夕方正子は仕事から帰った正夫に言った。
「ねえ 今度の土曜日は一緒に菜園に行ってよね。 この前の台風でトマトの支柱がゆるんでるから、あなたが行ってしっかり固定してほしいのよ!」
困ったという顔をして正夫は言った。
「すまないなー 正子、今度の土、日は、県外である、バンドのフェスティバルの練習で忙しいから」
「えーっ いいじゃないの、どっちか一日は畑に行ってよ!」
「ダメだ!練習は休めない。おれがいないと、はじまらないからなー」
「あーそ それじゃ私もそのフェスティバル、見に行こうかしら、そんなに熱心に練習してるんだったら、きっと素晴らしいでしょうから」
その言葉を聞いた、とたんに正夫は言った。
「えーっ 県外だぞ!」
その一言にムカついた正子は言った。
「なに? なんなの? 今の言葉!えーっ! おまえなんか、遠い所、聞きに行っても分からないのに来るなって言ってるの?」
あきれて正夫は言った。
「おまえの耳はどんな耳をしてる? 恐ろしいよ!おまえの耳が!県外って言っただけだぞ!」
「もっと他にも聞こえてるわよ! あなたは私をバカにしている、いや、女をバカにしてる」
「いや、それはおまえの耳が変だぞ!一度耳鼻科へ行った方がいいな、バカにするなんてとんでもないよ、
おれを産んでくれたのはおふくろで、女だ!女の人は尊い存在だよ正子様!」
気が治まらないない正子は言った。
「男はいつも、偉そうにしている! キリスト教じゃ、人類の初めに作られたのはアダムで男だけど、科学的には、ミトコンドリヤイブって女なのよ!女から男が出来たのよ!」
「よく分かりました。正子様、 アーメン」
正子の独り言
まったく なにがバンドよ! 私だって小学校の時はたて笛が上手だって、ほめられたことがあるんだから!
たて笛もトロンビーン、同じじゃないの!
正夫の今日の一句
気をつけよ 人類の母は じごく耳