/G/日本 監督:谷口悟朗 キャラクター原案:近藤勝也 脚本:吉田玲子 声の出演:當真あみ、嵐莉菜、早乙女太一、門脇麦、尾上松也、角田晃広、津田健次郎ほか 配給:松竹 劇場公開日:2026年3月13日 ★マスコミ試写会で2月5日に鑑賞

舞台は20世紀初頭のパリ。主人公は日本からやってきた二人の少女たち。

厳格な家庭に育ち、夫を支える良き妻となることを望まれながらも、画家を夢見ていたフジコは、パリで骨董屋を営む叔父を頼り渡仏。店を手伝いながら絵の勉強を始める。

もう一人は、武家に生まれた長刀の名手でバレリーナに憧れる千鶴。二人は、横浜で開催されたバレエの公演で出会い、5年後にパリで再会する。

フジコは、異国の地でトラブルに巻き込まれた自分を救ってくれた千鶴の夢を応援しようと決心する。

輝きに満ちたパリで、それぞれの夢を追い求める二人だったが、フジコの叔父が失踪したことで絵の勉強どころでなくなる。

生活のためにレストランで働き始めたフジコは、東洋人だからと差別を受けるが、明るく前向きに生きようとする。

困難に遭いながらも互いを支え合い、それぞれの夢を追いかける二人の少女の奮闘記。

当時のパリは、さまざまな文化が花開いた“ベル・エポック”の中心地。石造りの重厚な建築や人々が憩う広場など、美しい街並みがスクリーンに広がる。

 

 

(C)2025 Searchlight Pictures. All Rights Reserved.

2025年製作/110分/G/アメリカ 監督:HIKARI 出演:ブレンダン・フレイザー, 平 岳大, 山本 真理, 柄本 明, ゴーマン シャノン 眞陽ほか 配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン 劇場公開日:2026年2月27日 ★マスコミ試写会で1月29日鑑賞

東京の小さなアパート。そこに暮らすフィリップ(ブレンダン・フレイザー)は、かつて歯磨き粉のCMで一世を風靡し日本に移住したものの、現在は落ち目となっているアメリカ人俳優。

今日もオーディションを受けに行ったが結果は期待できない。彼は日本での暮らしが気に入っていたものの、自分を見失いかけていた。

そんなある日、仕事の依頼の電話がかかってくる。現場は葬儀会場で、弔問客を演じる仕事だった。

帰り際、フィリップはレンタル・ファミリー会社の社長・多田(平 岳大)にスカウトされる。“レンタル・ファミリー”とは、他人の人生の中で「仮」の役割(友達、恋人、親など)を演じ、報酬を得る仕事だ。

社員の愛子(山本真理)や光太(木村文)に持ち上げられ、働くことになったのだが、結婚式の新郎として雇われたフィリップは、自分を偽ることに抵抗を感じ、雲隠れする。多田や愛子に責められ嫌々ながら式に出たフィリップは、後で、新婦の秘密を知ることに…。

引き籠りの青年のゲームの相手や受験を控えた少女の父親役、老人の話し相手など、様々な依頼を受けるフィリップだったが、仕事で出会う人々の“家族”や“友達”を演じるうちに、徐々に気持ちが変化していく。

そして、フィリップは多田に止められていた一線を越えてしまうことに。

時々、クスッと笑いながらも、じんわりと心に響く各エピソードは、美しい日本の自然や、独自の風習を背景に、人間関係の中で生まれる細やかな心情を丁寧に描いている。

主演はアカデミー俳優のブレンダン・フレイザー。監督は「37セカンズ」で衝撃のデビューを飾った日本人監督のHIKARI。全編日本ロケのハリウッド作品。

海外の人から見ると、日本は不思議の国なのだろうなぁ、とつくづく思う。

私は、公開前にメディア関係者が招待されるマスコミ試写会でこの映画を鑑賞した。心地よい余韻に浸りながら、映画のエンドロールが始まったとき、試写室に拍手が起こった。これまでに数百回のマスコミ試写会に参加しているが、こんな経験は初めてだった。

多くの人にぜひ観てほしいと思う。きっと日本の素晴らしさを再認識するはずだ。

 

 

(C)2026 20th Century Studios. All Rights Reserved.

