3年前、私は『おはなしcafeHIRO』を始めようとしていた。

発信の準備をして、言葉を選んで、
さあ動き出そうとした、その瞬間だった。

母の病気がわかった。
悪性リンパ腫。
そして、余命3ヶ月という言葉。

強制終了、だった。

───

あのとき妹は、介護休業を 3ヶ月取ってくれた。

大学の事務職として働きながら、
自分のキャリアも、生活も、いったん置いて。
実家で、母のそばにいてくれた。

私は千葉から、月に 2回、大阪へ向かった。

新幹線の中でいつも、
「大丈夫、大丈夫、大丈夫」
と、自分に言い聞かせながら。

───

あれから3年が経った。

母は今も、生きている。

余命 3ヶ月と言われた母が。
余命 3ヶ月だということを、母は知らない。
知らないまま、今日も笑っている。
知らないまま、今もここにいる。

これを奇跡と呼ばずに、何と呼べばいいのだろう。

感謝しかない、という言葉が、
これほど心の底から出てきたことは、なかった。

───

だから私は、もう一度始めることにした。

おはなしcafeHIROを。

病院での仕事には、守秘義務がある。
患者さんのこと、家族のこと、現場のことは書けない。

でも——

娘として経験したことは、書ける。
姉として感じたことは、書ける。
介護する家族として抱えてきたものは、全部、私のものだから。

───

余命告知を受けた家族の、あの夜の気持ち。
伝えるか、伝えないかで揺れた日々。
遠距介護の孤独と、それでもやめられない理由。

正解なんてどこにもなかった。
でも、間違いでもなかったと、今は思う。

───

あの強制終了がなければ、
きっと私は、もっと浅いところから発信していた。

3年間の経験が、言葉に深さをくれた。

だから今日、ここから改めて始めます。

誰かの「ひとりじゃない」という気持ちへの、
小さな糸口になれたら。

HIRO
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