お金を貯めよう!
節約の為 買い物は安く!
と いざ 100均へ。
消費経済ジャーナリストの松崎のり子さんは
「ムダな買い物をしてはいけない。たとえば本当のお金持ちは
『100円ショップに行っても、1点だけ買う』ということができる」という――。
■年間1人当たり1万円弱を「100円グッズ」に使っている
民間調査会社・帝国データバンクによると、
「100均」市場が初の1兆円を突破したという。
日本の総人口は1億2429万人ほどだから、
全国民が一人当たり1万円弱の100円グッズを買っていることになる。
100円ショップは安さの代名詞、ここに行けば何でも安く買える。
いや買う予定がなくても、安いものがないかとなんとなく店を覗いてしまう。
■「全部100円」で思考が停止する
【100円ショップの罠①】「どれでも100円」が誘う思考停止パワー
モヤシ30円はまあ妥当だろうが、キャベツひと球300円は高すぎだ。
980円のAランチと1050円のBランチ、この内容に見合う価格はどっちだろう。
このように、我々は常にモノやサービスの価値とつけられた価格が妥当かどうか、
代金を払う前にジャッジしている。
100円ショップ「ダイソー」創業者の故・矢野博丈氏が
多くの商品を扱う中、別々の値段を付けるのが面倒で、
思わず客に「全部100円でいい」
と言ってしまったところから100円均一が始まったとの逸話がある。
「全部100円」と聞いた客は、いちいち悩まずに
ポンポン商品をレジかごに入れるようになる。
買う気がなかった余計なものまで気楽に買ってしまうのは、
この思考停止パワーが効いているからだ。
その結果、いざレジで合計金額を聞いた時に、
「えっ、そんなに買ったっけ?」とビックリすることになる。
■買い物の動機が知らぬ間にすり替えられる
【100円ショップの罠②】「安いからついでに買っておこう」の心の囁き
節約好きの人ほど安さに弱い。
これが100円で買えますと聞くと、
その商品が欲しいか欲しくないかよりも「これが100円なら買っておこう」
という思考に傾く。
そもそも100円ショップとは、
ついで買いと衝動買いで成り立つ薄利多売のビジネスモデルだ。
全てを均一価格にすることで利益利率が低いものと高いものとを混在させ、
それをごちゃまぜに買ってもらうからこそ利益のつじつまが合うのだ。
目的の品物を買うために出かけたはずが、
予定外のものをどんどんカゴに入れてしまう。
たとえ失敗しても、ダブって買ってしまっても、
「100円ならいいか」が、そういう人の口癖だ。
もし、以前買ったものをどこにしまったかわからなくなったとしても、
また買えばいいのだ、100円だし。
ダブって買っても痛みを感じない。
1円も無駄にしたくないと思うのが、真の節約家のはずなのだが――。
■1回あたりの購入数は「3個以上」の人が7割
【100円ショップの罠③】「ドケチな人に思われたくない」の虚栄心
100円ショップで商品を一個だけ持ってレジに向かうのには勇気がいる。
たった1つだけを買うのは恥ずかしいと思う。
100円分しか買わないドケチな人と思われるのは
誰だってイヤなものだからだ。
つい周囲に見栄を張って、せめてもう一個くらい、
他に買うものはないかと探し始め、
気づくと3個4個……と余計なものを買っている。
100円のもの1つ買いに来たはずが、
気づくとレジで1000円以上も支払っていた
――という覚えがある人は、その罠にはまっているともいえるだろう。
■家に100円グッズが散らばっていたら赤信号
「安さ」で余計なついで買いを誘い、
一つだけだと気恥ずかしいので予定外の商品も買わせ、
キャッシュレス決済ができるようになったので
細かいことはいちいち気にしない。
もし、家中を見まわして、
あちこちに100円グッズが散らばっていたり、
引き出しの中にも溢れているようなら赤信号だ。
モノが多い家ほどお金は貯まらないのは鉄則だ。
無意識にちょこちょこ買っている小さな浪費の方がたちが悪い。
対策はいくつかある。
レジに向かう前に、必ず買い物カゴの中を見てまずは数を数えよう。
ここが均一価格のいいところで、いくら払うのかざっと計算ができる。
次に「あったら便利かも」と選んだものは棚に戻す。
“あったら便利”は、“なくても困らぬ”だからだ。
そうするうちに、カゴの中はずいぶんさっぱりするはずだ。
もし、中に一つしか残らなければ、躊躇せずセルフレジへ向かおう。
機械なら、あなたを「1個しか買わないケチくさい奴」とは思わない。
いや、堂々と考えればいいのだ、
「必要なものを安く買う、そのために私は100円ショップに来たのだ」と。
お金持ちは1円、いや100円たりともお金をムダにはしないはず。
その訓練だと思って、胸を張ろうではないか。
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松崎 のり子(まつざき・のりこ)
消費経済ジャーナリスト
『レタスクラブ』『ESSE』など生活情報誌の編集者として20年以上、節約・マネー記事を担当。「貯め上手な人」「貯められない人」の家計とライフスタイルを取材・分析してきた経験から、「消費者にとって有意義で幸せなお金の使い方」をテーマに、各メディアで情報発信を行っている。著書に『定年後でもちゃっかり増えるお金術』『「3足1000円」の靴下を買う人は一生お金が貯まらない 』(以上、講談社)ほか。
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プレジデントオンライン コラムより1部抜粋