2026年製作/112分/PG12/アメリカ 監督:サム・ライミ 出演:レイチェル・マクアダムス, ディラン・オブライエン 原題または英題:Send Help 配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン 劇場公開日:2026年1月30日 ★マスコミ試写会で1月27日に鑑賞

コンサル会社の戦略チームで働くリンダ(レイチェル・マクアダムス)は誰よりも有能だが、不器用で空気が読めないため出世もままならない。自宅でサバイバル番組を観るのが楽しみなシングル・ウーマンだ。

新しい上司となったブラッドリー(ディラン・オブライエン)は傲慢で、リンダにひどいパワハラを繰り返す。

そんなある日、リンダはブラッドリーや同僚たちとタイに出張することになったのだが、その途中、事故で飛行機が海に墜落する。

気が付くと、リンダは無人島の浜辺に打ち上げられていた。生存者はブラッドリーと二人だけ。足に大けがを負い、身動きの取れないブラッドリーは、上から目線でリンダに命令する。「ここは、オフィスじゃないのよ!」と言いながら、リンダはサバイバルスキルを駆使して、日陰をつくり、飲み水を集め、海で魚や貝を採り、食事の用意もする。そんなリンダを見て、ブラッドリーは少しずつ歩み寄りを始める。

やがて二人の力関係は逆転し、リンダが優位に立つが、ブラッドリーはそれを認めたくない。そんなブラッドリーに対してリンダの抑圧していた復讐心が爆発して・・・

物語は二転三転し、サバイバル、アドベンチャー、アクション、スリラーへと変化していく。そして誰もが予想しなかったラストへ。

極限状態に置かれたとき、何が必要なのか。人の気持ちはどう変化するのか。まるでジェットコースターに乗っているような気分で、叫びだしたくなったり、目をつぶってしまったり、の娯楽作品。

(C)2025 FOCUS FEATURES LLC.

2025年製作/120分/PG12/アイルランド・イギリス・カナダ・韓国・アメリカ合作 監督:ヨルゴス・ランティモス 出演:エマ・ストーン、ジェシー・プレモンス、エイダン・デルビス、スタブロス・ハルキアス、アリシア・シルバーストーン ほか 配給:ギャガ 劇場公開日:2026年2月13日 マスコミ試写会で1月9日鑑賞

 

スタイリッシュで才能あふれるミシェル(エマ・ストーン)は、世界に知られるカリスマ経営者。

ある日、帰宅途中に何者かに襲われ、自宅前で誘拐される。

犯人は、ミシェルを地球征服を企むアンドロメダ星人だと信じるテディ(ジェシー・プレモンス)と引きこもりの従弟・ドン(エイダン・デルビス)だった。

テディの自宅の地下室に監禁されたミシェルは、頭髪をそられ無残な姿に。「髪の毛を使って宇宙と交信しているからだ」と、訳のわからない説明をするテディ。話のかみあわない変質者のような相手に、自分がエイリアンではないことを冷静に主張するミシェルだが、テディはすぐに地球から手を引くように要求する始末。

支離滅裂な発言を繰り返すテディと頭脳明晰なミシェル。時間が経過しても会話はすれ違い、二転三転する。まだ話がわかりそうなドンを言いくるめようとするが、テディに忠誠心を抱いているため手強い。やがてテディの意外な過去が暴かれ、ミシェルの身に危険が迫る。そんな時、警察官がテディの家を訪ねてくる。

ミシェルは無事にこの危機を乗り越えることができるのだろうか…。観客の誰もが彼女の身を案じるなか、物語は予期せぬ方向へと動き出す。 

前半は比較的、淡々としているのだが、後半になって一気に衝撃的なシーンが連続する。

狂気の先にある事実とは…

衝撃のラストには誰もが驚かされるだろう。

そして思い込み、偏見とは何なのだろう、と考えさせられる。

今、最も刺激的な演技ができるエマ・ストーンの熱演に、今回も目を奪われる誘拐サスペンス。

(C)2025 Paramount Pictures. All Rights Reserved.

