好きなものは何?


と聞かれてすぐ頭に浮かぶのは


たらこ唇


私の人生、片手の指を使っても余る男性遍歴の中で


くどいようだが、知らずに付き合った暴走族の


「大久手の隆」


の唇が、たらこだった。


恐れられていたらしい隆は、すばらしく奥手で


私は隆が


「俺、大久手の隆と呼ばれてるんだ。」


と自慢してたのを、ずっと


「奥手の隆」


だと思って付き合っていた。


そう言う私も、小学校から女子校とずっと女の園育ち


おまけに、多々父親不在の


異性へのあこがればかりが膨らむ環境にいた。


隆は私のファーストキスを奪った人だった。


隆のたらこ唇が私のはんぺいの様に薄い唇を包んだ時の柔らかさは


今も忘れられない初恋の味なのだ。