母ががんと診断された日、私がまず動いたのは——電話だった。
最初にかけたのは市役所。
そして次は地域包括支援センターに電話するつもりだった。
でも、そのとき私には別のルートがあった。
祖母のお世話になっていた、病院のソーシャルワーカーさんだ。
「まずここに相談してみて」
そのひと言が、動き出すきっかけになった。
ここで長年の秘書力の発揮です。
情報収集、段取り、関係者への連絡——
仕事で培ってきたその力が、思わぬ場面で役に立った。
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【介護が始まったら、まず動くこと】
一般的な介護保険申請の流れはこうだ。
① 市役所(介護保険窓口)または地域包括支援センターに連絡・申請
② 自宅や入院先に認定調査員が訪問(心身の状況を確認)
③ 主治医が意見書を作成(市区町村から直接依頼が届く)
④ 介護認定審査会で審査・判定
⑤ 認定結果が郵送で届く
法律では申請から30日以内に結果を通知することが定められている。
ただし現実は、全国平均で約40日、自治体によっては2ヶ月以上かかることもある。
母の場合は——市役所が最短で動いてくれた気がします。
入院中に認定調査も実施してもらい、要介護4の認定が、早いタイミングで届いた。
あの状況で、本当に助かった。
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【認定が下りるまでは「有給休暇」を使うしかなかった】
ここで一つ、大切なことをお伝えしたい。
「介護休暇」は、要介護認定を受けている家族がいることが取得の条件になる。
つまり、認定が下りる前は——制度上、介護休暇は使えない。
私が最初の間、動き回れたのは有給休暇のおかげだった。
市役所への申請、病院での検査立ち合い、入院準備、書類の手続き……
それだけで、あっという間に日が過ぎていった。
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【介護休暇と介護休業——何が違うの?】
認定が下りてから、私はようやく介護休暇を使えるようになった。
介護休暇とは、要介護状態の家族をサポートするために取れる短期の休みのこと。
法律上は、対象家族1人につき年間5日(2人以上なら10日)。
ただし、職場の就業規則によって上乗せされる場合がある。
私の職場では、要介護認定を受けている方1人につき10日間という規約だった。
まず自分の職場の規約を確認してみてほしい。
知らないまま有給を使い続けるのは、もったいない。
一方、妹が取ってくれたのは介護休業だ。
<介護休暇と介護休業の違い>
・介護休暇:年間5日(2人以上で10日)※職場規約による/当日申請も可/給付金なし(原則無給)
・介護休業:通算93日(最大3回に分割可)/2週間前までに申出が必要/雇用保険から給付金あり(条件あり)
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【妹が取ってくれた3ヶ月——そして知ってほしい「無給」の現実】
私の職場は、私が休むと仕事が回らない状況だった。
まず自分の契約が介護休業を取れる内容かを確認し、職場に相談した。
答えは——「あなたが抜けると、現場が動かない」だった。
そこで妹が動いてくれた。
妹の職場も、簡単ではなかったと後から聞いた。
それでも、法律で守られた権利。企業として「NO」とは言えない。
妹は3ヶ月の介護休業を取得してくれた。
ここで知っておいてほしいことがある。
介護休暇も、介護休業も——原則、無給だ。
介護休業の場合は、雇用保険から「介護休業給付金」が出る場合がある。
金額は、休業前の賃金の約67%。ただし条件を満たす必要がある。
でも、それだけじゃない。
社会保険料(健康保険・厚生年金・介護保険)は、休業中も支払い続けなければならない。
育児休業と違い、介護休業には社会保険料の免除制度がないからだ。
つまり——
・給与はゼロ(または大幅減)
・社会保険料は休業前と同じ金額が発生し続ける
・住民税も前年の収入をもとに課税される
・ボーナスにも影響が出る場合がある
妹はこの3ヶ月、全部を自分で抱えてくれた。
「制度があるから安心」ではなく、経済的な準備も一緒に考えておく必要がある。
——
それでも——
この制度がなければ、あの3ヶ月を乗り越えられなかったと思う。
姉は仕事を続けながら、動ける範囲で動く。
妹は家に残って、母のそばにいる。
ふたりで役割分担できたから、続けられた。
介護休暇も、介護休業も。
まず「使えるかどうか」を確認することから始めてほしい。
知っているだけで、選択肢が広がるから。
HIRO
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