2025年製作/アメリカ 監督:エドガー・ライト 出演:グレン・パウエル ジョシュ・ブローリン ウィリアム・H・メイシー リー・ペイス 配給:東和ピクチャーズ 劇場公開日:2026年1月30日 ★マスコミ試写会で1月9日鑑賞

 

近未来のアメリカ。社会は一握りの富裕層と、圧倒的多数の貧困層に分断されている。人々の関心は、テレビで放映される、過激なリアリティショーやデスゲーム。貧しさ故に一攫千金を狙って、命がけのテレビショーに参加しようとする人は後を絶たなかった。

職を失ったベン・リチャーズ(グレン・パウエル)も娘の薬代のため、死の鬼ごっこ「ランニング・マン」に応募する。

30日間、逃げ切れば大金を手にし、ハンターに捕まれば即死という恐怖のデスゲーム。しかし、その実態は生放送を通して一般視聴者も人殺しに参加させるというメディアが仕組んだ究極の殺人ゲームだった。

ベンは変装し、スラムに身をひそめ、国境を越えて逃げようとする。しかし、エンターテイメント性を何より重視するTVプロデューサーや視聴率獲得のために何でもする司会者、執拗に追いかけるハンターにより追い詰められていく。

さらにベンの姿を映し出す生放送では、フェイク映像が流され、実態とは異なるベンの言動が視聴者の好奇心を煽るのだった。

逃走の途中、ベンは底辺に生きる人々や社会の変革を願う人、平和ボケした富裕層の女性など、様々な人々に出逢い、助けられる。

40年も前に書かれた原作が、怖いほど現代に通じる問題をはらんでおり、私たち観客はスリルとアクションを楽しみながらも社会やメディアに対して様々なことを考えさせられることになる。

何より、見応えあるグレン・パウエルのアクションシーン、そして物語を盛り上げる音楽も良い。

(C)2025 MER FILM / EYE EYE PICTURES / LUMEN / MK PRODUCTIONS / ZENTROPA ENTERTAINMENTS5 APS / ZENTROPA SWEDEN AB / KOMPLIZEN FILM / BRITISH BROADCASTING CORPORATION / ARTE FRANCE CINÉMA / FILM I VÄST / OSLO FILM FUND / MEDIEFONDET ZEFYR / ZDF / ARTE

2025年製作/135分/G/ノルウェー・フランス・デンマーク・ドイツ合作 監督:ヨアキム・トリアー 出演:レナーテ・レインスヴェ ステラン・スカルスガルド インガ・イブスドッテル・リッレオース エル・ファニングほか 配給:ギャガ 劇場公開日:2026年2月20日 ★マスコミ試写で1月7日に鑑賞

 

ノルウェーのオスロで俳優として活躍するノーラ(レナーテ・レインスヴェ)は、才能はあるが精神的に不安定な状態。妹のアグネス(インガ・イブスドッテル・リッレオース)は、映画出演の経験はあるが、現在は夫や息子と穏やかに暮らしている。

ある日、姉妹の母の死をきっかけに、音信不通だった父・グスタブ(ステラン・スカルスガルド)が突然訪ねてきた。父は映画監督で、姉妹が幼いころに家族を捨てて家を出ていた。

「話がある」とノーラをカフェに呼び出した父。てっきり遺産相続の話かと思いきや、15年ぶりの新作の主演の打診だった。「脚本だけでも読んでほしい」と語る父に対し、ノーラはきっぱりと拒否する。母と自分たちを捨てた父を決して許すことはできなかったのだ。

しかしその後、主演にアメリカ人の若手人気俳優レイチェル(エル・ファニング)が抜擢され、撮影場所が姉妹の育った家と知ると、抑えきれない感情が沸き上がってきた。

複雑にこじれた父と娘の関係。不器用な二人の想いは空回りをし、ある雨の夜、グスタブは倒れてしまう。

新作映画はどうなるのか。何よりノーラが父に抱く積年の恨みの行く先は…。

練りこまれた脚本。感情表現豊かに演じられる父娘の姿。そして、家族が選んだ着地点にカンヌの観客は拍手を送った。

2025年・第78回カンヌ国際映画祭でグランプリを受賞。

久しぶりに文芸の色濃い、拡張高い作品に出逢えたような気がした。

 

(C)2025「Good Luck」製作委員会(別府短編プロジェクト・TAMAKAN・theROOM)

2024年/日本/104分/ 監督:足立紳 出演:佐野弘樹 天野はな 加藤紗希 篠田諒 剛力彩芽 板谷由夏ほか 配給:MAP ★マスコミ試写で1月4日に鑑賞

 

