店の奥から勢いよく出てきた良子を見て正子は思った。
(あら 私の方が細いわ)
っと少し嬉しくなった。他にお客さんもいなかったので正子は今ならいろいろ話が聞けそうだわ。と思いつつ言った。
「カットしてほしいんですけど、いいですか?」
「どうぞ。どうぞ。 はじめての方ですね。 嬉しいわ~ 通りから入り込んでるから新しい方はあんまり来てくれないんですよ。 ココ わかりにくいでしょ!」
と笑顔で聞かれたので、正子は山村の事を言った。
「実は知り合いがあなたの話を」
と正子が言いかけたのを最後まで聞かずに良子は言った。
「えっ 私の話? あら!誰かしら? 教えて?」
「えぇ 私の主人のお友達の山村さんが教えてくれたんですよ」
と言ったとたんに今まで以上に顔がゆるんでいかにも楽しいというように良子は言った。
「いやっだ~ 健ちゃんのお友達の奥さん? ひょっとして正木さんですか?」
と聞かれたので正子がニッコリとしてうなずくと 続けて良子は言った。
「時々あなたの話も聞かせてくれるんですよ。 この前大変だったんでしょ。 不倫相手と間違われたりして。あの人几帳面なのにそそっかしいところがあって。 でも友達の奥さんと不倫なんてありえないわよね~ は~っはっはっはっ 面白くて憎めないない人なんですよ。 話ししてても退屈しないんです、あの性格は小さい頃から全然変わってないのよね~」
と良子カットしながら、息付く間も惜しいように山村の話をしゃべり続けた。
(この人山村さんの事がかなり好きみたい)
と思った正子は言った。
「お二人は仲が良いようですけど、あなたは山村さんと結婚なんて考えてるんですか?」
「えっ 結婚? いや~だ~健ちゃん 私の事なんか言ってました?」
聞かれて正子は困ってしまった。
(この人、きっといい答えを待ってるんだろうな~ 以前うちに来た時には、たしか山村さんは良子さんの事を避けて通りたい女だと言っていたわ~ 無理やり飲みに誘われて困ってるとも言ってた。は~っ どうしよう?)
つづく