自主映画をつくっている大山太郎(佐野弘樹)は、どこかフワフワとした雰囲気で優柔不断な若者。間もなく30歳になろうとしているが、同居する女性に食べさせてもらっている。

そんな太郎の作品が大分県で開催される映画祭で佳作に入選する。

意気揚々と現地に向かった太郎は、作品の上映後の対談で主催者の女性(板谷由夏)から厳しい批評を受ける。

意気消沈した太郎は映画祭のパーティーにも出席せずに一夜を過ごし、翌日、隣町の築後大野駅に降り立つ。

そこで「監督さんですよね」と声をかけてきたのは、映画祭で太郎の作品を観たという砂原未希(天野はな)だった。

積極的な未希に誘われるように二人は築後大野を旅することになる。不思議な雰囲気だけれど愛想の良い未希に、映画監督としての苦悩を打ち明ける太郎。さまようように観光名所を次々と訪ねる二人の間に、ほのかな恋が芽生えたような気配が漂うが…。

大分県豊後大野を舞台に、人生に迷い、自分に自信がもてない男女の1泊2日の旅を描いたロードムービー。太郎の姿が時におかしく、時に切なく描かれている。暴力や嫌なシーンは一切でてこず、気持ちよく、一緒に旅するように鑑賞できる作品。

シャイなようで下心はしっかりもっている。でも、優柔不断な性格のためはっきりとした態度がとれない。かと言って悲劇的でもなく、まぁ、次は良いことあるか的な太郎の生き方を、いつの間にか愛おしく感じられるのは、監督のマジック?だろうか。

 

 

2025(C)Aim Media Co.,Ltd. Tianjin Maoyan Weying Cultural Media Co.,Ltd. Shanghai CMC PicturesCo.,Ltd..All rights reserved

2025年製作/122分/G/中国 監督・脚本:ダー・ポン 出演:ダー・ポン バイ・コー ジュアン・ダーフェイ テレンス・ラウ アンディ・ラウ ヤン・ミー チャン・ユエンほか 劇場公開日 2026年1月16日 ★マスコミ試写で12月28日鑑賞

舞台は唐の都・長安。頭は良いのだが真面目過ぎて(?)出世できない下級官吏の李善徳(リー・シャンデー=ダー・ポン)は、ある日、思いがけず玄宗皇帝の命を受けることになる。

それは「遥か南方・嶺南の新鮮なライチを楊貴妃のために長安へ届けよ」とのこと。

ライチという果実はとても傷みやすく、数千キロも離れた嶺南から長安まで無傷で運ぶことはまず不可能。同僚の策略で、ライチ使となった李善徳は、妻と愛娘に別れを告げ、死ぬ覚悟で長安を出発する。野を越え、山を越え、海を渡り、ようやくライチが実る南国の地・嶺南に到着した。

そこで、話の上手い商人(バイ・コー)や奴隷の青年(テレンス・ラウ)、そしてライチ農園の明るく勝気な娘(ジュアン・ダーフェイ)たちと知り合い、仲間となる。

ライチを手に入れることはできたが、それを新鮮なままどうやって長安まで運ぶか?数学の得意な李善徳は、さまざまな方法を考案し、ち密に計算して決死の運搬を試みるが、上手くいかない。成功すれば出世の道が開けるが、失敗すれば自分と家族の命はない。

納期が迫る中、宮廷に渦巻く官僚たちの権力争いにも巻き込まれ、さらなる逆境に追い込まれる。果たして李善徳は、任務を遂行することができるのだろうか…

楊貴妃の大好物だったと伝えられるライチ。唐の天宝年間に実在したという「ライチ使」を題材に人気作家マー・ボーヨンの小説を映画化。当時の風俗や文化を背景に、長安から嶺南までの壮大な旅路を人情と陰謀を織り交ぜながら描く。

始まりはコメディのようなタッチだが次第にシリアスな人間ドラマが展開していき、切ないラストへと向かう。監督・脚本・主演を務めたダー・ポンをはじめ、主要キャストたちがとにかく上手い。表情豊かな演技に感情移入してしまい何度も涙がでそうになった。

(C)2026「万事快調」製作委員会

2026年製作/119分/日本 監督、脚本、編集:児山隆 原作:波木 銅出演:南沙良 出口夏希 吉田美月喜 羽村仁 成金子大地ほか  配給:カルチュア・パブリッシャーズ マスコミ試写会で2025年11月20日に鑑賞 劇場公開日:2026年1月16日

ラッパーを夢見ながらも、学校にも家にも居場所を見いだせず、悶々とした日々を過ごす女子高生の朴秀美(南沙良)。

同じクラスの矢口美流紅(出口夏希)は陸上部のエースで美少女。スクールカースト上位に君臨しているのだが、家庭内に深刻な問題を抱えていた。そして漫画家になるのが夢の辛口の岩隈真子(吉田美月喜)。

3人は自分たちの住む町に未来が見えない。そして「鬱々とした毎日からなんとか脱出したい」という考えで意見が一致する。脱出のためには一攫千金を狙うしかない…ということで同好会「オール・グリーンズ」を結成する。

校舎の屋上にほったらかしにされている温室が「オール・グリーンズ」の活動の拠点。そこで3人は不適切な課外活動を始めるのだが・・・。

恋愛や勉強とは無縁の3人。時に危ない目にあったり、小躍りするほど嬉しいことがあったり。そして卒業式は大変なことに!

こんな青春も悪くない。ドキドキしながらも爽快な気分でラストまで鑑賞できる新しい形の青春ドラマ。

大人に成長した3人のそれぞれの姿が、ラストで紹介されるのもさらなる後味の良さにつながった。

 

(C)2025 FOCUS FEATURES LLC.ALL RIGHTS RESERVED

2025年製作/124分/G/イギリス 監督:サイモン・カーティス 出演:ミシェル・ドッカリー、 ヒュー・ボネヴィル、 ローラ・カーマイケルほか 配給:ギャガ 劇場公開日:2026年1月16日 ★マスコミ試写会で2025年12月15日に鑑賞

20世紀初頭のイギリスを舞台に、壮麗な大邸宅・ダウントン・アビーに暮らす貴族クローリー家の人々と、その使用人たちの人間模様を描いたTVドラマシリーズ『ダウントン・アビー』の映画3作目にして完結編。

 

1930年夏、社交界の頂点“ロンドン・シーズン”が幕を開け、クローリー家の人々と使用人たちは胸を弾ませていた。

しかし、長女メアリー(ミシェル・ドッカリー)の離婚が報じられると、世間は大騒ぎに。この時代、上流階級での離婚は不名誉なスキャンダルとされ、メアリーは舞踏会や晩餐会から追放される。

そんな中、メアリーの母コーラ(エリザベス・マクガヴァン)の弟ハロルド(ポール・ジアマッティ)が、友人で投資アドバイザーのガス・サムブルック(アレッサンドロ・ニヴォラ)を連れてアメリカからやってくる。

ハロルドは、亡き母から継いだ遺産の大半を投資で失っていた。これで屋敷の改修費も消え、ダウントン・アビーは財政破綻の危機に陥る。父ロバート(ヒュー・ボネヴィル)からメアリーへの当主継承にも暗雲がたちこめる。孤立感と財務問題に悩むメアリーは口の上手いガスと一夜を共にしてしまう。しかし、その後、ガスが信頼できない人物だということが判明しショックを受ける。

クローリー家の名誉とメアリーの社会的立場をなんとか取り戻したいダウントン・アビーの人々。時代が大きく変わろうとするなか、さまざまな人の思惑が交錯していく。時に厳しく、シニカルに、時にユーモアを交えながら華麗な時代の終わりと新しい価値観の創造へと知恵と勇気をもって進む人々。壮大な歴史ドラマが展開していく。

この作品はゴールデン・グローブ賞、エミー賞ほか数多くの賞に輝いたTVシリーズをより深く、より豪華に描いた映画3部作の最終章。

絢爛豪華な衣装や美術。特に競馬場のシーンの上流階級のコスチュームはうっとり見とれるほどだ。さまざまな立場の多くの人が複雑に関わりながら新時代を構築していくストーリーはまさに集大成にふさわしい。

広間に一人で立つメアリーが、思い出に浸るラスト。私たち観客も15年にわたるドラマの名シーンへの感慨にふけると共に、時代の変化に柔軟にポジティブに対応していくことの大切さをメアリーと共に噛みしめることとなる。